女子の反抗期に多い4つの特徴とは?娘を持つ親が知っておきたい上手な接し方【心理カウンセラー解説】
何でも話してくれていたお子さんが、ある時期になると急に無口になったり、親を批判するような言動をみせるようになる時があります。「これは反抗期?」「個性なの?」と、親にとっては子どもへの接し方が難しい時期がありますね。子どもの成長の証である反抗期の特徴と上手な対応方法について心理カウンセラーの梅村先生が解説します。
- 子どもの反抗期は3回ある
- 反抗期に男女差はある?
- 父親・母親に対しての「反抗期の現れ方」にも違いが
- 閉じこもり、無視、スマホ依存…女子に多い反抗期の悩みとは
- 中間反抗期の乗り越え方のポイント
- 甘えたい気持ちを受け止める
- 第二次反抗期の乗り越え方、4つの対応
- 【1】親との関わりを避ける場合(特に父親を毛嫌い)
- 【2】顔を合わせると衝突してしまう場合
- 【3】人の目が気になり、自信が持てない場合
- 【4】対人関係で悩みがちな場合
- やりがちだけど逆効果! 反抗期女子にNGな対応
- NG1 放置する・突き放す
- NG2 感情的になり、子どもと同じ目線で腹を立ててしまう
- NG3 否定的な言葉をかける
- NG4 しつこく質問して聞き出す
- 反抗期がない女の子もいる?
- まとめ
(文:うららか相談室 梅村かおり)
子どもの反抗期は3回ある
子どもが成長する過程では、大きく分けて3回の反抗期があるとされています。
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① 第一次反抗期(2歳児前後 いわゆるイヤイヤ期)
② 中間反抗期(およそ年長~小学校高学年頃)※
③ 第二次反抗期(小学校高学年~中学生頃)
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※中間反抗期の時期は諸説あり
ここでは、中間反抗期と第二次反抗期を中心に解説していきます。
中間反抗期が起きる理由
スイスの心理学者のピアジェ(Piaget,J 1896-1980)の認知発達段階理論によると、2歳から7歳ごろの子どもの発達段階(前操作期)は、まだ自己中心的で他者の視点を持てずにいるとされています。見た目の印象に左右されやすいのも特徴の一つです。そして次の7歳から11歳の子どもの発達段階(具体的操作期)は、子どもが自分は世界の中心ではないことを知る転換期となり、それまで知っていた世界が大きく変化することになります。中間反抗期は、ちょうどこの具体的操作期に当たり、子どものこころは大きく揺れ動く時期ともいえるのです。
第二次反抗期が起きる理由
思春期は、第二次性徴の出現に伴い、体型の変化などに戸惑う子どもも多い時期です。そして周囲との関係によって、自分の変化を受け入れられない難しさが表れやすい時期でもあります。
ピアジェの発達段階理論(形式的操作期11歳以降)では、より抽象的な思考ができるようになり、自分の身近なことから、より広い展望へと視点の幅が大きく変化するとされています。自分の価値観と、親や友達の価値観が違うことを理解するのもこの時期です。自分とは何かについて考え始めることで、自分と周囲との関係性や対人面でのバランスについて不安が高まる傾向は多くの子どもにみられます。
身体の成長に伴う衝動性が高まり、自己像が揺らぐことで、自分でも説明できないイライラが生じがちな時期なのです。
反抗期に男女差はある?
相談で寄せられる内容としては、
・女子は親への距離を取ったり暴言が増えること
・男子は暴れてモノを壊すなどの行動に関する問題
が多いです。
もちろん個人差はありますが、男女の性別によって子どもの反抗期の傾向には多少の違いがあります。女子は口が達者で、言葉で言い返すことが多いのに比べて、男子は言葉で言い返すよりも先に手が出たり、物に当たる傾向があるようです。
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父親・母親に対しての「反抗期の現れ方」にも違いが
性別問わず、親子間の情緒的関係性が良好だと、母親への反抗的な感情が抑えられる傾向があるようです。一般的には男子の場合は、父親との同一化を求めるため母親に対して暴言を吐いたり、ものにあたることが多いようです。
女子は
・父親を毛嫌いする
・母親を無視したり批判する言動をする
などが多くみられる傾向があるようです。
一方で、女子は男子よりも母親への依存性、親密性が高いため、なかには表立って反抗的行動が現れにくい子もいるようです。
閉じこもり、無視、スマホ依存…女子に多い反抗期の悩みとは
反抗期を迎えた女子との関わりに関して、保護者の方々から以下のような相談が多く寄せられています。
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✅ 部屋に閉じこもって親とのコミュニケーションを避ける
✅ 話しかけても返事をしない・無視する
✅ スマホ・ゲームへの依存
✅ 過度な口答えをする(暴言など)・自分が悪くても謝らない
✅ 人の目を過剰に気にする
✅ 親に隠し事をする
✅ 友達関係で悩んでいるようだが親に相談しない
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中間反抗期の乗り越え方のポイント
中間反抗期と第二次反抗期では、対応方法が異なります。まずは中間反抗期から解説します。
甘えたい気持ちを受け止める
およそ年長~小学校高学年ごろ、発達段階が早期の中間反抗期の子どもは、自分で解決したい思いが強い自立の時期でもあり、一見反抗的に見えても、実は親のサポートを求めています。我が子の甘えたい気持ちを受け止めましょう。
第二次反抗期の乗り越え方、4つの対応
小学校高学年~中学生頃の第二反抗期の子どもは、自分と親が違う人間であることの認識が進み、自分を一人の人間として見て欲しい思いがより強くなり、その結果干渉を嫌がる傾向があります。また、周囲からの評価に敏感になり、自分を他者と比べて劣等感を持ちやすい傾向もあります。
【1】親との関わりを避ける場合(特に父親を毛嫌い)
身体の変化に伴い、性の意識が芽生えることで、父親に違和感を抱き遠ざける子も少なくありません。必要以上の干渉を控えて、子どもが頼ってきたときにいつでも助ける用意があること日頃から伝えましょう。また、無理やり従わせることは避けて、子どもが自主的に行動出来るように「~して欲しい」という形で伝えると良いでしょう。
【2】顔を合わせると衝突してしまう場合
お子さんがカッとなっているときには、そっとしておいたほうがいい時もあります。頭ごなしに叱ったり、すぐにどうすれば良いかをアドバイスするよりも、まず子どもの話を共感的に聞くようにしましょう。
【3】人の目が気になり、自信が持てない場合
心配なことがあればいつでも聞く姿勢を普段から見せましょう。また、家を居心地の良い場所にして安心感を持たせる工夫もよいでしょう。友達と比べたり、否定をしないことも大切です。
【4】対人関係で悩みがちな場合
子どもが交友関係についてなかなか打ち明けない時には、第三者を通じて子どもの情報を得るなどの対策をとりましょう。
やりがちだけど逆効果! 反抗期女子にNGな対応
反抗期はそれに向き合う親も大変なものです。しかし、やってしまいがちな言動の中には、反抗期の女子に対してやってはいけないものもあります。
NG1 放置する・突き放す
親も対応に困り果てていっそ放置してしまいたくなることもありますね。そのような時は、実はお子さんも同じ気持ちでいることが多いです。たとえ返事がなくても、子どもは親の対応をしっかりと見ています。子どもの自己肯定感を支え、お子さんを信じて見守る姿勢を続けましょう。
NG2 感情的になり、子どもと同じ目線で腹を立ててしまう
毎日反抗的な態度を取られたり、屁理屈(へりくつ)をこねられたりすると、怒りがこみ上げてくることもあるでしょう。
どうにか気持ちを落ち着け、子どもの言葉を途中でさえぎらずに、一歩譲って話を聞くようにしましょう。子どもが自分の考えを持つことは成長の一歩です。親とは違う人格があることを認めて接しましょう。
NG3 否定的な言葉をかける
この時期のお子さんは、自己像が不確定で自信をもちにくく、周囲から自分がどのように見えるかにとても敏感です。親からかけられた言葉はそのまま受け取ってしまい、傷つく言葉は長い間心に残ります。まずお子さんの気持ちを聞いてから、具体的にどうすればよいかを伝えるように心がけましょう。
NG4 しつこく質問して聞き出す
反抗期はお子さんが何を考えているかわかりにくい時期です。親としては心配が重なるかもしれませんが、子どもが求めてきた時に応える姿勢でいると、お子さんが自分から話しやすくなります。親が心配している様子は、お子さんに伝わりやすく、お子さんの不安につながります。時にはお子さんが助けを求めてくる時を待って、親は落ち着いて寄り添うことも大切です。
反抗期がない女の子もいる?
穏やかな性格の子の中には、反抗期が表れにくい子どももいます。その場合は比較的親と良好な関係を築いていることが多いようです。しかし、子どもによって表れ方は様々で、反抗期があるからといって親の育て方の悪い訳ではありません。
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関連記事:「反抗期がない」のはどんな子ども?特徴と将来起こりうるリスクとは【心理カウンセラー解説】
まとめ
子どもは親に反抗しながらも、見守られる中で成長します。親は、子どもから反抗されても、変わらず味方でい続けることが大切です。
反抗期は、やがて子どもが一人の人間として精神的に自立していく過程として、親子が互いに成長する貴重な機会です。あとで振り返ると、嵐のように過ぎ去るものではありますが、もしご両親が対処しきれずにお辛いと思われるときには、迷わず身近な人にサポートを求めてくださいね。
(文:うららか相談室 梅村かおり/構成:マイナビ子育て編集部)
※写真はイメージです
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