- 掲載
- 2026年08月02日 10:06
「6歳を過ぎたからチャイルドシートは不要」は危険? 子どものシートベルトで確認すべきこと/親が知りたい子供の危険
子どもとのお出かけや園や学校、習い事などの送迎に使うことの多い自動車。チャイルドシートの重要性はわかっていても、「子どもが嫌がるから」「すぐそこまでだから」と使用せずに乗せていませんか? 「シートベルトでもいいのでは?」と思うかもしれませんが、子どもに大人用シートベルトを使うことで重大な事故につながるおそれがあります。
正しく着けなければ意味がない「シートベルト」による事故
2024年の夏。一台の軽乗用車が福岡市内の国道を走っていました。軽乗用車の後部座席に座っていたのは7歳と5歳の姉妹。運転していた母親がカーナビに気を取られ、わき見運転をしたところ、対向車線にはみ出してしまい、路線バスに衝突したのです。
この事故で、後部座席の姉妹が亡くなりました。亡くなった2人はシートベルトをしていたものの、チャイルドシートやジュニアシートは使用していませんでした。シートベルトによる腹部の強い圧迫が内臓損傷につながったのではと考えられています。[*1]
2歳児の首にシートベルトが絡まる事故も
シートベルトによる子どもの事故は、ほかにもあります。Aちゃん(2歳・女の子)は、5歳の兄と自動車の後部座席に座っていました。2人がシートベルトで遊んでいたところ……。
「首が!」
兄の声に母親が振り返ると、シートベルトがAちゃんの首にきつく絡まっていたのです。母親は絡まったシートベルトを緩めようとしましたが、シートベルトのロック機構のため、逆に締まっていきました。そこで近隣の店ではさみを借りてベルトを切断。Aちゃんは救急搬送されました。
シートベルトによる事故を防ぐには?
子どもに大人用シートベルトをそのまま使うと、ベルトが首や腹部にかかり、衝突時に重大なけがにつながるおそれがあります。
子どもにはチャイルドシート・ジュニアシートを使う
2つの事例はいずれも、子どもの体格に合ったチャイルドシート(主に乳幼児期向け)やジュニアシート(主に学童期向け)を適切に使用することで、事故の発生または重症化のリスクを減らせた可能性があります。
福岡市で姉妹が死亡した事故では、「ジュニアシートでシートベルトが骨盤にかかっていれば内臓損傷には至らなかった可能性もある」と捜査報告書で医師が指摘しています。[*1] また、Aちゃんの事故でも、「チャイルドシートを使用していれば、このようなことは絶対に起きない」と指摘されています。[*2]
法律上、チャイルドシートの使用が義務付けられているのは「6歳未満」です。ただし、6歳を過ぎても体格によっては大人用シートベルトが適切な位置にかからないため、ジュニアシート(背もたれ付きタイプ、ブースタータイプ)の使用が勧められています。[*3]
JAFは身長150cm未満をチャイルドシート・ジュニアシート使用の目安に
JAFは、子ども用シートの使用について、身長150cm未満を目安としています。ただし、必要かどうかは身長だけで決まるものではありません。実際に座らせたとき、大人用シートベルトが肩と骨盤に適切にかかるかを確認しましょう。
チャイルドシートの正しい使い方
チャイルドシートも適切に使用しなければ、子どもを守ることができません。正しい使い方を確認しておきましょう。
年齢、体格にあうものを選ぶ
チャイルドシートは、新生児期から使える乳児用、幼児用、学童期まで使えるジュニアシートがあります。製品によっては、長い期間使えるものも販売されています。選ぶ際は年齢だけでなく、製品に表示された身長・体重の条件を確認しましょう。乳幼児の間は、取扱説明書で定められた期間、後ろ向きで使用することも重要です。取扱説明書をよく確認し、子どもの年齢と体格にあうものを適切に使用しましょう。[*3]
車に正しく取り付ける
チャイルドシートはすべての車種に対応しているわけではありません。製品によって設置できる車種が決まっています。メーカーなどの「車種別適合表」を参考に、家庭で使用する自動車に合うものを選んでください。取り付け方法も製品によって異なります。設置前に取扱説明書を確認して正しく設置しましょう。
チャイルドシートの正しい使い方などについては、JAFのホームページなどで詳しく解説されています。
シートベルトがかかる位置を確認する
チャイルドシート・ジュニアシート使用推奨基準の「身長150cm未満」は目安であり、車の構造や車種によって異なります。チャイルドシート・ジュニアシートが必要か判断するために確認したいのは、「シートベルトがかかる位置」。腰ベルトは、お腹ではなく骨盤の低い位置にしっかりかかっているかを確認しましょう。肩ベルトは首にかからず、肩から胸にかけて通っている状態が目安です。
身長が150cm以上でもシートベルトが首やお腹にかかってしまうときは、ジュニアシートを使用して肩や腰骨にかかるように調整してください。
夏はチャイルドシートの金具などによるやけどにも注意
炎天下に駐車した車内では、チャイルドシートの表面や、バックルなどの金具が高温になっていることがあります。子どもを座らせる前に、大人が触れて熱くなりすぎていないか確認しましょう。[*4]
子どもがチャイルドシートに座りたがらないときは?
小さな子どもがチャイルドシートを嫌がり、座らせると激しく泣くこともあります。保護者が根負けしそうになる場面もあるでしょう。そうならないために、できることを知っておきましょう。
すぐにできることとして、チャイルドシートが不快になっていないかの確認があります。ベルトがきつすぎないか、正しい姿勢で座れているかなどを確認して調整してください。
夏場はチャイルドシートが熱くなっていて座りたがらないこともあります。車内のエアコンで十分に温度を下げ、チャイルドシートの表面が熱くないことを確認してから座らせましょう。保冷剤を使ってシートを冷ます場合は、子どもの体には直接当てず、乗車前には取り除いてください。
さらに座ったら好きなおもちゃを持たせる、好きな音楽や動画を流すなどして楽しく過ごせる工夫をするのも効果的です。親の顔が見えることで安心する場合もあります。座れるようであれば、親が隣に座るようにしましょう。
家の中でチャイルドシートに慣れることから始めるのも一案です。家で絵本を読み聞かせるとき、テレビを見るときなどにチャイルドシートに座らせて、充分慣れてから車内で使用する方法もあります。
まとめ
子どもは体格が小さいため、大人用シートベルトだけでは、ベルトが首や腹部にかかってしまうことがあります。衝突時には、腹部などに強い力が加わり、重大なけがにつながるおそれがあります。法律上、チャイルドシートの使用が義務付けられているのは6歳未満です。ただし、6歳を過ぎても、大人用シートベルトが肩と骨盤に適切にかからない場合は、ジュニアシートを使用しましょう。JAFは、身長150cm未満を子ども用シート使用の目安としています。
判断のポイントは、年齢だけではありません。腰ベルトが腹部ではなく骨盤の低い位置にかかっているか、肩ベルトが首にかからず肩から胸にかけて通っているかを確認することが重要です。
チャイルドシートを嫌がる子どももいますが、安全のため、子どもの体格に合った製品を正しく取り付け、無理のない範囲で慣れていけるよう工夫しましょう。
(文:佐藤華奈子/監修:山田 克彦 先生)
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[*2] 日本小児科学会 Injury Alert「No.22 ロック機構付きシートベルトによる窒息」
[*3] JAF「チャイルドシート完全ガイド いつまで必要? 取り付け方は?」
[*4] 国土交通省 自動車総合安全情報「チャイルドシートの正しい取り付けについて」
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