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2026年06月24日 10:01 更新

子どもが怠けてみえる本当の理由とは? 現代っ子の多くに圧倒的に不足しているもの

学校から帰宅後、すぐにダラダラし始めるわが子に、「宿題は?」「明日の準備は?」と次の行動に促す声かけをしてしまう親御さんは多いのではないでしょうか。しかし実は、その“ダラダラタイム”こそが、ヘトヘトになった子どもの脳をリセットする大切な「回復タイム」だとしたら……?

書籍『子ども脳疲労』(著:成田奈緒子/日本文芸社)は、小児科専門医である著者が、現代の子どもに起きているその“見えにくい変化”と、回復に必要な生活習慣を解説した一冊です。

今回は、現代っ子の多くが直面している睡眠不足の現状と親として大切にしたい視点について、一部抜粋してお届けします。

子ども脳疲労,日本文芸社

今の子どもは圧倒的に睡眠不足

イメージ画像
※画像はイメージです

睡眠時間は短縮傾向にある

最近の子どもは、以前に比べて眠る時間が短くなっています。小学生に推奨されている睡眠時間が9~12時間であるのに対し、実際の平均睡眠時間は9時間を下回っているのです。多くの家庭で、その状態が当たり前になっています。

睡眠時間が短くなっている背景には、いくつかの要因が重なっています。たとえば、スマホやゲームはその代表例です。少しだけのつもりで触りはじめても、気づけば時間が過ぎてしまいます。動画を一本だけ見るつもりが、次の動画が流れ、やめるタイミングを逃してしまうのもよくあるケースです。また、親の帰宅時間に合わせた生活リズムや、夕方以降まで続く習い事や用事など、大人の都合も睡眠時間の短縮化の一因となっています。

睡眠不足は日中の様子にあらわれる

睡眠は、日中に使った脳を回復させるための大切な休息時間です。眠る時間が足りない状態が続くと、脳の回復が追いつきにくくなります。その結果、日中の集中が続かなかったり、切り替えがうまくいかなかったりする場面が増えていきます。

すぐに目に見える不調としてあらわれないことが多いので見逃されやすいですが、翌日に体調を崩すわけではなくても、元気そうに見えていても、実は余力が少ない状態が続いています。その結果、集中しにくくなる、ぼんやりする、疲れやすい……そんな形で少しずつあらわれます。

睡眠不足が続くと、気持ちの余裕も保ちにくくなります。ちょっとしたことでイライラしたり、気持ちの切り替えに時間がかかったりするのです。これは性格の問題ではなく、休みが足りていない状態で起きやすい反応といえます。本人が意識してコントロールできるものではないことも少なくありません。

「週末にたくさん寝れば大丈夫」と考える人もいますが、睡眠は一日単位で積み重なっていくものです。平日に不足した分を、週末だけで取り戻すのは難しく、むしろ平日と週末のリズム差が大きくなることで、疲れが抜けにくくなってしまうことさえ考えられます。

睡眠の大切さは、よく知られていることです。それでも実際には、子どもの生活のなかで睡眠時間が後回しになっている場面を多く見てきました。のちほど詳しく説明しますが、子どもの脳にとって睡眠時間の確保は、脳疲労を防ぐうえで欠かせない土台になります。

睡眠が足りていない子どもは多い

宿題や習い事、親の生活に合わせた食事や入浴が続き、就寝時刻は少しずつ遅くなっています。その結果、多くの子どもが慢性的な睡眠不足の状態にあります。

子ども脳疲労,日本文芸社
イラスト:しゅんぶん

睡眠時間は取れていても、脳が休めていない子が意外と多い

「寝ている」と「休めている」は別のこと

子どもは夜きちんと寝ている。睡眠時間もそれなりに確保できている。そう感じている家庭でも、実際には脳が十分に回復できていません。睡眠は、時間さえ取れていればよいというものではないからです

眠っている時間が十分にあっても、脳が深く休めていない状態が続くと、脳の疲労回復は追いつきにくくなります。朝は起きられるし、学校にも行けている。それでも、日中に集中が続かなかったり、切り替えに時間がかかったりします。こうした様子が重なるとき、睡眠の「量」だけでなく「質」に目を向ける必要が出てきます。

睡眠の質を下げやすい要因のひとつが、生活リズムの乱れです。就寝時刻や起床時刻が日によって大きくズレていると、脳はバランスの調整に取りかかることになり、十分に休めなくなります。とくに、平日と休日でリズムが大きく変わると、回復のペースが整いにくくなる傾向があります。

もうひとつ、見逃されやすいのが家庭の空気です。家のなかに緊張感や慌ただしさが漂っていると、子どもは無意識のうちに気を張ったまま過ごします。その状態で布団に入っても、脳がすぐに休息モードに切り替わらないことがあるのです

すると、「寝ているのに疲れが抜けない」という状態が起こりやすくなります。朝から元気が出にくく、一日を通してエネルギー不足となり、その結果、学校から帰ってくるころにはすでにぐったりとしてしまうのです。

生活リズムや家の空気によって、同じ睡眠時間でも脳の回復の仕方は大きく変わります。とはいえ、子ども自身が「眠れていない」と自覚することは、あまりありません。子どもの脳を回復させるうえで、どれくらい寝たかという時間だけでなく、脳が安心して休める環境が整っているかどうかも大切なポイントです。

子どもの一日は、親が思う以上に「切り替え」の連続

何気ない一日のなかでも切り替えが続いている

子どもは、学校から帰ってくると家でのんびりしているように見えることがあります。ソファでぼんやりしていたり、床に座り込んだまま動かなかったりして、親の目には余裕があるように映るかもしれません。でも、その一日を細かく追ってみると、実は多くの切り替えを重ねていることに気づきます

まず、子どもは朝起きて身支度をし、学校へ向かい、授業を受けます。そして授業が終われば休み時間に入り、友だちと交流します。友だちとの関係でも、相手に合わせたり、場の空気を読んだりする場面が重なるものです。この時点で、すでに「聞く」「書く」「動く」「待つ」といった行動の切り替えが起きています。

そして、休み時間が終わるとまた授業に戻り、集中しはじめます。その後も給食や掃除、下校まで、場面ごとに求められる振る舞いは変わり、そのたびに頭のなかでは気持ちや注意の向き先を切り替えています。目立ったトラブルがなくても、気を使う時間は一日中続いているのです

学校を終えてからも、切り替えは止まりません。下校して帰宅し、宿題をしたり、習い事へ向かったりします。夕方には食事や入浴、次の日の準備が待っています。ひとつひとつは短い時間でも、次へ次へと移る流れが続くと、気持ちを落ち着ける余地がなくなってしまいます。

何もしていない時間は脳の回復タイム

一方で、親からすると、子どもが何もしていないように見える時間があります。帰宅後にリビングでくつろいでしばらく動かず、ぼんやり過ごしている場面に遭遇したとき、つい「まだ宿題が終わっていないのにゴロゴロしているのか」「ちゃんと明日の準備は済ませているのか」と気になってしまうかもしれません。しかし、その時間は、外で使った力を回復しようとしている大切な過程です。いろいろなスケジュールをこなして切り替えが続いたあとには、いったん止まる時間が必要だといえます。

授業に、友だちとの会話に、習い事にとモードを切り替えることは、子どもの脳内で起こっているだけに気づかれにくく、その大変さはスルーされがちです。けれども、こうした動きは、知らないうちに脳への負荷として蓄積していきます

とくに、度重なる切り替えの合間に休息がはさまらない状態が続くと、回復へと向かう余地がなくなってしまい、たまった疲れはなかなか抜けてくれません。

まずは、予定の多さだけで子どもの一日を判断しないようにしましょう。やることが少なくても、切り替えが多い日はあります。反対に、予定が詰まっているように見えても、その流れが穏やかで負担が少ない日もあります。注目したいのは、切り替えが続いていないか、その間に力を抜ける時間があるかどうかです

子どもが家で何もしていないように見える時間は、ただ怠けている時間とは限らず、次の行動に向かう前に、いったん力を取り戻そうとしている時間かもしれません。その時間を無理に次へつなげようとすると、切り替えがさらに重なり、疲れが抜けにくくなってしまいます。

何もしていない時間を、ただの空白として扱わず、回復に向かう一部として受け取りましょう。その視点が、この先の関わり方を考える土台になります。

切り替えが続くと脳は疲れる

起床から入浴まで、子どもの一日は切り替えの連続です。ひとつひとつは短くても、その積み重ねが脳への負担になります。

子ども脳疲労,日本文芸社
イラスト:しゅんぶん

続きはぜひ書籍でご覧ください。

子ども脳疲労
(2026/06/24時点)

※本記事は、『子ども脳疲労』<著:成田 奈緒子/日本文芸社>より抜粋・再編集して作成しました。

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