もう疲れた…言うことを聞かない3歳児に逆効果なNG行動7つ【教えて保育士さん】
2歳がイヤイヤ期ということはよく聞くので覚悟している親御さんも多いですよね。しかし、3歳になってもイヤイヤが続く、むしろ3歳になってからのほうがイヤイヤがひどくて疲れた・・・もしかして、私の子育て間違ってた!? なんて悩む方もいるかもしれません。なぜ3歳が言うことを聞かないのか、3歳の成長と上手な対処法を紹介します。
3歳の子が言うことを聞かないのはなぜ?
「3歳になってもまだイヤイヤばかりして毎日怒鳴っている……」なんて親御さん、あなただけではありません。
「もしかしたら発達障害なのかも」と心配になることもあるかもしれませんが、3歳になっても4歳になっても、言うことを聞かないことには必ず原因はあります。まずはお子さんがなぜ言うことを聞かないのかという理由を探ってみましょう。
理由1 3歳は自我がより強くなる
1~2歳頃から自我が芽生えはじめますが、3歳になるとその自我はより強くなります。言葉も達者になり、「これは〇〇だからイヤだ」「〇〇がしたい」など、自己主張ができるようになります。これにより、言うことを聞かないと感じるママやパパが多いでしょう。
3歳になると知恵もついてくるので、一筋縄ではいかないことも多く、1~2歳よりも子育てがつらいと感じることもあります。
しかし、これまでの子育てが間違っていたというわけでは決してありません。自己主張することは、子どもにとって立派な成長です。子どもが個としてしっかり育っている証拠。3歳が言うことを聞かないのは当たり前と考えていいでしょう。
理由2 保護者を試している
第一次反抗期とも言われるこの時期、子どもはママやパパとの関係を自分なりに構築しようとしています。
「こんなイタズラをしたら、ママはどんな反応をするかな?」
「どこまでやったらパパは怒るかな?」
など、大人を試しているのです。
幼稚園で3歳児クラスや4歳児クラスを担任したことがあるのですが、4月当初、先生を試すような行動をすることがよくありました。
わたしの娘はまだ2歳ですが、わざとおもちゃを床に投げつけて
「あー投げちゃうよ~。投げちゃった~!」
とこちらをチラチラ見ながらやっていることがあります。
注意するのも手ですが、ヒートアップしてしまう可能性があります。危険が伴わないのであれば、好ましくない行動でもさらっと受け流し、別の場面でたくさんかまってあげるようにすると、気持ちが満たされて落ち着いてくるでしょう。
これはNG!言うことを聞かない3歳児に逆効果な行動7選
言うことを聞かない子どもに疲れ、子どもと向き合うことが難しくなるかも知れません。しかし、余裕がないからといって次のような行動をすると、子どもにとっても親にとってもよくないことばかりです。
① 約束を守らない
子どもが「〇〇がしたい」と言ったことに対して、面倒だと感じることもあるでしょう。しかし、適当に「また今度ね」「あとでしようね」などと適当に返事をして終わりにするのはNGです。大人が不誠実な態度をとると、子どもは信頼を失ってしまいます。
「また今度」ではなく「明日やろう」、「あとで」ではなく「洗い物が終わったら」などと明確にいつやるのかを提示し、必ず約束を守りましょう。
② 子どもの話を聞かない
一日中「ママ見て!」「パパ、これなあに?」などと言われていると、正直うんざりすることもあるでしょう。しかし、子どもの“伝えたい” “自分の興味に応えてほしい”という気持ちを適当にあしらっていると、子どもは親の話を聞かなくなります。
子どもに言うことを聞いてもらうためには、まず親がしっかりと子どもの話を聞きましょう。
③ 言うことがブレる
3歳未満にも言えることですが、親の言うことがころころ変わるのはよくありません。昨日はダメといったのに、今日は子どもがグズって面倒だから許すなどということははやめましょう。
子どもが混乱するのはもちろんですが、3歳ともなると知恵もついてきます。親の言うことに一貫性がないのを見抜き、信頼できなくなります。また、グズれば要求が通ると学習し、要求を通そうとグズりがひどくなる可能性もあります。
④ 子どもにダメと言うことを親がする
「足でドアを閉めちゃダメ」「外から帰ってきたら服を着替えよう」
などと子どもに注意するのに、親自身がやっていては示しがつきません。子どもは親の言動をよく見ています。一生懸命子どもにダメだよと説明しても、身近な信頼すべき存在である親がやっていては、矛盾が生じます。
子は親の鏡という言葉もあるように、子どもはなんでも真似をします。親の言動にも気をつけましょう。
⑤ 子どもの気持ちをきかず頭ごなしに叱る
子どもにも気持ちがあり、行動には理由があります。子どもの気持ちを無視して一方的に叱るのはNGです。
保育園で、本棚の絵本を全て出して散らかしている子がいたのですが、いきなり叱らず「どうしたの?」と聞いてみると、「〇〇っていう絵本を探してるの」と子どもが答えたことがありました。子どもの行動だけ見ていきなり叱っていたら、子どもの中で不満が募り、大人への信頼感も失っていたことでしょう。
3歳だと、流ちょうには話せないかもしれないため、根気よくじっくりと子どもに寄り添って話を聞いてあげるなど、叱り方にも気をつけましょう。
⑥ 子ども自身を否定する
「3歳なのにどうしてできないの」「〇〇ちゃんはできているのに!」
などと、子ども自身を否定するような言葉がけは逆効果です。自己肯定感の低下にも繋がり、子どもの反発がひどくなる可能性があります。
⑦ 脅して言うことを聞かせる
「鬼が来るよ」「おいていっちゃうよ」
などと脅したり、怒鳴ったりして言うことを聞かせても、そのときは効果があるかもしれませんが、根本的な解決にはなっていません。一時しのぎにすぎないだけでなく、親子関係を崩しかねないためできるだけ避けましょう。
言うことを聞かない3歳児へのおすすめの対処法
これを意識するだけで、言うことを聞かない3歳児の姿が変わる!という上手な対処法5ステップを紹介します。
わたし自身が幼稚園や保育園で実践していて効果があった方法ですので、ぜひやってみてください。
Step1:まずは見守る
子どもが問題行動をしているように見えても、よく見てみたら違うかもしれません。
声をかける前に、まずは子どもの行動をしっかり見守ることで、子どもの行動の理由に気づけるかもしれません。頭ごなしに叱ると、子どももイライラしてしまいます。
Step2:理由を聞く
次に、理由を聞いてみましょう。見守っている間に、子どもの気持ちが想像できるかもしれませんが、決めつけずに対応することが大切です。そして、あくまでも“やさしく“理由を聞きましょう。決して責めるような口調で話しかけてはいけません。
子ども行動の理由を知れば、イライラする気持ちもおさまるかもしれません。
Step3:気持ちを受け止める
理由を聞いたら、気持ちを受け止めましょう。子どもは共感してもらうことで、少しずつですが落ち着いていくことでしょう。このとき、ぎゅっと抱きしめたり頭を撫でたりなど、お子さんの好みの方法でスキンシップをとるのも有効です。
Step4:丁寧に説明する
落ち着いたら、今度は大人の言葉を伝える番。子どもの問題行動について言及し、なぜいけないのか、なぜする必要があるのかなど大人の気持ちを伝えましょう。
社会的なルールは「〇〇はダメ」と伝えてもいいですが、できれば、「ママは〇〇してほしくないな」などと、主観で伝えるのが良いです。4歳近い子であれば、何が良くなかったかを一緒に考えたり問いかけたりしてもいいですね。自分で考えて自分の言葉でアウトプットすることで、頭の中が整理されることもありますよ。
Step5:一緒にやってみようと誘う
最後に、正しい行動を一緒にやってみましょう。
・友達のおもちゃが欲しく叩いてしまった
→「ごめんね」と言いに行く。
→「貸して」と一緒に言ってみる
・お店の中を走ってしまった
→手を繋いで一緒に歩いてみる
・ご飯を床にわざと落とした
→一緒に拾ったり床を拭いたりなど片付けをする
・上手に読めなくて絵本を破いた
→破れたところを直す。上手なめくり方を一緒にやってみる。
→「どうしてもめくれないときはママを呼んで」と伝える。
正しい行動は、言葉で聞くだけでは難しいです。実際にやってみることを繰り返して、少しずつ身につけていきます。面倒だと思うかもしれませんが、根気よく繰り返し付き合うことが大切です。
伝えたこと子どもができるようになったときのうれしさは、格別ですよ!
保育士をしていたとき、こんなことがありました。
本棚から絵本をほとんど出して散らかしている子に、やさしく
「どうしたの?」
と声をかけると、
「〇〇っていう絵本を探してるの」
と。
「そっか探しているのね。なかなか見つからなくて困ってたね。先生も一緒に探そうか」
と声をかけて一緒に探した後、
「絵本をいっぱい出すとみんなが読むときに困っちゃうかもしれないから、一緒に片付けよう」
「絵本を探すときは、先生も一緒に探すから言ってね。一つずつ出してみるといいかもよ」
などと伝えることができました。
行動だけ見て、「散らかさないよ!」と注意したり、「何やってるの!」と頭ごなしに叱ったりしていたら、その子の行動の理由はわかりませんでした。それどころか、その子が癇癪を起こしていたかもしれません。
まとめ
3歳になると言葉も上手になってきますし、大人の言うことも理解できてきます。しかし、まだまだ未熟で幼い時期です。自分の幼さ・できなさで葛藤しイライラしてしまう子もいます。大人もイライラしてしまうと思いますが、まだ生まれて3年しか生きていないのだから、と割り切って、子どもの感情に巻き込まれず上手に対処していけると良いですね。
(文:mamaco)
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