離乳食と授乳のバランス<回数・量・順番>母乳やミルクはいつまで?【管理栄養士監修】
出産後、状況ごとに育児で悩むことは多々あったかと思いますが、中でも離乳食は量や進め方、時期など悩み多きテーマですよね。今回は「離乳食と母乳(おっぱい)・ミルクのバランス」について解説したいと思います。
離乳食が始まったら授乳は終わり?
離乳食が始まった赤ちゃん。少ないながらも食事が始まると、「母乳やミルクはこのまま続けていいの?」「どのくらいあげればいい?」と迷う親御さんも多いことでしょう。
また、“離乳” という言葉から「授乳は少なめにしたほうがいいのかな?」と思うことも。実際はどうなのでしょうか。
授乳の期間「いつまでで終わり」という決まりはない
離乳食をスタートしてからも、母乳やミルクは授乳のリズムに沿って赤ちゃんが欲しがる量をあげます。
「乳から離れる」と書きますが、離乳期=主に食事で栄養が摂れるまでの時期を指すので、卒乳・断乳など母乳やミルクをやめることではないのです。
ここでいう「授乳のリズムに沿う」というのは、“ぐずったら即授乳” ということはしないようにして、赤ちゃんがほどよい空腹感を得るためにも、月齢に応じて授乳間隔をあけていくと考えるとわかりやすいでしょう。
離乳食を始めてすぐはごく少量のおかゆなどで、その後時間をかけて食べられる食材や量を少しずつ増やしていきます。食事の回数も1日1回から2回、3回と増えて、食べることに少しずつ慣れていきます。
離乳食では食べる練習をしつつ、「食べたい!」「食べるって楽しい!」という気持ちを育てていくことも大事な目的です。初めから離乳食のみで十分な栄養やエネルギーを得られるわけではないので、離乳食を始めてからもしばらくは母乳・ミルクが必要であることは変わらないのです。
いつまで母乳やミルクが必要?
赤ちゃんによっては、「離乳食を食べないで母乳ばっかり欲しがる」ということもあれば、「びっくりするほどパクパク食べて、あまり母乳やミルクを飲まなくなった」とこともあります。それでは、離乳食開始後いつごろまで授乳は必要なのでしょうか。
1歳ごろまでは母乳やミルクの栄養が必要
まず大前提として、母乳を継続する期間については「赤ちゃんが何歳になったら終わらせなければいけないのか」について決まりまありません。
一方、「いつまで続ければいいか」については、事情によって異なりますが、少なくとも1歳までは母乳もしくはミルクの栄養は必要であると言えます。
3回の食事と2回ほどの補食(おやつ)でしっかりとおなかいっぱい食べられるようになると、栄養やエネルギーのほとんどを食事から摂れるようになります。それができるようになるのが1歳〜1歳半ごろの離乳完了期なので、それまでは授乳が必要ということです。
それが過ぎたら、徐々にママと赤ちゃんの状況を見ながら「いつまで授乳を続けるか」を検討していってもいいでしょう。「夜だけ授乳をやめる」「朝の1回と保育園から帰ってきてから1回だけ母乳をあげる」など部分的に授乳をやめるご家庭もあるようです。また、ミルクを飲んでいた赤ちゃんであれば、1歳過ぎから食事をメインにして少し牛乳を足してもいいですね。
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離乳食の回数の目安について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎離乳食の2回食の進め方は?開始時期、献立や量、タイムスケジュール
関連記事 ▶︎離乳食の3回食はいつから?始め方や進め方
離乳開始〜完了までの離乳食と授乳の回数・量・順番
「離乳食〇期」という表記について
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」によると、正しくは「離乳初期」や「離乳中期」となりますが、本記事ではわかりやすく「離乳食初期」や「離乳食中期」と表記しています。
① 離乳食初期(生後5〜6ヶ月ごろ)の離乳食と母乳・ミルク
この時期は母乳やミルク以外を初めて口にします。赤ちゃんにとってはとても大きな変化ですので、まずは味に慣れて飲み込めるようになることが最優先。栄養やエネルギーは母乳やミルクから摂るので、授乳のリズムに沿って赤ちゃんの欲しがるだけあげましょう。
離乳食はまだ1回の時期なので、離乳食が終わったら赤ちゃんが満足するまで授乳します。
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離乳食の初期について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎離乳食初期の基本を解説!よくある悩み・疑問
② 離乳食中期(生後7〜8ヶ月ごろ)の離乳食と母乳・ミルク
食べることにもだいぶ慣れてくると、2回食が始まります※。午前と午後のそれぞれの離乳食の後に授乳しましょう。食事の後以外では、母乳は赤ちゃんが欲しがるだけ、ミルクは1日3回程度(離乳食後を合わせると1日5回)授乳します。
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離乳食の中期について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎離乳食中期のポイントを解説|よくある悩み・疑問
※基本的に「2回食」「3回食」という言葉はありません。1日2回くらい食べることをわかりやすく「2回食」、3回くらい食べることを「3回食」と呼びますが、本来決まりはありませんので、何ヶ月だから2回とか3回という決まりはありません。
③ 離乳食後期(生後9〜11ヶ月ごろ)の離乳食と母乳・ミルク
2回食に慣れて、食べることにも用意することにも慣れたら、今度は3回食がスタートします。このころになると授乳回数も減ってきて、離乳食で少しずつエネルギーの半分以上を摂れるようになってきます。
それぞれの離乳食の後に授乳し、母乳は赤ちゃんが欲しがるだけ、ミルクは1日2回程度(離乳食後を合わせると1日5回)授乳します。
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離乳食の後期について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎離乳食後期の基本を解説!よくある悩み・疑問
④ 離乳食完了期(1歳〜1歳半ごろ)の離乳食と母乳・ミルク
3回食のリズムも整い、手づかみなどで自分で食べられるようになる時期です。母乳やミルク以外の食事で必要な栄養やエネルギーを摂れるようになりますが、まだまだ1回に食べられる量は少ないので、間食(おやつ)で補ってあげましょう。
授乳に関しては、特に母乳に関しては無理にやめる必要はなく、離乳食の進み具合に応じてあげるようになります。1歳を過ぎたこの時期であれば、ミルクは食事に切り替え、何か似たような飲み物が欲しければ少量の牛乳にしてもいいでしょう。
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離乳食の完了期について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎離乳食完了期のポイントを解説
まとめ
離乳食が始まったからと言って、「これで授乳は終わり」とはなりません。特に食事の回数が少ない時期は離乳食だけでは栄養やエネルギーを十分に摂ることができないので、適切に母乳やミルクを上げる必要があります。食べられる量が多くなり、食事をしっかりとれておなかが空かないようなら、授乳を終わらせていってもいいでしょう。もちろん、離乳食が終わっても母乳を続けることは全く問題ありませんので、ママと赤ちゃんにとって無理のない範囲で授乳の終わりの時期を見極められるといいですね。
(文:マイナビ子育て編集部、監修:川口由美子 先生)