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2026年02月01日 17:31 更新

「子どもと公園5時間」もへっちゃらなパパが、収入減のリスクを負ってでも手に入れたかったもの #男性育休取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘している当人の声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回はこれまでの連載に登場した中でも取得期間が最長。1年半の育休を取得して、復職したパパのインタビューをお届けします!

パパが1年6カ月の育休を取得した竹村ファミリー

今回のパパ
竹村嘉章さん/38歳/株式会社トゥモロー・ネット 情報システム部門

●ご家族
妻:ひまりさん/38歳/専業主婦
長女:あおちゃん/5歳
次女:きいろちゃん/3歳
  
※ご家族の名前は仮名です。

●竹村家のパパ育休
2022年6月、次女の誕生に合わせて出産予定日の2週間前から育休に入り、結果的に約1年半の長期取得を実現。当時社員数が40〜50名規模だった勤務先のトゥモロー・ネットでは初の長期男性育休事例となったが、これを機に男女各4名が育休を取得するなど社内の意識変革にも貢献した。復帰から2年が経つ現在、週の半分は在宅勤務を活用。子育てを「専業主婦の妻任せ」にせず、仕事と育児を両立している。

竹村さんの育休中のタイムスケジュール

■第一子のときの「もっと育児に関わりたかった」という後悔から取得を決意

――竹村さんはもともと1年予定で育休に入り、結果的に1年半というかなり長期の育休を取得されたそうですね。長期育休に踏み切った理由を教えてください。

竹村さん  一番大きかったのは、長女が生まれたときの後悔です。当時の僕は「仕事を休むのは難しい」と思い込んでいて、育休を取りませんでした。 でも第二子ができて、「あのとき取得しておけばよかった」「今度はもっと育児に関わりたい」と思ったんです。
 僕たち夫婦は実家が気軽に戻れる距離ではなく、近くに頼れる人もいません。妻は一人目出産のタイミングで退職して、上の娘を自宅保育をしていましたし、その状況で2歳差の姉妹を妻一人で見るというのは、現実的に難しいと感じました。 当時、自分も在宅勤務を取り入れてはいましたが、メインで子育てができているわけではなかったので、子育てに重点を置くなら育休を取得するしかないと考えました。

――育休を取得されたのは出産後すぐからですか?

竹村さん いいえ、予定日の2週間前から有給消化して休みに入りました。 妻の陣痛が来たときに、妻が上の子を抱えて一人で対応しなければならない状況だけは避けたかったんです。
 当時はコロナ禍で、次女の出産に立ち会うことはできなかったので、妻が出産するタイミングで長女と数日間の2人暮らしになりました。出産時に上の娘のケアを心配せずにいられたのは、妻にとっても安心だったかなと思っています。

――本当にそうですね。ただ、それだけ長期の育休となると、会社に伝えるのも少しドキドキしたのでは?

竹村さん はい。当時は1年取得予定だったので、それで話をしましたが、会社というか、会社の外を見回しても自分のような長期取得の前例はありませんでした。ただ、最初に相談した人事担当者が非常に理解のある方で、自分の背中を押してくれ、さらに自分の上司にも話を通してくれるなどフォローをしてくれたんです。
 ほかにも周囲から批判的な声があるかもしれないな……と少し身構えていたんですが、同僚たちからは驚くほど反対意見はなく「いい選択だね」と前向きな声をかけてもらうことができました。本当に恵まれていたと思います。

「昨年の夏の旅先で撮影。これは育休後の旅行ですが、育休中も『お金がない!』と言いつつ、旅行は楽しんでました」(竹村さん)

■「稼ぐのはいつでもできる」貯金を切り崩しての生活を選んだ理由

――1年半となると、気になるのはお金の話です。育児休業給付金があるとはいえ、期間が長くなれば給付率は下がりますし(※)、家計への影響は大きいのではありませんか?

竹村さん そこは本当にリアルな問題としてありました。 実際、生活費の一部は貯金を切り崩して補っていたので、かなり貯金は減りましたね。 ただ、「お金は復帰してからでも稼げる。でも、小さな子どもたちと過ごせる時間は今しかない」という思いが勝ったんです。もし許されるなら、2年休みたかったくらい(笑)。それくらい、子どもたちとの時間は何にも代えがたい価値がありました。

【※編集部注:「育児休業給付金」の給付率は、育休開始から180日(半年)までは休業前の賃金の67%、それ以降は50%とされています。また、2025年4月から、共働き夫婦がともに育児休業を取得した場合に、従来の育児休業給付金に13%の給付率が上乗せされる「出生後休業支援給付金」制度が開始しました。(最大28日間)】

「当時住んでいた家は、2階がリビングで1階が寝室だったので、次女を寝室で寝かせているときに見守りカメラが必須でした。スマホで様子を確認でき、泣いたら通知もしてくれます」(竹村さん)

■長女と公園で長時間遊び続けるのもへっちゃら!

―― 育休中の生活について教えてください。どんな毎日を過ごしていましたか?

竹村さん 毎朝6時に起きて家事を済ませ、8時に子どもたちが起きたら朝食と着替え。そこからは当時2〜3歳だった長女と二人で公園や児童館へ出かけるのが日課でした。 妻は生まれたばかりの次女のお世話があるので、自分は「長女担当」として、午前中は基本的に外に出て遊んでいましたね。

―― 2〜3歳のお子さんと毎日外遊び……! 正直、大人がずっと付き合うのは体力気力ともに大変ではありませんか?

竹村さん 自分は苦にならなかったです。長いと4〜5時間ぶっ通しで遊ぶこともありました。

―― 4〜5時間ですか!? 例えば公園で何を……?

竹村さん  ブランコを押したり、滑り台を滑ったり、ただそれだけ。でも、 家に帰っても家で遊ぶだけなので、外にいても一緒でした(笑)。

―― お子さんへの「付き添い力」が素晴らしいです。そんな竹村さんでも育休中は「これに苦労したな」「大変だったな」と思うことはありますか?

竹村さん 育休中はほとんどの家事・育児を自分が担当していましたが、実はそんなに苦労した覚えはないんです。次女は早くからまとめて寝てくれる子でしたし、お風呂も基本私が一人で二人を入れて、着替えもさせていましたが、洗ったあとに保湿までできるように乳液をお風呂場に置いておき、下着や服は全部脱衣所の手の届くところに置いておくなど、仕組み化していたので、スムーズにできました。

「次女は本当にしっかり寝てくれる子でしたが、それはモロー反射を抑えてくれるスワドルのおかげもあったかもしれません」(竹村さん)

■幼稚園選びで大切にしたのは教育方針よりも先生たちの雰囲気

――公園の話もお風呂の話も、慣れないことで苦労と感じることもあり得ると思うのですが、竹村さん自身はそれを当たり前のこととして受け止めていたのですね。

竹村さん  娘が2人とも本当にいい子だったからだと思います。強いて大変だったことをあげるとするなら、育休中に長女の保育園や幼稚園を見て回ったのですが、情報も手探りで、一つ一つ電話をして見学や説明会に行ってを繰り返したのは、大変でしたね。

――園選びも竹村さんが主導されていたんですね。見学ではどのようなことを重点的に見ていましたか?

竹村さん  園の教育方針よりも、実際に働いている先生方の様子を参考にしていました。園長先生を中心に、先生同士のコミュニケーション・言葉使い・表情を見て、働いている人の環境がどういったものなのか、安心して預けられるかを判断基準としていましたね。
 今、娘が通っている幼稚園の決め手となったのは、園長先生の雰囲気が良かったから。現場の先生方には厳しいことを言うときもあるようですが、子どものことを第一に考えていて、子どもにはこうしてあげたいという思いの強い人なんです。そういった様子を見て、いい組織だなと感じ、この人たちだったら、娘を任せてもいいんじゃないのかなと思いました。

―― 素敵な園と巡り会えて良かったですね。ほかにも印象に残る育児エピソードはありますか?

竹村さん  これは育休が終わってからの話なんですが、長女のトイレトレーニングが初めて成功した瞬間はすごく印象に残っています。長女が3歳になり、幼稚園入園を控えたタイミングで「そろそろおむつを外そうか」と始めました。最初は「本当にできるのかな?」と半信半疑だったんです。
 でもある日、「トイレでおしっこしてみようか」と誘って、便座に座らせてみたら、初めてなのに成功して、驚きました。 娘が自分の力でやり遂げた瞬間に立ち会うことができ、「この子も大きくなったなあ」としみじみ感動しましたね。

「一番最近の写真です。次女も髪が伸びて、長女とそっくりに!」(竹村さん)

■専業主婦家庭でも子育ては夫婦平等にやっていきたい

――職場復帰されてからの生活はいかがですか。1年半のブランクに対する不安はありませんでしたか?

竹村さん 実は休む前は40〜50人くらいの規模だった会社が急成長して、復職するときには社員数が倍になっていたので、知らない顔が半分くらいで驚きました(笑)! しかし、業務自体に不安はなく、ワクワクのほうが大きかったですし、意外とスムーズに戻れました。

――現在はどのように両立されていますか?

竹村さん 仕事は在宅勤務と出社を半々くらいのペースで組み合わせて働いています。在宅の日は、長女を幼稚園バスの来るところまで送り迎えしたり、2人をお風呂に入れたり。通勤時間がない分、その時間を子どもたちとの時間に充てていますね。夜の寝かしつけは今でも毎日、私の担当です。

――在宅の日でなくても寝かしつけ担当なのですね。会社と自宅の距離は近いのでしょうか?

竹村さん 会社までは片道1時間半ほどかかり、通勤時間は決して短くありません。それでも、出社する日は基本的に定時退社にしているので、平日だからといって「子どもたちとの時間が取れない」と感じることはないですね。

――専業主婦家庭だと、どうしても「育児のメインはママ、パパはサブ」という役割分担になりがちです。でも、竹村さんのお話を聞いていると完全にどちらもメインとして関わっている感じがしますね。

竹村さん 子育ては夫婦平等がベースだと考えています。妻が専業主婦だからといって「子育ての中心は妻」という形にはしていませんし、妻自身も「自分は専業主婦なんだから、全部やるべき」という気負いはなさそうです。子どもが体調を崩したときも、僕が早退して子どもを小児科に連れて行くこともあります。

――もともと「子育ては夫婦平等で当然」というお考えだったのですか?

竹村さん 多分違いますね。どちらかというと、妻の考えに自分が寄って行った気がします。 妻はよく話してくれるタイプなので、普段のおしゃべりを通じて「育児に対してこう考えているんだな」「こういうときはこうしてほしいんだな」と、自然と彼女の価値観を学んでいきました。
 僕が取得した育休については、妻も友人たちに「良かったよ」と話してくれているようですし、育休中も何度も「ありがとう」と言ってくれました。彼女にとっても満足のいく時間になったのであれば、何よりです。

――最後にこれから出産を迎えるご夫婦にメッセージをお願いします。

竹村さん 育児のスタイルは夫婦の数だけあると思っています。育休を取らずに働くことを優先するのも、育休をしっかり取得するのも、どちらもその家族にとってのひとつの正解です。
 大切なのは夫婦がお互いにどう考えているかを理解し合うこと。こちらが本当に重要です。同じ方向を向いてその家族にとって良い選択ができればそれが一番だと思います。

(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)

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