フードが玄関の取っ手に引っかかり、4歳の女の子の首が…【親が知りたい子供の危険①】
身近なものが子供の安全を脅かすことがあります。しかし、前もって知っておくだけで防げる事故もあります。今回は「フード付きパーカー」で起こった事故事例をお伝えします。フード付きの服を着用して登校・登園することを禁止しているケースも多いですが、実際にはどのようなリスクがあるのでしょうか。この季節は特に、ぜひ知ってください。
休日の午後、玄関で起きた「フード付きパーカー」の事故
ある日曜の午後。Aちゃん(4歳9ヶ月・女児)が家で遊んでいました。その後、1人で玄関から出ようとしたところで事故が起きました。
「玄関の取っ手」に引っかかったフードを発見
当時、自宅にいたのは両親と7歳のお兄ちゃん。
お父さんはお兄ちゃんとリビングでピアノを弾いていて、お母さんはキッチンにいました。
午後1時半ごろ、お母さんは、玄関の扉が開き誰かが出ていった気配を感じます。しかし、リビングからピアノの音が流れていたので、詳しくはわかりませんでした。
それから10分ほどして、Aさんがどこにいるのか気になったお母さんは玄関へ向かいます。そして、玄関の取っ手の下の部分にAさんのフード部分が引っかかった状態で扉が閉まっていたのを発見します。
ドアの外にはパーカー首部が巻きついたAちゃんが
ドアの外からはAちゃんの泣き声が聞こえます。
そこで、扉(外開き)を開けたところ、そこには、パーカーの首部分が自分の首に巻き付いた状態のAちゃんがいたのです。
「!!」
お母さんは慌ててパーカーを脱がせます。助け出されたAちゃんには意識があり、咳き込みますが、唇の色は黒くなっていました。
その後、医療機関を受診。遅れて出る障害を監視するために入院しましたが、幸いにも悪化することはなく、翌日退院となりました。
なお、Aちゃんの症状から、首が締まった状態は数分間続いていたと推測されています。
77%が「子供の危険」を体験している
2006年に東京都が行なった調査では、ヒヤリハット事例を含む子供用衣類が関係した事故は77%の人が経験しており、その中で6人に1人は実際に怪我をした経験がありました[*2]。
フードだけじゃない、引っかかる危険
Aちゃんに起こったような事故は、上着のフードだけでなく他の状況でも起こり得ます。例えば、ある幼稚園の園庭で起きた事故では、5歳の女の子が、水筒の紐が遊具に引っかかることで2分間もの間、首を吊った状態(縊頸)になりました[*3]。そのほかにも、首回りの紐(遊具などに引っかかる恐れ)、ウエストや腰回りの紐(自転車のタイヤなどに巻きつく恐れ)などにも注意が必要です[*4]。
子供の事故は外出先だけで起こるわけではない
こういった事故は、子供に「気をつけてね」と言うだけでは防げません。また、保育園や学校にフード付きの服を着ていかなくても、家で着ている場合でも危険は生じます。
子供の行動は予想外であり、大人でも予測することができません。また、ひもやパーカーなどでは物にひっかかることもあり、重大な事故となりえます。普段安心して使っているものでも、安全に配慮して作られているか、身につけさせることに危険はないかという視点が重要です。子供の服の危険なポイントは以下のサイトで確認できますので、参考にしてください。
▶︎経済産業省 「その服、「カワイイ」だけで選んでませんか?」
(文・構成:マイナビ子育て編集部/監修:武井智昭 先生)
この記事は、日本小児科学会の「Injury Alert(傷害速報)」を元に作成しています。
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▶︎「まさかうちの子が!」子供の不慮の事故を防ぐため、小児科医がお父さん・お母さんに伝えたいこと
[*1] 日本小児科学会 Injury Alert(傷害速報)「No.031 フード付きパーカーによる縊頸」
[*2] 東京都商品等安全対策協議会「子ども用衣類の安全確保について」
[*3] 日本小児科学会 Injury Alert(傷害速報)類似事例
[*4] 経済産業省「その服、「カワイイ」だけで選んでませんか?」
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます
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