育児 育児
2022年12月02日 11:16 更新

【医師監修】新生児が寝すぎて起きない?!起こすタイミングとチェックポイント

「生まれたばかりの赤ちゃんは、よく眠る」と言われますが、ちょっと心配になることもあるでしょう。よく眠ることで心配なことはあるのか、起こした方がいいのはどのような場合で、どう対応したらいいのかなど、「新生児が寝すぎる場合」についてまとめました。

新生児の睡眠時間はどれくらい?

眠る赤ちゃん
Lazy dummy

新生児とは生後28日未満の赤ちゃんのこと。生まれてからまだ日が浅い赤ちゃんは、どのぐらいの時間どんなふうに眠るものなのでしょうか?

新生児の睡眠|1~4時間眠って1~2時間起きてまた眠る

生まれたばかりの赤ちゃんは、脳の神経系をはじめ体のあらゆる機能が未熟で発達過程にあります。 睡眠のリズムもまだ定まっていませんし、昼夜の区別もついていません。1~4時間くらい眠って、おなかがすいたりおむつが汚れるなどで不快を感じると目を覚まし、1~2時間起きてまた眠る……というリズムをくり返します。このように、昼夜の関係なく短いサイクルで眠ったり起きたりをくり返す(多相性睡眠)のが、新生児の眠りの大きな特徴です。

新生児期は眠りが浅い
私たちが眠っている間の脳波は、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2つの状態がくり返されます。ノンレム睡眠は深い眠りに入った状態で、脳波の活動が低下しています。反対にレム睡眠のときには脳波の活動が比較的活発で、血圧や脈拍が変動し、心身が目覚めるための準備状態となっています。夢を見るのは、レム睡眠のときです。
新生児期には、1日の睡眠時間のうちレム睡眠とノンレム睡眠が占める割合はほぼ半分ずつです。また、3~4歳ごろまでは、レム睡眠とノンレム睡眠は40~60分という短いサイクルでくり返されます[*1]。 これは、乳幼児が大人と比べて眠りの浅い状態が多いということ。そのため、赤ちゃんは少しの物音などの刺激で目を覚ましやすいのですね。

成長とともに深い眠りの時間も増える
レム睡眠の占める割合は成長とともに減っていき、2~3歳ごろには睡眠時間全体の約25%になって、深い眠りのノンレム睡眠が約75%になります 。また、レム睡眠とノンレム睡眠の周期は年齢が上がるにつれて徐々に整っていき、5~10歳ごろには大人と同じ90分周期の睡眠リズムができあがります[*1] 。

月齢別の睡眠|新生児期は1日の大半を眠って過ごす

ママに抱っこされる赤ちゃん
Lazy dummy

新生児|昼夜の区別がなく1日の大半は眠っている
新生児の1日の睡眠時間は合計16~20時間くらいです[*2]。1日の大半を眠っていることになりますが。まだ昼夜の区別がついていないため、日中と夜の睡眠時間はほぼ同じです。

生後3ヶ月ごろ|夜に数時間はまとめて眠るように
生後3ヶ月ごろになると、だんだんと昼夜の区別がつき始め、夜に数時間まとめて眠るようになってきます。このころの睡眠時間は新生児期よりやや少なくなり、1日14~15時間くらいです。

生後6ヶ月ごろ|昼夜の区別がはっきりしてくる
生後6ヶ月頃になると昼夜の区別がしっかりついてきて、夜の睡眠6~8時間と1日2回くらいの昼寝を合わせて、1日の睡眠時間は約13~14時間になるでしょう。

1歳以降|睡眠のほとんどを夜にとる
1歳を過ぎると1日の睡眠時間はさらに少し短くなります。睡眠のほとんどを夜にまとめてとるようになって、昼寝は1日1回くらいに。

3歳ごろ|昼寝をしない子も出てくる
3歳になると、昼寝をしなくなる子もいるでしょう。1~3歳ごろの1日の睡眠時間は11~12時間、3~6歳の幼児期になると10~11時間になります。

関連記事 ▶︎夜泣きはいつからいつまで? 新生児・乳児の夜泣き開始時期

新生児が寝すぎるとき、どのぐらいで起こす?

眠る赤ちゃん
Lazy dummy

授乳が5時間以上あいたら起こして飲ませる

新生児期には、長く眠ってしまい次の授乳時間になっても赤ちゃんが起きない、ということがあります。赤ちゃんが快適そうに眠っていれば問題ないのですが、おしっこの回数が極端に減っていたり、唇がカサカサしてきた、などのときには脱水症状を起こしていることも考えられます。

授乳間隔が5時間以上あくようであれば、赤ちゃんが眠っていても起こして母乳やミルクを飲ませましょう

スヤスヤと眠っている赤ちゃんを起こすのはちょっとかわいそうに思うかもしれませんが、以下を参考にやさしく起こしてあげてください。

赤ちゃんを起こすときのコツ7つ

赤ちゃんのオムツ替え

・声をかけてみる
赤ちゃんの名前を呼んで、「〇〇ちゃん、起きようよ」などと声をかけてみましょう。赤ちゃんが驚かないよう、いきなり大声を出さないように注意を。

・窓をあけてみる
赤ちゃんが寝ている部屋の窓を開け、外気を入れたり外の音が聞こえるようにします。

・掛けている布団を外して、薄着にする
かけているものが複数枚ある場合は、1枚ずつ外してみます。

・体に触れてみる (眉間や額・唇に触れる、背骨に沿って指でなぞる、足の裏をくすぐるなど)
声をかけるなどしても目覚めないときは、赤ちゃんの体にやさしく触れましょう。

・おっぱいを唇に近づけてみる
長時間眠っている間に、赤ちゃんはおなかがすいているはずです。ママのおっぱいや哺乳びんの乳首などを、赤ちゃんの唇近づけたりふれたりしてみましょう。

・水でしぼったガーゼで顔をふいてみる
いろいろ試してもまだ眠っているときには、赤ちゃんに声をかけながら水でしぼったガーゼで顔をふいてみると目を覚ますことがあります。

・おむつを替える
何もしても効果がない時には、思い切っておむつ替えをしましょう。おむつを開くことで肌が空気にふれたり、体を動かされたりする刺激で目を覚ますことが多いものです。

体重の増え具合を見てみよう

赤ちゃん
Lazy dummy

新生児期の授乳間隔は、栄養方法(ミルクか母乳か)での差や個人差もありますが、だいたい1~3時間おきくらいです。赤ちゃんが長く眠ってしまうことで一番心配なのは、授乳回数が減ってしまうことでしょう。それにより、「栄養が足りなくなるのでは?」「体重が増えないのでは?」と心配になるママ・パパもいると思います。

その場合はまず、体重の増え具合をチェックしましょう。生後3ヶ月ごろまでは、1日に25~30gくらいの体重増加が期待されますが、母乳のみで育っている場合はもう少し少なめを目安とする考えもあります[*3] 。体重の増え具合についてはまず1ヶ月健診などでもチェックしますから、必要があればその際に飲ませ方や栄養方法などを指導してもらえるでしょう。健診の時期以外で体重の増え具合が気になるときは、念のため出産した産院や小児科に相談すると安心です。

関連記事 ▶︎生後0ヶ月(新生児)の母乳の授乳間隔は?成長とお世話の仕方
関連記事 ▶︎赤ちゃんの体重は?新生児~1歳までの体重の目安
関連記事 ▶︎生後1ヶ月の赤ちゃんの特徴は?成長の目安

新生児がよく眠っているときのチェックポイント

伸びをする赤ちゃん
Lazy dummy

体温・気温・湿度をチェック

赤ちゃんがぐっすりとよく眠っていて脱水などの心配がないときでも、こまめに様子を見ることが大切です。

背中に汗をかいていないか、体が冷たくないか、おむつは汚れていないかなど、赤ちゃんが快適に眠れているかをときどきチェックしましょう。
関連記事 ▶︎新生児の熱、何℃あったら受診?平熱はどのくらい?
関連記事 ▶︎赤ちゃんの手足が冷たい! 関連する病気と対処法

また、室温や湿度にも配慮しましょう。室温は、冬は20~25度で夏は26~28度くらいを目安にします。季節にかかわらず、50~60%の湿度が理想です。ムシムシする季節にはエアコンを使うと湿度も下がりますが、空気が乾燥する冬場は加湿器を使ったり室内に洗濯物を干すなどして湿度を保つといいですね。
関連記事 ▶︎赤ちゃんの室温の目安は? 季節別の温度調整ガイド

なお、エアコンの温度設定をしても、室内の状態などによっては必ずしもその温度になるとは限りません。赤ちゃんがいる場所に温湿度計を置いてときどきチェックし、快適な室温・湿度になるよう調節しましょう。

寝姿勢をチェック

新生児期の赤ちゃんは、さまざまな機能の発達過程にあり、体が危険な状態になっても回避する身体的機能が未熟です。赤ちゃんは乳幼児突然死症候群(SIDS)の心配があるため、長時間眠っているときにはしっかり呼吸をしているか、念のため定期的にチェックをする必要があります。

この時期の赤ちゃんは、自分で寝がえりはできないものの、うつぶせ寝にしているとよく眠る傾向があります。しかし、うつぶせで眠るとSIDSの発症率が高いことがわかっていますので、少なくても1歳になるまでは、就寝時はあおむけで寝かせましょう。

関連記事 ▶︎赤ちゃんのうつぶせ寝のリスクとは?

まとめ

眠る赤ちゃん
Lazy dummy

育児をしていると、悩みは尽きないものです。赤ちゃんが寝てくれないことを悩むこともあれば、寝すぎを心配することもあるでしょう。
新生児期は1日のほとんどを寝て過ごし、睡眠と覚醒を短いサイクルでくり返すのが一般的です。ただ、眠りのリズムにも個人差があり、よく寝る子もいればこま切れにしか寝ない子もいますし、抱っこしていないと寝ない子もいるなど、いろいろなタイプの赤ちゃんがいます。
長時間眠ってくれたほうが大人は楽とはいえ、あまり眠ってばかりでは気になるかもしれません。でも、体重の増え具合が順調なら心配のないケースがほとんどです。脱水やうつぶせ寝などにさえ注意すればあまり神経質にならず、赤ちゃんをたっぷり寝かせてあげてくださいね。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-