【医師監修】りんご病でも通園できる? 原因と症状、予防策まとめ
保育園や幼稚園、学校などを中心に子供の間で流行しやすい病気のひとつ、「りんご病」。小さい子供がいるママにとっては、どんな病気か、なぜかかってしまうのか、感染したらどのように対処するべきかなど知っておきたいところですよね。今回は、そんな「りんご病」の情報についてご紹介します。
- 子供のほっぺが「りんご色」に! りんご病(伝染性紅斑)ってどんな病気?
- りんご病になる原因って? りんご病はうつるの?
- 最初からほっぺが赤くなるの? 子供がりんご病にかかった場合の症状
- りんご病の潜伏期間はどのくらい? 流行の時期は?
- これってりんご病? 別の病気? 症状が似ている感染症
- 実はりんご病なのに風疹と診断されることも
- 子どもがりんご病に感染したら
- りんご病の治療方法は? 特効薬はあるの?
- ほっぺの赤さはいつまで続く? りんご病の回復までの期間
- いつから幼稚園・学校に行ってもOK? 登園再開の目安は?
- りんご病流行! りんご病予防のためにできること
- りんご病のワクチン、予防接種はあるの?
- 日常生活でできるりんご病の予防法
- まとめ
子供のほっぺが「りんご色」に! りんご病(伝染性紅斑)ってどんな病気?
りんご病になる原因って? りんご病はうつるの?
りんご病は、医学的には「伝染性紅斑」という名前の病気で、パルボウイルスB19というウイルスの感染症です。ほおがあたかもリンゴのように赤くなることから、りんご病と呼ばれています(写真1)。
りんご病は集団生活を送る幼児・学童の間で流行することが多い病気で、飛沫感染と接触感染、母子感染(胎内感染)で感染します (それぞれの感染経路については、この記事後半で解説します)。
なお、りんご病は一度感染すると終生免疫が得られる病気でほとんど再感染しません。
最初からほっぺが赤くなるの? 子供がりんご病にかかった場合の症状
りんご病にかかるとまず初めに 微熱、咳、鼻水、喉の痛みといった 軽いかぜのような症状がみられることがあります(前駆症状)。
特徴的なほおの赤い発疹はその1週間後くらい から現れ、時間とともにレース様の紅斑が腕や手首に広がって1週間~10日で消えるというのが典型的な経過です。
発疹と同時に手足に関節痛が起きたり、年長児から学童・成人では発疹が目立たずに関節痛だけが現れることもあります。
なお、子ども(特に5歳以下)の場合、りんご病のウイルスによって急性肝炎 になることがあります。また、赤血球を作る過程が妨げられて「造血機能障害」が起こることがあります。
健康な子どもであれば問題になりませんが、もともと慢性的な貧血がある場合(遺伝性急状赤血球症など)には一時的に赤血球がつくれないため、時に輸血が必要になることがあり注意が必要です。
りんご病の潜伏期間はどのくらい? 流行の時期は?
りんご病のウイルスに感染してから症状が現れるまでは、1週間~20日ほど間があります。 また、ウイルスに感染していても症状が現れない場合(不顕性感染)が2割程度 あるとされています。
りんご病は数年ごとに流行を繰り返している感染症で、大流行する年には6~7月頃がピークになることが多いようですが、明確な季節性があまりみられない年もあります。
また、りんご病の患者数は、全国の小児科医療機関の中の約3,000カ所から報告されるようになっており、その調査によると例年、数万~10万人の子どもの患者が出るとされています。
首都圏では2018年10月ごろから増え始め、2019年初めには例年にない患者数が報告されています。
写真1 りんご病でほおに出た発疹 | 写真2 二の腕の外側に出た発疹 |
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出典:「伝染性紅斑とは」(国立感染症研究所) (https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html) |
出典:「伝染性紅斑とは」(国立感染症研究所) (https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html) |
これってりんご病? 別の病気? 症状が似ている感染症
実はりんご病なのに風疹と診断されることも
りんご病はかつて、「通常とは異なるタイプの風疹」と考えられていた時期もありました。それだけ病気の経過が風疹と似ているということで、症状が典型的でない場合、症状だけでは区別が難しいこともあります。
流行する時期が重なることが多いのも、両者の区別を難しくしています。
風疹は、風疹ウイルスによる感染症で、「三日ばしか」とも呼ばれています。発熱や発疹、耳の後ろから首の腫れなどが主な症状です。
りんご病と同じウイルスでこんな病気も
りんご病を引き起こすウイルス(パルボウイルスB19)は、りんご病とともに、あるいは単独で、急性肝炎 、関節痛・関節炎 、血小板減少症 などの血液の病気も引き起こすことがあります。
子どもがりんご病に感染したら
りんご病の治療方法は? 特効薬はあるの?
りんご病のウイルスを減らす抗ウイルス薬はありません。そのため原因療法(病気の原因を直接的に治そうとする治療)ではなく、現れた症状ごとに治療を進める「対症療法」が行われます。
例えば、発疹でかゆみがあるのであればかゆみ止めを、発熱や関節の痛みに対しては解熱鎮痛薬などを使うといったことです。
ほっぺの赤さはいつまで続く? りんご病の回復までの期間
特徴的なほおの発疹は時間とともに腕や手首に広がって、出始めてから1週間~10日で引いていきます。
なお、発疹がいったん消えた後に、日光に当たるなどの刺激によって再び現れることがありますが、これはりんご病に再度感染したということではありません。
いつから幼稚園・学校に行ってもOK? 登園再開の目安は?
りんご病では、ウイルスがさかんに体外へと排泄されていて他人に感染させやすい時期は、実は発疹が現れる1週間ほど前の軽いかぜのような症状があった時期です(こういった症状が出ないこともあります)。
そのため、りんご病に感染していることに気づかないうちに、他人に感染させてしまうことがよくあります。
逆に言うと、りんご病の特徴的な発疹が現れた時にはもうウイルスは体からあまり排泄されることはなく、感染力はほぼなくなっているため、体調に問題がなければ登園・登校して差し支えありません。
りんご病流行! りんご病予防のためにできること
りんご病のワクチン、予防接種はあるの?
りんご病のワクチンはまだありません。 前にも述べたように、りんご病は一度かかるとほぼ再感染しませんが、りんご病にかからないまま成人している人では大人になってからでも感染する可能性があります。
また、母親から赤ちゃんへ胎児感染が起きると(母子感染)、時に流産や死産につながることがあります。
ですから周囲に妊婦さんがいる場合は、うつさないようにできるだけ配慮することが大切です。
日常生活でできるりんご病の予防法
りんご病の感染経路の中で、飛沫感染とは、咳やくしゃみ、会話などによって口から飛んだ病原体(ウイルスなど)を含む飛沫により感染することです。飛沫が飛ぶ距離より離れていれば(概ね2メートル)感染する可能性は低くなります。
これに似た感染経路に空気感染がありますが、空気感染の場合は、同じ空間(部屋や教室など)にいると距離が離れていても感染する可能性がありますが(麻疹、水ぼうそうなど)、りんご病はこれとは異なります。
接触感染とは、ウイルスが手などに付着したまま口や鼻に触れることによる感染です。
りんご病が流行すると、国立感染症研究所や自治体のホームページに、その状況が掲載されますので、確認するようにしましょう。また、感染症予防のための一般的な注意として、マスクや手洗いをしましょう。
まとめ
りんご病は子どもによくみられるウイルス性感染症の一つで、大半は自然に軽快します。
特徴的なほおの発疹が現れていると、時に集団生活で他の子どもにうつしてしまうのではないかと心配されることがありますが、ほおの発疹が現れた段階では感染力はなくなっているので、登園・登校を控える必要はないことは覚えておきましょう。
ただし、妊娠中に感染するとおなかの赤ちゃんにも感染して死産・胎児水腫など大きな影響を及ぼすことがあり、妊婦さんにはとくに十分な注意と配慮が大切な病気であることを忘れないようにしましょう。
(文:久保秀実、監修:武井智昭先生)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます