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2023年01月19日 10:55 更新

【歯科医師監修】指しゃぶりで出っ歯になるって本当? リスクとやめさせる時期・方法

子供が指しゃぶりをする姿を見て、出っ歯(上顎前突)など歯並びに影響しないか気になったことはありませんか? ここでは指しゃぶりと歯並びの関係、指しゃぶりのリスク、やめさせる時期や方法についてお話しします。

指しゃぶりって歯に悪いの?

指しゃぶりって歯に悪いのか
Lazy dummy

指しゃぶりは歯に悪いものなのでしょうか? 指しゃぶりの役割や指しゃぶりが減る時期、歯並びとの関係について知っておきましょう。

赤ちゃんの指しゃぶりは自然なこと

赤ちゃんにとって、指しゃぶりは授乳の練習や世界を知るための手がかりとなっています。
そのため、赤ちゃんが指しゃぶりをしていてもやめさせる必要はなく、成長とともにやめられるようにサポートするだけで十分です。
赤ちゃんの成長発達と指しゃぶりの関係は次の通りです。

胎児のころ

胎生14週ごろ(妊娠5ヶ月ごろ)から、胎児は口に手を持っていくようになります。やがて胎生24週ごろ(妊娠7ヶ月ごろ)には、指を吸う動きも見せるようになります。さらに、胎生32週ごろ(妊娠9ヶ月ごろ)になると、指を吸いながら羊水を飲み込む動きも見せます[*1]。

胎児の指しゃぶりは吸って飲み込む練習、つまり「生まれてすぐに母乳を飲むための練習」なのです。

乳幼児のころ

生後2~4ヶ月の赤ちゃんは、口のそばに指や物が来ると無意識のうちに吸います。さらに生後5ヶ月ごろからは、何でも口に持っていってしゃぶるようになります。

こうした動きは、目と手を協調させて動かすための練習と考えられています。また、色々な物をしゃぶることで、形や味、性質などを学び取ってもいるのです。

なお、つかまり立ちや伝い歩き、ひとり立ち、歩き始めなどは指しゃぶりをしながらではやりづらいので、そのころから指しゃぶりは減っていきます。さらに1~2歳ごろになって積み木やお人形など、手指を使う遊びが増えてくると昼間の指しゃぶりは減り、退屈な時や眠い時にだけするようになっていきます[*1]。

指しゃぶりが続くと歯並びに悪影響が!

赤ちゃん時代の指しゃぶりは成長発達の1つですが、幼児になっても長く指をしゃぶり続けていると歯並びや咬み合わせに影響して、次のようなトラブルに繫がります。

上顎前突

上の前歯が前方に出る状態。いわゆる「出っ歯」。

開咬

上下の歯を咬み合わせても、上下の前歯の間にすき間ができる状態。

交差咬合

上下の奥歯が横にずれてしまって、中心が合わない状態。

発音や呼吸に影響することも

長く指しゃぶりを続けて歯並びや咬み合わせが悪くなると、次のような問題も起こりやすくなります。

舌の癖がつく

上下の歯の間にできたすき間に舌を押し込んだり、飲み込む時に舌を前に出したり、歯を押す癖がつ
きやすくなります。

発音がはっきりしない

唇や舌が正しく動けず、「サ行・タ行・ナ行・ラ行」などの発音がしにくかったり、舌足らずな話し方になりやすいです。

口が閉じにくくなり、口呼吸に

出っ歯になって唇を閉じにくくなると、口が開いたままになりやすく、口呼吸になりやすくなってしまいます。

食べこぼし

唇がうまく閉じないと、食べこぼしやコップで水分を飲みにくいなどの影響が出ることもあります。

指しゃぶりはいつごろ止めるべき?

指しゃぶりはいつごろ止めるべきか
Lazy dummy

赤ちゃん時代はメリットが多い指しゃぶりですが、将来のトラブルを防ぐためには何歳くらいでやめればいいのでしょうか?

2~3歳くらいから指しゃぶりは卒業を

1~2歳頃になると、遊びが広がり昼間の指しゃぶりは減っていきます。退屈な時や眠い時に指をしゃぶることはありますが、あまり神経質になることなく見守ってあげましょう。

3歳から就学前までの時期は、保育園や幼稚園で子供同士の遊びが増えて、社会性が発達していきま
す。指しゃぶりは赤ちゃんがするもの、自分はもう赤ちゃんじゃないという自覚が芽生えると自然に卒業できることが多いです。小学校の入学後は、ほとんどの子供が指しゃぶりをしなくなります[*1]。

ただし、子供の中には指しゃぶりが癖になってしまい、なかなかやめられない子もいます。歯並びや発音、呼吸などに影響する前に、2~3歳くらいからママやパパがサポートしていきましょう。

指しゃぶりを卒業するときのママやパパのサポート方法については、次でお伝えします。

指しゃぶりをやめさせる方法って?

指しゃぶりをやめさせる方法
Lazy dummy

子供が指しゃぶりを自然にやめるためには、まわりの大人はどんなことをすればいいのでしょうか? 毎日の生活の中でできることを紹介します。

子どもとたくさん触れ合おう

子供が怖がったり嫌な気持ちになることがないように、自然に指しゃぶりをやめさせてあげたいですよね。ママやパパは次のようなやり方で対処してみましょう。

子供との触れ合いを大切にする

手や口を使った遊びやおもちゃを一緒に楽しんであげましょう。
また眠る前には、寝つくまで手を握ったり絵本を読んで、安心させてあげるのもおすすめです。絵本も1冊だけと言わず、できれば好きなだけ読んであげられると、子供もより満足して眠りにつくことができるでしょう。

外遊びや運動をたくさんする

適度に日光を浴びてエネルギーを十分に発散し、全身を使った遊びをたくさんしましょう。
ママやパパも一緒に遊んであげてくださいね。

指しゃぶりが減ったらたくさんほめる

叱りつけたり怖がらせても指しゃぶりはなくなりません。指しゃぶりが減ったら、たくさんほめて、気持ちを満たしてあげましょう。

やめられない時は専門家の手を借りて

ママやパパがサポートしていても、指しゃぶりをなかなかやめられない子もいます。それはその子が悪いのではなく、癖になってしまっただけなのです。

癖をやめるのは大人でも大変なものです。
だからこそ、3歳過ぎても指しゃぶりが頻繁に続いていたり、小学校入学後も指しゃぶりを続けていたら、家庭内でどうにかしようとせずにぜひ小児科医や小児歯科医、臨床心理士に相談してみましょう。

専門家ならではの対応方法を指導してもらったり、子供に合った方法を見つけて、無理なく指しゃぶりから卒業していってくださいね。

まとめ

指しゃぶりと出っ歯の関係
Lazy dummy

指しゃぶりは赤ちゃんの成長発達にとって、ごく自然な行為です。でも、長く指しゃぶりを続けていると、歯並びが悪くなったり、悪い発音や口を開ける癖、舌の癖にもつながります。歯や口、発音などに影響する前に、2~3歳までには指しゃぶりをやめさせてあげたいですね。

指しゃぶりが自然になくならない場合は、たくさん体を動かして一緒に遊び、手や口を使う機会を増やしてあげましょう。絵本の読み聞かせや、寝つくまで手を握るなどの工夫もおすすめです。

それでもやめられない場合は、小児科医や小児歯科医、臨床心理士に相談し、その子に合った方法を探していってくださいね。

(文:大崎典子/監修:石塚ひろみ先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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