【医師取材】子供のアレルギーの種類・検査の方法は?
湿疹やかゆみ、鼻水など、子供にアレルギーかもしれないという症状があると、アレルギー検査を受けさせるべきか迷いますよね。ここでは、アレルギー検査の内容や、検査で何がわかるのかなどをご紹介していきます。
現代病の1つアレルギー
そもそもアレルギーとは
私たちの体には、細菌やウイルスなどの異物が体内に入ってくると、それを撃退するための物質をつくって体を守ろうとする「免疫システム」が備わっています。ところが、この免疫システムが過剰に働いてしまい、本来は体に害のないものにも反応することで、さまざまな症状を引き起こしてしまうことがあります。これを「アレルギー(アレルギー反応)」といいます。体内に侵入してきた異物は「抗原(こうげん)」、抗原に対する免疫反応として体内に生成される物質は「抗体」と呼ばれ、アレルギーの原因になる抗原は、「アレルゲン」と呼ばれます。
アレルギーの種類
アレルギーは、起こり方の違いによって、I型~V型までの5つの型に分けられています。ここでは、一般的によく用いられるI型とIV型についてご説明します。
I型
アレルゲンが体内に侵入してから、短時間で反応が起こるもののことで、「即時型」と呼ばれます。
【I型アレルギーによって起こる主な病気】
アレルギー性鼻炎、気管支喘息(ぜんそく)、食物アレルギーなどによる蕁麻疹(じんましん)、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックなど。
IV型
抗体とは関係なく、サイトカインという物質によって起こる反応です。I型に比べて反応が現れるのが遅く、1~2日ほど経ってから症状が現れるので、「遅延型」とも呼ばれます。
【IV型アレルギーによって起こる主な病気】
接触皮膚炎(かぶれやただれ)など。天然痘や麻疹の発疹もIV型アレルギーによるものと考えられる。
特に悩んでいる人が多いアレルギー疾患とは
アレルギーが原因で起こる病気の中でも、特に多く見られるものに、次の病気がありま
アレルギー性鼻炎
ダニやほこり、花粉などのアレルゲンが侵入してきた際に、体がそれを攻撃し無害化しようとした結果、鼻炎や、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が現れるのがアレルギー性鼻炎です。
食物アレルギー
特定の食品によってアレルギー症状を引き起こす病気で、乳幼児期の子供に多く見られます。アレルゲンとなる食品は人によってさまざまですが、小さな子供の場合は、鶏卵、小麦、牛乳が3大主要原因となっています。食物アレルギーの症状は、湿疹やかゆみ、むくみなどの皮膚症状、くしゃみ、咳、呼吸困難などの呼吸器症状、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状など、人それぞれです。また、重症の場合は、「アナフィラキシーショック」というショック状態に陥り、命にかかわることもあります。
アトピー性皮膚炎
かゆみのある湿疹ができ、それが良くなったり、悪くなったりを繰り返す皮膚の病気です。はじめに、主に顔や頭、耳の付け根、首などに赤い湿疹ができ、次第にジクジクしてきます。やがて、全身の皮膚が乾燥するようになり、首、わき、肘や膝の裏側などに、カサカサした湿疹ができるようになります。
気管支ぜん息
多くはアレルギー反応によって気管支の粘膜に炎症が起き、空気の通り道が狭くなって、呼吸困難の発作を繰り返す病気です。咳や痰が出たり、呼吸をする度にゼーゼー、ヒューヒューと音がしたりするようになります。発作がひどくなると、肩を上下させて苦しそうに呼吸をしたり、呼吸のたびに胸や喉が凹んだりするようになり、さらに重くなると、酸素不足に陥って、命にかかわることもあります。
アレルギーの検査とは
アレルギー検査でわかること
アレルギーを疑う症状がある場合に、アレルギー検査をすることで、アレルギー体質を持っているかどうかや、何がアレルゲンなのかなどを調べることができます。
アレルギー検査にはどんなものがある?
アレルギー検査には、いろいろなものがありますが、よく行われる主な検査は、「血液検査」「皮膚テスト」「食物除去・負荷試験」です。
血液検査
血液検査では、採血をして、血液中に含まれる「IgE抗体(アレルギー反応に関わるタンパク質)」の量などを調べます。採取した血液中のIgE抗体の総量を調べる「非特異的IgE検査」では、アレルギー体質かどうかや、その強さがわかります。
また、IgE抗体は、ダニに対するIgE抗体、スギに対するIgE抗体というように、それぞれのアレルゲンに対して存在します。このため、どのアレルゲンに対するIgE抗体がどれぐらいあるかを調べる「特異的IgE抗体検査」をすることで、アレルゲンを特定する参考になります。
皮膚テスト
アレルゲンだと予測されるもののエキスを腕の皮膚に染み込ませ、アレルギー反応が現れるかどうかを調べる検査です。アレルゲンエキスを注射で皮下に注入する「皮内テスト」、アレルゲンエキスを1滴垂らした皮膚を針でこすったり刺したりする「スクラッチテスト・プリックテスト」、アレルゲンエキスを垂らした専用のパッチを皮膚に貼りつける「パッチテスト」があります。
食物除去・負荷試験
「食物除去試験」では、アレルゲンだと予測される食べ物を除去した食事を1~2週間続けてみて、症状が治まるかどうかを調べます。逆に「負荷試験」では、アレルゲンだと予測されるものを食べさせてみて、アレルギー症状が現れるかどうかを見ます。アナフィラキシーショックなど、激しいアレルギー反応が現れる可能性がある検査なので、医師の指導のもと慎重に行います。
まとめ
「乳児湿疹だと思っていたらアトピー性皮膚炎だった」など、病気の中には、アレルギーではないのにアレルギー疾患に似た症状が現れるものがあります。勝手に食物アレルギーだと判断して、除去食にしていると、子供の成長に必要な栄養が不足してしまう可能性も考えられます。お子さんにアレルギーのような症状が現れているときは、自己判断せず、まず病院を受診し、アレルギー検査を受ける必要があるかどうか医師に相談しましょう。
※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.06.25)
