赤ちゃんが離乳食を食べない4つの原因と月齢別の解決法!【管理栄養士監修】
一生懸命離乳食を作っても、なぜか赤ちゃんが食べてくれないことがあります。食べない理由は、赤ちゃんの成長発達や離乳食の形などさまざまです。ここでは、食べない理由や離乳食の進め方、月齢別の対処法について説明します。
離乳食を食べないのはなぜ?
離乳食を食べないのには色々な理由が考えられます。ここでは月齢に関わらず考えられる理由を紹介します。
1. 食べにくいから
赤ちゃんが離乳食を口から出してしまうと、嫌がって食べないと感じるかもしれません。でも実は、食べようという気持ちはあっても食べられなかったり、食べにくいこともあります。
離乳食を始める前の生後5ヶ月ごろまでは、母乳やミルクを飲みやすいように赤ちゃんの舌は上下に押す動きしかできません。この動きだと、形状のあるものを口に入れても喉に取り込めないで、口から出てしまうことがあります。
舌と口の動きは、赤ちゃんの成長とともに変化していきます。
そのため、舌と口の動きに合わない形の食べ物を口にすると、うまく食べられなくて口から出すことがあるのです。
下の表を目安に、赤ちゃんの舌や口の動かし方と、今あげている離乳食がマッチしているかどうかチェックしてみてくださいね[*1]。
離乳初期 (生後5〜6ヶ月ごろ) |
離乳中期 (生後7〜8ヶ月ごろ) |
離乳後期 (生後9〜11ヶ月ごろ) |
離乳完了期 (生後12〜18ヶ月ごろ) |
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調理形態 | 滑らかにすりつぶした状態 (ヨーグルト状) |
舌でつぶせるかたさ (豆腐くらいのかたさ) |
歯ぐきでつぶせるかたさ (バナナくらいのかたさ) |
歯ぐきで噛めるかたさ (肉団子くらいのかたさ) |
摂食機能の目安 | 口を閉じて取り込みや飲み込みができるようになる | 舌と上顎でつぶしていくことができるようになる | 歯ぐきでつぶすことができるようになる | 歯を使うようになる 歯ぐきで噛みつぶせる |
各時期の離乳食の進め方について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
離乳初期
離乳中期
離乳後期
離乳完了期
2. お腹がすいていないから
赤ちゃんがお腹がすいていないために、離乳食を食べたがらないこともあります。
まずは離乳食の時間にお腹がすくように、直前の授乳は控えるのもいいでしょう。離乳食の少し前に遊んでお腹をすかせてあげるのもいいですね。反対にお腹がすきすぎてしまうとすぐに飲める母乳やミルクを欲しがることもありますので、その場合は母乳やミルクを少しあげて、落ち着いてご飯が食べられるようにするのもいいでしょう。
また、生活リズムをできるだけ整えて、朝起きて夜眠る生活に少しずつ近づけ、「大人のごはんのにおいを嗅いでお腹を空かせる」などの環境を作っていくことも大切です。
3. 気が乗らないから
赤ちゃんの自我が育つにつれて、食べムラが出たり、好き嫌いをして自己主張するようになってきます。そのため「昨日は食べなくても今日は食べる」「昨日はたくさん食べたのに今日は全然食べない」といった様子が見られることもあります。
そんな時は1回ごとの食べる量は気にせずに、1週間単位でだいたい食べたかどうかチェックしてみてくださいね。
なかなか食べない時には、20分前後で離乳食を引っ込めて食事を終わりにするのもおすすめです。
いつも少し残して食べない場合は、盛り付けを減らしてバランスよく色々なものを食べられるようにするのもいいですね。
なお、赤ちゃんだけが食べるのではなく、ママやパパ、兄弟など誰かと一緒に食べるようにすると、赤ちゃんが食欲を見せてくれることがあります。離乳食をあげるのは大変ですが、赤ちゃんに食べる喜びを伝えるためにも、できるだけ家族などと一緒に食べるようにしたいですね。
4. 気が散っているから
お腹がすいていて好き嫌いがなくても、気が散っていて食べたがらないこともあります。
離乳食の前にはおもちゃなどが赤ちゃんの目に入らないように片づけるか、おもちゃに背をむけて食べられるようにするといいでしょう。
また、楽しく食事ができる環境づくりは大事ですが「おいしい?」「この食べ物はなにかな?」などと声をかけすぎて、赤ちゃんの気が散ってしまうことがあります。3歳未満の子供は、食べることそのものに集中するため、食べながら話に耳を傾けたり声かけに反応することは難しいものです[*2]。気が散って食事が進まない場合は、食べることへの集中力を削がないよう声かけは控え気味にして、自然な明るい雰囲気の中で離乳食をあげてくださいね。
無理やり食べさせるのはやめて!
離乳食は単に食べ物を食べることを覚えるためのものではありません。色々な味や舌触りを楽しんだり、“手づかみ食べ” で自力で食べる喜びを知ったり、家族と一緒に食べることでコミュニケーションや思いやりの心を育てていくことも大切です。
赤ちゃんが食べないからと無理やり離乳食を口に突っ込んでしまうと、ますます食べたがらなくなってしまうこともあります。
食べない時には無理強いせずに、その日は離乳食を終わりにしても大丈夫です。食べる楽しみや喜びを大切に、のんびり離乳食をあげていってくださいね。
月齢別・お悩み解決法!
月齢ごとによく見られる「食べない」お悩みの対処法を紹介します。
離乳初期(生後5~6ヶ月ごろ)
口に入れても出してしまう
赤ちゃんは離乳食を拒否しているのではなく、反射で出していることがあります。
低月齢の赤ちゃんは、舌で乳首を押して母乳やミルクを出す「哺乳反射」があります。哺乳反射は生後5~7ヶ月ごろになくなりますが、離乳食を始めたころにまだ哺乳反射があると、舌で離乳食を喉まで取り込めずに口から押し出してしまうのです[*1]。
まずはスプーンなどを軽く口に入れてみて、舌で押し出さないか確認してみましょう。もし舌で押し出してしまう場合は、哺乳反射が残っていますので、押し出さなくなるまで離乳食はいったんお休みするのがおすすめです。
離乳初期の進め方については、次の記事も参考にしてくださいね。
離乳中期(生後7~8ヶ月ごろ)
口を開けたがらない
離乳食を差し出しても口を開けたがらない日が続いたら、いらないという表現だと考えられます。
そんな時には離乳食はお休みして授乳だけにして、親子で気持ちを切り替えたらまた離乳食を始めてみましょう。
なお、赤ちゃんが用心深い性格で、“食べなれない食べ物” を不安に感じている可能性もあります。大人がおいしそうに食べる姿を見せたり、離乳食をあげる時にスプーンにすくってからよく見せたり、食べる真似をすると、不安な気持ちが和らぐかもしれません。
離乳食を食べることは赤ちゃんにとってちょっとした冒険です。怖い気持ちに寄り添ってあげられるといいですね。
離乳食後期(生後9~11ヶ月ごろ)
かたさのあるものを食べたがらない
離乳食の進め方によく月齢が書き添えてありますが、あくまで目安で、実際には個人差が大きいものです。本では月齢に合っているものが食べられなかったり、なかなか次の段階に進めないことはよくあります。
加熱するとかたくなる肉や魚は、すりつぶしてとろみをつけると食べやすくなります。食パンなどのパンはパンがゆにすると食べられることがあります。料理方法も工夫しながら、食べられるものを中心にあげつつ、食べられるものを増やしていきましょう。
特定の人からしか食べない
人見知りや場所見知りのせいで、いつも離乳食をくれる人(ママなど)からしか食べがらないこともあるのです。
慣れれば落ち着いて食べられるようになるので、おじいちゃん・おばあちゃんなどいつもとは違う人があげる時は焦らないで、様子を見ながら気長に食べさせてあげましょう。
離乳完了期(1歳~1歳6ヶ月ごろ)
決まったもの以外食べない
いつも同じものばかりを食べたがるのは、慣れない食べ物に対して不安や警戒心があることも考えられます。
離乳完了期ごろには、赤ちゃんの自我が育ち自己主張するようになります。そのため、自分で食べようとする意欲が見られるようになるとともに、好き嫌いもはっきり主張するようになるのです。
食べ慣れた物をあげながら、大人が違う物をおいしそうに食べてみせたり、少しだけ食べさせてみましょう。
なお、一時的にご飯を食べなくなるのはよくあることで、まただんだんと食べるようになってきます。
食べさせてもらわないと食べない
このころの赤ちゃんには、親から自立しようと思う一方で完全に離れるのは不安に感じる「再接近期」が訪れます。そのため、自分で食べられる物も大人に甘えて食べさせてほしがることがあります。
その場合は、一時的なことなので食べさせてあげてもいいでしょう。甘えて気持ちが満たされると、自分でも食べようとするようになります。自分で食べたらたくさんほめてあげましょう。「自分でできた」といううれしい気持ちも、自分で食べようとする意欲につながるはずですよ。
まとめ
離乳食を食べたがらない時には、舌や口の機能がまだ十分ではなかったり、気が乗らなかったり、食べ物の形状が食べにくいなどの理由が考えられます。また、赤ちゃんがまだお腹がすいていない時も食べたがらないものです。
今まで母乳やミルクからしか栄養分をとっていなかった赤ちゃんにしてみれば、離乳食を食べることは1つの冒険です。赤ちゃんがどんな理由で食べたがらないのかを考え、どうしても食べない時には一度食事を終わらせたり、一時的にお休みしたりしながら、気長につき合っていきましょう。赤ちゃんに食べさせるだけでなく、大人がおいしそうに一緒に食べることも大切です。ゆったりした空気を大切に、食べることの楽しさ・喜びを教えてあげてくださいね。
(文:大崎典子/監修:川口由美子先生)
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