【歯科医師監修】赤ちゃんの歯ぎしりの原因は?やめさせるべき?
赤ちゃんがギリギリ歯ぎしりをしたり、カチカチ歯をかみしめたりしていると、ストレス?心理面に問題でも? と不安になるものです。赤ちゃんに特有の歯ぎしりや対応について解説します。
歯ぎしりってなに?口の中では何が起きている⁉
歯ぎしりにはいろいろな種類があります。まずは歯ぎしりの種類について知っておきましょう。
歯ぎしりとは? 種類があるってほんと?
歯ぎしりは、従来「寝ている間に上下の歯をすりあわせて音を立てること」を指しましたが、現在では、睡眠時、覚醒時を問わず、歯をすりあわせたり、かみしめたりするさまざまな動作のことを歯ぎしりと呼ぶようになりました。専門用語ではブラキシズムと言います。
ブラキシズムには、上下の歯を擦りあわせるグラインディング、上下の歯をカチカチかみ合わせるタッピング、上下の歯を強くかみしめるクレンチングなどがあります。
歯はどんな順でいつごろ生えてくる?
赤ちゃんの歯は生後6〜8ヶ月ごろに下の前歯から生え始めること多く、少し遅れて上の前歯が生えてきます。その後、上前歯の隣、下前歯の隣……とどんどん奥に向かって生えていき、1歳半くらいになると上下の奥歯(第1乳臼歯)が生えます[*1]。
赤ちゃんなのに、歯ぎしり!?
実は、歯ぎしりをする赤ちゃんは珍しくありません。大人の歯ぎしりとの違いを知っておきましょう。
歯ぎしりと眠りの深さの関係
歯ぎしりは睡眠と関わりがあり、深い睡眠から浅い睡眠に変わるときに歯ぎしりしやすいと言われています。
大人は深い睡眠と浅い睡眠(レム睡眠とノンレム睡眠)を90分のサイクル繰り返していますが[*2]、赤ちゃんは睡眠のリズムが確立されておらず、深い睡眠と浅い睡眠を短いスパンで行ったり来たりします。そのため、歯ぎしりが起こりやすいと考えられます。
なお、大人のような睡眠サイクルが完成するのは5〜10歳と言われています[*3]。
睡眠中の歯ぎしりの発生率は、小児で10〜20%、成人で約5~8%、高齢者で2~3%というデータがあります[*4]。子供の歯ぎしりはよくあることなのですね。
歯が生えるときにみられる
睡眠時の歯ぎしりの原因はよくわかっていません。大人の場合はストレスや飲酒など、いろいろなことが関与していますが、赤ちゃんや子供の歯ぎしりには、歯を使う練習やかみ合わせの調整の意味もあったり、生えてきた歯をどう使うか試しているとも言われています。
そのため、赤ちゃんや子供の歯ぎしりは、乳歯が生え始める生後6〜8ヶ月ごろ、乳臼歯が生えるころ、また、乳歯から永久歯に生え変わるころによくみられます。
ムリにやめさせずに見守ろう
赤ちゃんや子供が歯ぎしりをすると、ストレスなどの心理面が心配になったり、歯や歯並びへの影響が気になりますが、成長の課程で見られる一時的なものであることが多いので、様子をみましょう。
受診や治療が必要な歯ぎしり
歯ぎしりで受診が必要になる時や、どんな治療が行われるのかを知っていると安心です。
こんな時は受診を
次のような場合はしみたり、痛みが出ることがあるので、子供の様子を見て問題を感じたら受診をしましょう。判断に迷ったときも受診してください。
・歯ぎしりが強くて頬の粘膜やくちびるが傷ついている
・歯ぎしりが長く続いて、歯がすりへる、もしくは欠ける
・象牙質が露出したり、歯周組織に負担がかかってしみる(痛い)ようだ
まとめ
上と下の前歯が生えるころから、赤ちゃんの歯ぎしりは見られることがあります。かみ合わせの調整の意味もあるので、見守ってあげましょう。
(文:村山真由美/監修:石塚ひろみ先生)
※画像はイメージです
[*1]日本歯科医師会「歯とお口の発生と育ち方」
[*2]厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」
[*3] 堀忠雄「ヒト睡眠の基礎-睡眠の発達」(日本睡眠学会)
[*4]日本歯科医師会「歯ぎしり」
厚生労働省 e-ヘルスネット「歯ぎしり」
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます