乳歯がグラグラしてたら、自分で抜いてもいいの? 抜けるのが早い/遅い場合のリスクとは|歯科医解説
歯の生え替わりの時期。スムーズに永久歯が生えてくればいいのですが、グラつきが長引いて、子どもも不快そう……いっそのこと無理にでも引き抜いてしまいたい!と思うこともあります。今回は歯科医の熊谷靖司先生(熊谷歯科医院院長)に、「グラグラする乳歯は家庭で抜いていいか」について解説いただきました。
■今回の解決ドクター:熊谷 靖司 先生(熊谷歯科医院院長/歯科医師)
乳歯のグラグラが気になる……家庭で抜いてもいい?
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Q 子どもの歯の生え変わりの時期、グラグラする歯が気になるようで、ずっと指で触ったり食事の時に嫌そうにしていたりします。みたところ、自然と抜けるまではまだ時間がかかりそうです。この場合、家庭で無理やり抜いてしまってもいいものでしょうか?
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乳歯が生え替わる時期には個人差がありますが、一般的には小学校入学時期から卒業くらいの時期に生え替わります。小学生の間、ずーっと生え替わりを経験すると思うと、結構長い期間、煩わしいグラグラを経験するわけです。
皆さんも何をしていても歯がグラグラしているのが気になる、ご飯を食べようとしても歯がグラグラしていてうまく噛めない。そんな経験があるのではないでしょうか。中には、糸で縛って親や兄弟に抜いてもらったという経験をしたことがある人もいるでしょう。
そんな生え替わりの時期に気をつける点がいくつかあります。
抜けるタイミング、早くても遅くてもリスクが
歯が生え替わる時期はどの部分の歯であるかによって変わってきます。皆さんも下の前歯から歯がグラグラしてきたという記憶がある方が多いのではないでしょうか。これは下から生えてくる永久歯と顎の成長の時期が関わっています。そして、グラグラだから抜いてしまえばよい、ということではありません。
本来生え替わるタイミングよりも早く抜いてしまうと、下から生えてくる永久歯が出てくるまでの間そこには歯がない状態となります。すると周囲の歯がそのスペースへ移動してしまい、歯列不正、つまり歯並びが悪い状態となる可能性が高くなります。
では逆に、抜けるのは遅い方がいいかというとそうではありません。生え替わりのタイミングが遅れると、下から生えてくる永久歯が収まるスペースを乳歯が邪魔してしまい、こちらも永久歯の歯列不正へと繋がってしまう可能性があります。
このように、歯の生え替わりにも適切なタイミングというものがあるのです。
歯がグラグラしてきたら、どうするのが正解?
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Q 自己判断は永久歯の歯並びに影響するのですね。では、歯がグラグラしてきたらどうすればいいのでしょうか?
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グラグラしている歯が気になるときには、無理に歯を抜いたりせず、ぜひ一度かかりつけの歯科医院に診てもらってください。歯を抜く抜かないの判断だけでなく、生え変わったばかりの永久歯についてもアドバイスをもらえると思います。
特に、人生100年時代をお口を健康に維持しながら歩むためにも、この生え替わりの時期から歯科医院へ通う習慣を付けることはとても大切です。小学校高学年になると親のいうことを聞かなくなる反抗期に入ります。歯を磨くように言ってもなかなか行動できないことも多く、気づけば虫歯ができている……みたいなことになってしまいます。ぜひこの時期にかかり付け歯科医院へ通う習慣をつけてくださいね。
(文:熊谷 靖司 先生、協力:株式会社メディコレ、構成:マイナビ子育て編集部)
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