離乳食のほうれん草|下処理方法やペーストの作り方、冷凍方法とレシピ【管理栄養士監修】
葉物野菜の定番、ほうれん草は離乳初期から取り入れられる食材です。下処理のコツ(塩茹では?電子レンジ加熱は?)や基本のペーストの作り方、冷凍方法などを解説します。初期・中期・後期、それぞれの時期の赤ちゃん喜ぶ離乳食レシピもお試しください。
ほうれん草、赤ちゃんは離乳食でいつから食べていいの?
ほうれん草は離乳食の初期からOK
・中期の調理:葉先をやわらかく茹でて粗くつぶす
・後期の調理:全体をやわらかく茹でて粗めのみじん切りにする
・完了期の調理:全体をやわらかく茹でて1cm幅に切る
■ワンポイントアドバイス■
ほうれん草はどんな野菜? 旬と栄養素
ほうれん草の旬の時期は「冬」
ほうれん草は季節を問わず店頭で見かける野菜ですが、11月から1月ごろの冬が旬となります。
ほうれん草は「鉄分」が豊富
ほうれん草が栄養面でとくに優秀なのが「鉄分」で、鉄分の吸収率を高める「ビタミンC」も多く含まれています。鉄分は離乳期の赤ちゃんにも重要な栄養素なので、嬉しいですね。そのほかにもカロテン、ビタミンB1・B2なども豊富です。
離乳食のほうれん草、下処理・下ごしらえの方法
洗い方のコツ
溜め水の中で振り洗いする事で汚れが落ちやすいです。根元は土がたまりやすいのでよくあらいましょう。
加熱のコツ
■ワンポイントアドバイス■
塩や重曹を入れて茹でてもいいの?
塩は入れなくてよい
ほうれん草のアク抜きや色をきれいに出すために、茹で水に食塩を添加する場合が多いと思います。しかしながら、一般的に添加される「ひとつまみ」の量ではその効果がないとも言われています。
離乳食作りにおいて食塩はできるだけ減らしたいものです。食塩を入れなくても、加熱後すぐに冷水で冷やすことで色をきれいに保つことができます。
重曹は入れてもOK
重曹の添加は色をきれいに保ち、葉の組織を軟化させますので、離乳食には添加するメリットがあると言えます。
電子レンジで加熱する場合
やわらかく仕上がれば、電子レンジを使っても問題ありません。水で洗ったほうれん草をラップに包み、600Wで1〜2分加熱します。その後すぐに冷水に浸して5分ほど置くことで、アク抜き効果が期待でき、色もきれいに保てます。
基本のほうれん草ペーストの作り方
■材料
(作りやすい量:約4-5回分)
・ほうれん草(葉先のみ) 50g
・水 適宜
■作り方
① ほうれん草は、よく洗い2、3cmの長さに切る
② 鍋に水をいれて沸騰させ、やわらかくなるまで茹でる
③ ブレンダーや裏ごしでペーストにする
*もたっとして重くなってしまったら、お湯を加えてポタージュ状くらいになるまでのばします
ほうれん草の冷凍保存の方法
ほうれん草の冷凍保存はいくつか方法があります。
ペーストを冷凍する
基本のほうれん草ペーストをつくり、製氷皿に小分けにしていれ、蓋をして凍らせます。
製氷皿の多くは1つが大さじ1くらい入ることがあるので、離乳食の1回量の目安としてもいいかもしれませんね。
<使用するとき>
大さじ1であれば、だいたい目安として、電子レンジ(600W)で20秒ほど加熱します。
茹でたほうれん草を冷凍する
茹でたほうれん草の水気をよくきり、絞ったような状態のまま、葉先だけを切り取って、棒状にまとめて、ラップにしっかりくるみ冷凍します。
<使用するとき>
欲しい分だけ、すりおろして使うこともできますが、残りの部分の再冷凍が心配です。残りの部分は解凍されないうちにすぐ冷凍庫にしまいましょう。
生のほうれん草を冷凍する
調理をする時間はないけれど、新鮮な野菜をそのままキープしたいというときは、そのまま冷凍することができます。
生のほうれん草をよく洗って、葉先だけを切り分けて、水分を拭き取って冷凍します。
<使用するとき>
しっかり茹でて使いましょう。できたら一度茹でこぼしてから使うと、さらにいいでしょう。
冷凍食品のほうれん草でもOK
市販の冷凍ほうれん草を使用する際には、農薬や栄養素の含有量が気になる方もいるかもしれません。
しかし、国産・外国産問わず、冷凍野菜類には厳しい残留農薬基準が設けられており、取り扱うメーカーも生産農場まで足を運び、栽培や加工を厳重に管理しています。冷凍保存による栄養価の変化はほぼ無いと言われています。
冷凍することで繊維が潰れるため、生鮮のほうれん草を茹でるよりやわらかく仕上げやすく、離乳食への利用はおすすめです。
ほうれん草の離乳食レシピ! 初期・中期・後期
離乳初期|ほうれん草のミルクポタージュ
■材料(作りやすい分量)
・ほうれん草 25g(2株分の葉先)
・玉ねぎ 50g(1/4個)
・じゃがいも 50g(1/2個)
・水 100cc
・育児用ミルク 80cc(70℃以上のお湯で調乳)
■作り方
① 水、薄切りにした玉ねぎ、じゃがいもを小鍋に入れ、やわらかくなるまで強火で煮る
② 別鍋で1分ほど茹でたほうれん草の葉を流水にさらし、①に加える
※この際に水が足りなければ、ほうれん草が浸るくらい(50㏄程度まで)水を加える
③ 水分も合わせて裏ごしする
※フードプロセッサーなども可
④ 潰したものとミルクで薄めるようにして完成
離乳中期|ほうれん草とツナのトマト煮
■材料(約1回分)
・ほうれん草 10g(1株分の葉先)
・トマトピューレ 15g(大さじ1)
・ツナ(水煮) 10g
・ツナの煮汁 5g(小さじ1)
■作り方
① ほうれん草はやわらかく茹でてきざんでおく
② 茹でたほうれん草を細かくきざみ、トマトピューレ、ツナ、ツナの煮汁を耐熱容器に入れラップをかける
③ 電子レンジ600Wで20〜30秒加熱する
離乳後期|ほうれん草と豚肉のお好み焼き
■材料
・茹でたほうれん草 15g
・茹でたキャベツ 15g
・茹でた豚ひき肉 10g
・絹ごし豆腐 20g
・小麦粉 大さじ2
・マヨネーズ 小さじ1
・かつお粉 小さじ1/4
・青のり 小さじ1/4
■作り方
① 豆腐を滑らかに潰す。茹でておいたほうれん草とキャベツは細かくきざむ
② 豆腐とその他の全ての材料を混ぜ合わせる
③ 2つに分けてフライパンで両面2分ずつ焼く
※油を少量ひいてもよい
まとめ
ほうれん草は、よく噛まないと、そのまま便として排出されてしまうこともある食材です。小さく切って噛みやすくしてあげたり、少し口の中で噛めるようなおやきのようなタイプにすると、パサつきなどが気にならずに食べることができます。
水分の中にぺらっと葉が浮いているようなものだと、ほうれん草だけ残ってしまったり、野菜嫌いになってしまうきっかけにも。食べやすく調理してあげましょう。
(文:奥野由 先生、監修:川口由美子 先生)
※調理撮影:マイナビ子育て編集部
※そのほか挿入画像はイメージです
フジ子河村. 「ほうれんそうをゆでる」. 調理科学 19, no. 3 (1986年): 190–92.
優子吉田, と志摩子植田. 「クロロフィルの色調に及ぼす加熱とpHの影響」
眞喜子和泉. 「青菜のゆで調理」. 日本調理科学会誌 39, no. 3 (2006年): 240–43.
「食品添加物及び食品中の残留農薬に関する安全対策」- 国における取組みについて -
瑞穂井上, 亜由美高橋と加織久保. 「ホウレンソウ中のビタミンc量の冷凍および解凍による変化」. 日本調理科学会大会研究発表要旨集 26 (2014年): 107.
Tsujimura Masaru, Arai kyoko, Komatsubara HaurmiとKasai Takamasa. 「Annual changes in the contents of vitamins in the frozen of freeze-dried vegetables and fruits」. food preservation science 23, no. 1 (1997年): 35–40.