【助産師解説】つわり中の仕事の対応方法|職場への報告や休暇について<体験談>
気持ち悪い、吐いてしまう、食べていないと気分が悪い……そんなつらい症状がある「つわり」。しんどいときはゆっくり休んでとは言われるけれど、働いている場合はどうしたらいいのかわからなくなってしまいますよね。「つわりで会社を休んでも大丈夫かな?」「つわりの時期の仕事、どう乗り切る?」今回はそんな疑問にお答えしたいと思います。
妊娠中の働く女性、つわりの時はどうしたらいい?
毎日一生懸命取り組んできた仕事。これからも続けていきたい気持ちはあるのに、体調不良で思うようにはいかないときがあります。特に、妊娠初期になることが多い「つわり」の時期の仕事に関しては、多くの女性が悩むようです。
仕事仲間に、妊娠による体調不良を打ち明けられればいいのだけれど、妊娠報告のタイミングには早く……。つわりの症状と仕事との板挟みになってしまいますよね。
つわりが悪化すると入院が必要になることも
妊婦さんの半数~8割に起こるという「つわり」。妊娠が分かったころ(妊娠6週)から始まるとされています。
症状としては、吐き気や嘔吐などを主とした消化器系のトラブルが多くみられますが、細かな症状やつわりを感じる強さ、つわりが続く期間には個人差があります。
つわりは妊娠によるホルモン変化に伴うものといわれていますが、つわりの症状が悪化すると、食べ物を受け付けなくなり、それによって代謝異常を起こし、時には生命の危険を及ぼす場合もあります。これを医学用語で「妊娠悪阻(にんしんおそ)」といい、妊婦さんの100人に1~2人ほどにみられます。
つわりがひどいなら、職場への相談は早めに
職場への報告の時期を悩まれる人も多いかと思いますが、ケースバイケースで早めに伝えた方がいい場合ばあります。
つわりがひどい場合は早めに相談した方がいいケースの一つ。仕事面でのサポートを受け、勤務時間や業務内容に配慮してもらうのであれば、上司への妊娠報告が必要となるでしょう。
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職場への妊娠報告について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠がわかったらすることって?職場の報告や使える制度・お金
医師記入のカードで会社に対応を求められる
まず、参考になるのが厚生労働省による「妊娠中又は出産後の症状に対応する措置」です。これは、男女雇用機会均等に基づくものです。
例えば、妊婦さんが医師からつわり症状について指導を受けたことを会社(事業主)に伝えた場合は、医師の指導に基づいて、妊婦さんが指導されたことを守ることができるよう、会社側は対応をしなければならならないのです。
措置には以下のようなケースがあります。
・作業の制限
(例)常に全身運動を伴う負担の大きい作業から、負荷が軽いデスクワークへ転換し、負担の軽減をする
・勤務時間の短縮
(例)つわりの症状に対応するため、医師の指導に基づき、1日1時間程度、勤務時間を短くする
・休業
(例)妊娠悪阻の症状に対応するため、医師の指導に基づき、症状が軽くなるまで休業する
・作業環境の変更
(例)つわりの症状に対応するため、悪臭のする勤務場所から移動させる
母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)
つわり中の仕事、どうしてた? 職場では? 通勤電車は? ~ママたちの声~
つわりに苦しんだ働くママたちに「つわり中の仕事」や「働いていて、つわりがつらいときの対策」について聞いてみました。
「食べつわりで出社早々お菓子」
空腹だと気持ちが悪くなる食べつわりでは、就業時間や外出中など時間や場所を問わず、小まめに食べないとつらいですよね。しかしながら、言うに言えない、見た目にも変化が少ない妊娠初期はわかってもらいにくく……。どうか、みなさまお察しください!
「会社と駅のトイレをローテーション」
吐くと一時的にスッキリするが、またぶり返す吐き気。つわり中の通勤、大変でしたね。
「いつもいる人」
氷などの冷たいものを口に含むと、すっきりして楽になるという体験談も多く寄せられました。保冷ができるボトルに入れれば、しばらくの間溶けずに食べられるので、携帯に便利ですね!
「帰宅時、途中下車」
妊娠中はつわりだけでなく、立ちくらみなどを起こす人も。とはいえ、電車で席を譲ってくださいと申し出るのは抵抗があるものですよね。せめて満員電車を避け、座ることができる時間帯での通勤ができれば楽ですね。詳しくは記事の最後にある坂田先生の解説をご覧ください。
「通勤電車がつらい」
「朝が一番つらい」「夕方がしんどい」「夜がピーク」など、つわりがひどくなる時間帯、人によって異なるようです。朝と夕方・夜は通勤時間と重なるので、時差通勤も検討してみてくださいね。詳しくは記事の最後にある坂田先生の解説をご覧ください。
「えびそばのためにも出勤」
つわり中は、「気持ち悪くならずに食べられるもの」が限られることもあるので、それが見つけられるとうれしいですよね! その「えびそば」、ちょっと食べてみたいです・
「1ヶ月の休業」
無理せず休むのも、つわりの時期には大事なことです。つらいときに支えてもらった恩は、いつまでも忘れないもの。いつか恩返しできたらいいですね。
「テレワークでつわりを乗り切る」
一日の中で、起きていられないくらいつらいときもあれば、比較的楽になるときもあるつわりの症状。仕事の内容や状況によっては、可能な範囲で自宅対応できればうれしいですね。それにしても、上司の奥様はすばらしい先輩ママ! もらった優しさは次のママへと受け継がれるんですね。
※マイナビ子育て調べ 調査日時:2019年1月28日~2月4日
助産師・坂田陽子先生からママたちへのアドバイス
つわりの時期、食べられなくて悩む人も多いですよね。つわりの時期は「食べられるものを食べられるだけ、食べたいときに食べる」で大丈夫です。もし、つわりで食べられなくても、赤ちゃんの発育には影響しません。安心してくださいね。つわりの症状は個人差が大きいので、自分に合ったつわりの対処法を見つけましょう!
家事の最中や通勤電車のにおい対策
台所で調理する最中のにおいに敏感になる方も多いです。お惣菜を買う、ご家族に作ってもらうのもいいでしょう。湯気がたつと匂いが漂うので、食事を冷やして食べるのもいいですね。
また、通勤者などでにおいがつらいという人も。妊娠悪阻で入院中の患者さんの中には、ミントや柑橘系のアロマオイルをハンカチなどに1~2滴たらして嗅ぐと、吐き気が楽になるという方も多かったです。試してみてくださいね。
まとめ
ただでさえつらく感じるつわりの時期、お仕事をしているならばなおさら大変ですよね。
神経質になっていたり、我慢をしている妊婦さんは、内心の葛藤がつわりの症状として出やすい印象があります。あなたの話しやすい人、ご主人やお母さん、助産師などに「つらい気持ち」「不安な気持ち」を話してみてください。赤ちゃんのエコー写真などを見て、自分を元気づけるのもいいでしょう。
どうか、お仕事を無理せず、休みながら、気を楽に、つわりの時期を乗り切ってくださいね。
(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:坂田陽子先生)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます