- 掲載
- 2026年08月29日 10:01
娘の発熱と社内セミナーが重なった日…30歳パパが学んだ「共働きで一番大切なこと」【共働き夫婦の1日スケジュール】
共働き夫婦にとって仕事と家事・育児の両立は悩みの種。朝起きてから寝るまで分刻みのスケジュールで息つく暇もないのでは? そこで、夫婦の家事分担や子育ての工夫など、忙しい毎日を乗り切るコツを実践しているパパに、お話を聞きました。
共働き夫婦の1日スケジュールとは?
家事や育児、仕事を両立する共働き家庭は、日々の暮らしのなかで話し合い、夫婦で選択を重ねながらそれぞれのスタイルを築いています。この企画では、子育て中のパパ・ママに普段はなかなか聞くことができない、共働き夫婦のタイムスケジュールと「なぜ今のスタイルに落ち着いたのか」「子育てを始めて想像と違ったことは何だったのか」「夫婦でどんな選択を重ねてきたのか」などを深掘りします。
第44回は、SB C&S株式会社で企画営業を担当する瀬田さんにインタビュー。娘が生まれ、育児休業を3カ月取得した経験をきっかけに、仕事と家庭に対する考え方が大きく変化したという瀬田さん。現在、2歳になる長女を育てながら、夫婦で築いてきた「共働きのスタイル」を紹介します。
取材にご協力いただいた方
SB C&S株式会社 企画営業 瀬田 淳一さん(仮名)(30歳)
ソフトバンクのグループ企業であるSB C&S株式会社で、海外IT製品の仕入れやマーケティングを担当。週2〜3日在宅勤務を活用しながら、2歳の娘を育てるパパ。妻は教育関連企業でマーケティングを行う。育休明けから、夫婦ともにフルタイム勤務を続けながら、その日に動けるほうが家事・育児を担う柔軟なスタイルで、共働き生活を送っている。
<朝〜日中のスケジュール>
■頑張るのが「子育ての当たり前」だと思っていた
――お子さんが生まれる前と後で、ご夫婦の育児へのイメージは変わりましたか?
瀬田さん 私は、学生時代には子どもと関わるボランティアをしていたので、ずっと「子どもが好き」という気持ちはありました。ただ、仕事も好きでしたし、子どもが生まれたら自分の時間は減るだろうなと、漠然と考えてはいましたね。当時は、子育てよりも仕事や自分の生活を大切にしたいという気持ちもあり、積極的に望んでいなかったんです。
一方で、妻のほうがより強く子どもを望んでいたので、夫婦で将来について話し合い、子どもを迎える選択をしましたが、今のように「子育てを楽しみたい」という感覚は、正直ありませんでした。
――しかしお子さんの誕生にあわせて、瀬田さんは育休を取得しているそうですね。どんな心境の変化があったのでしょうか。
瀬田さん 一番大きかったのは、妻の妊娠中の姿を見たことです。妊娠ってもっと穏やかなものだと思っていたのですが、実際は体調もかなり大変そうで、「とてもすべて1人に任せられるものではないな」と感じました。
自治体のプレ親学級にも参加して、男性も育休を取ったほうがいいという話を聞きましたし、会社でも少しずつ取得する人が増えていた時期でした。
育休を取るといっても、最初は「育児を頑張ろう」と強く決意したというより、「何が起きるかわからないから、取れるなら取っておこう」という感覚です。まずは3カ月取得することにしましたが、今振り返ると、その選択が自分の価値観を大きく変えるきっかけになりました。
――実際に育休を取得してどのように考え方が変わりましたか?
瀬田さん 以前は「子育ては大変だから、多少は我慢しながらやるもの」だと思っていましたが、実際はまったく違いました。もちろん、夜中に起こされたり、おむつを替えたりするのは、しんどさもあります。でも、それ以上に子どもがかわいくて、一緒にいる時間が楽しかったんです。
育休中は妻と一緒にすごす時間も増えました。新生児は寝ている時間も長いので、その間に夫婦でゆっくり話をしたり、ボードゲームをしたりする時間もありました。育休は「育児をする期間」というだけでなく、私にとっては「家族になる時間」でもあったと思います。その経験を通して、「子育ては大変な思いをしながらやるもの」という思い込みがなくなりました。
■「これは忘れられない」保育園から発熱連絡を受け必死になった日のこと
――育休を終えて夫婦フルタイムの共働き子育て生活がはじまって、ギャップを感じたことはありますか。
瀬田さん 一番のギャップは、想像以上に子育てに時間を使うことです。子どもが生まれても、ある程度はこれまで通り働けると思っていましたが、実際は保育園の送り迎えがありますし、熱を出せば仕事を休まなければいけません。子どもが小さいうちは、なかなか予定通りにはいかないと実感しました。
――朝は5時起きで仕事を進めることもあるそうですね。
瀬田さん どうしても仕事に集中できる時間が減ってしまうので、朝早く起きたり、寝かしつけのあとに仕事を再開したりして調整しています。ただ、夜は集中力が落ちますし、育児を優先すると仕事が進まない。逆に仕事を優先すると家族のことが気になる……。このバランスは今も試行錯誤しています。
でも「子育てに時間を取られている」と感じたことはありません。それよりも「今日はこんなことができるようになった」「こんな表情を見せてくれた」と娘の成長を見られることのほうが大切になっています。そこは、自分でも想像していなかった変化でした。
――ご夫婦で家事・育児の分担は決めていますか。
瀬田さん 最初は会社の先輩パパにも話を伺いながら、我が家も役割を決めていました。たとえば、子どもが熱を出したら「初日は妻、もし長引いたら翌日は自分」というようにルールを決めていたんです。でも、実際にやってみたら、それでは回りませんでした。
妻とは勤めている会社が違いますし、仕事の状況もそれぞれ毎日違いますよね。ルール通りにしようとすると、お互いに無理をすることになるんです。
それなら「その日に動ける人が動く」やり方に変えようと話しました。役割を固定しなくなってからは、お互いに気持ちがすごく楽になりましたね。
――今のスタイルにいたるまでに、一番印象に残っているできごとやきっかけはありますか。
瀬田さん これは忘れられない、ということが1つだけあります。私が社内セミナーの責任者を務める日に娘が発熱したことです。妻も復職したてで出社していて、早退が難しい。私もセミナー会場へ向かわなければならず、もうすぐ参加者も会場に到着するというころに、保育園からの呼び出しがあったんです。
今思えば、業務を同僚に任せて段取りを組み直せばよかったのですが、娘が保育園に通い出したばかりということもあり、私も子育て中の働くパパとしては、まだ慣れていない時期でした。
結局、会社への連絡や保育園への迎え、仕事の引き継ぎを同時に進めながら、早退した妻とセミナー会場の最寄り駅で待ち合わせをして、開始時間の10分前くらいに娘を引き渡して、そのまま会場に向かいました。
当時は本当に必死でしたが、あの経験を通して、なんでも1人で抱え込もうとしないことが大切だと学びました。会社にも事情をきちんと伝え、周りを頼る。無理して自分や夫婦だけで解決しようとしないことも、共働きを続けるためには必要なんだと思います。
■「どんどん子どもをかわいく思えるようになっていった」理由
――現在お子さんは2歳。イヤイヤ期で1日のスケジュールがうまく回らないこともありますか。
瀬田さん あります。昨日は大丈夫だったことが今日はイヤだったり、飲み物を飲ませようとコップを持たせたら、大好きなアンパンマンの向きが反対だから「イヤ!」と言ったり、大人にはわからないこだわりもあります(笑)。
以前は何とか説得しようとしていましたが、今は「今日はそういう日なんだね」と受け止めるようになりました。娘の様子を見て、機嫌が崩れそうなら話題を変えたり、祖父母とビデオ通話をしたりして気持ちを切り替える工夫をしています。
――お子さんの成長を実感するのはどんなときですか。
瀬田さん 最近は朝起きると「パパ大好き、おはよう!」と言ってくれます。それだけで本当にうれしいですね。トイトレも成功した日は家族みんなでよろこびますし、うまくいかなくて悔しそうに泣いている姿を見た日は「頑張っているんだな」と感じますね。そういう成長を一番近くで見られることが、親として一番幸せな時間です。
――あっという間に、どんどんできることが増えてお姉さんになっていきますよね。休日はどのように過ごしていますか。
瀬田さん なるべく家族で出かけるようにしています。当日に「水族館へ行こう」「アンパンマンミュージアムへ行こう」と思い立って出かけることも多いですね。仕事を理由に「今日は無理」という日をできるだけ減らしたいんです。
娘と2人だけで出かける日もあります。どんなことが記憶に残るかはわかりませんが、一緒に経験した時間は残ると思うので、今しかできないことを大切にしています。
――最後に、これから共働き育児がはじまる家庭や、今まさに仕事と育児の両立に試行錯誤している方たちに、「無理なく続けるコツ」を教えてください。
瀬田さん 大切なのは子どもを好きになることだと思います。今振り返ると、妻は育休中の私と娘の写真を撮ったり、季節のイベントを楽しんだり、子どもの成長を感じられる時間をたくさん作ってくれていました。
本人は意識していたかわかりませんが、その積み重ねで、私はどんどん子どもがかわいく思えるようになっていったんです。冗談半分ですが「妻の策略だったのかもしれない」と思うこともあります(笑)。だから今は、家事や育児について夫婦どちらが何をやるか、平等な分担を考えるよりも、「子どものためなら動きたい」と自然と思えるようになりました。
私たちもまだまだ模索中ですが、最初から完璧なルールを作ることよりも、状況に合わせて少しずつ選び直していくほうがいいと思いますね。
(文:宮本貴世、写真:本人提供、イラスト:ぺぷり/マイナビ子育て編集部)
