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2022年08月25日 17:16 更新

レバーの食べ過ぎはビタミンAに注意!どんなリスクがある?適量は?【管理栄養士監修】

貧血予防によい食べ物としてレバーを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。鉄分を補給するために、レバーをたくさん食べた方がよい気がしますよね。しかし、実はレバーには過剰摂取が心配となる栄養素も含まれています。レバーの食べ過ぎによっておこるリスクや適切な量についてお伝えします。

レバーに豊富な栄養とは?

レバー 焼き鳥

一般的にレバーは貧血に効果的なイメージがありますが、どんな栄養素が含まれているのでしょうか。 

鉄分が豊富

レバーに多く含まれている栄養素の1つが鉄(鉄分)です。鉄分は赤血球の構成成分である「ヘモグロビン」のもとであり[*1]、不足することで貧血を起こす可能性があります。

特に月経のある女性には欠かせない栄養素ですが、推奨量が10.5mgであるのに対し[*1]、20歳以上の女性の平均摂取量は7.5mg[*2]と下回っています。特に女性はしっかり摂っていきたいですね。

<レバー(生100g)に含まれる鉄分量>[*3]
豚レバー:13mg
鶏レバー:9mg
牛レバー:4mg


豚レバーや鶏レバーには特に豊富です。焼き鳥で食べるレバーの多くは豚や鶏のレバーなので、鉄分の不足が気になる人は焼き鳥のレバーを選ぶと手軽でよいかもしれません。ちなみに、焼き鳥のレバー1本(鶏レバー30g)で2.7mg、レバニラ炒め1皿(豚レバー60g)では7.8mgの鉄分が摂取できます[*2]。

レバーの鉄分は吸収率がよい

鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄という2種類があり、ヘム鉄の方が吸収率が高いという特徴があります。レバーをはじめ、赤身肉や魚類に含まれるのはヘム鉄です。鉄分補給のために、レバーも適度に取り入れていきたいですね。

鉄は卵黄や貝類、菜の花、大根の葉、小松菜などの青菜にも多く含まれていますが、こちらはヘム鉄よりも吸収率の低い非ヘム鉄となります。非ヘム鉄を摂取するときには、たんぱく質やビタミンCと合わせると吸収率を上げることができますよ。

レバーを食べ過ぎたらどうなる?

レバー 赤ワイン煮

レバーは不足しがちな鉄分を摂取でき、日々の食事に取り入れるとメリットがあります。ただし、鉄分を摂取するためにレバーを食べ過ぎてしまうと、別の問題が生じる可能性も。詳しく見ていきましょう。

ビタミンAの過剰摂取のリスク

レバーにはビタミンAが豊富に含まれています。ビタミンAには目の機能を維持し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つ働きがあります。

しかし、摂り過ぎに注意が必要な栄養素でもあります。ビタミンAは脂溶性のため、利用されなかった分は体内に蓄積されていくからです。

短期間で過剰に摂取した場合、頭痛やめまい、吐き気の症状が見られ、長期間の摂取では頭蓋内圧の上昇(偽脳腫瘍)、肝機能障害、皮膚の異常などが起こることがあります。レバーだけでなくサプリメントなどにビタミンAが含まれる場合も考慮し、ビタミンAの過剰摂取に注意する必要があります。

レバーの食べ過ぎってどのくらい?

レバニラ

過剰摂取による健康障害のリスクのあるビタミンAには耐容上限量(※)が設定されており、18歳以上の場合、2,700μgRAE(1日あたり)となります。では、レバーを食べるとどのくらいのビタミンAを摂ることになるのでしょうか?

<レバー料理に含まれるビタミンAの量>[*3]
焼き鳥のレバー串1本(鶏レバー30g)…4,200μgRAE
レバニラ炒め1人前(豚レバー60g)…7,800μgRAE


焼き鳥でもレバニラ炒めも、普通に食べる量で耐容上限量を上回ってしまうことがわかります。ただし、たまに耐容上限量を超えて食べることは問題ありません。毎日、耐容上限量以上を摂取し続けるとリスクになるということです。

焼き鳥のレバー串を食べたら、その後何日かはレバーを食べないようにしたり、レバニラなどのレバー料理は1週間に1度くらいにするなど、頻度を調整しましょう。また、食べるときも、レバー串ばかり食べないようにしたり、野菜を多めにしたレバニラにするなど、レバーを食べ過ぎないように工夫するとよいですね。

(※)耐容上限量とは、この量を超えて習慣的に摂取した場合には、健康に悪影響をもたらすリスクがゼロではなくなることを表します。耐容上限量を超えたらすぐに健康を害するということではありませんが、習慣的に摂取する食品では、耐容上限量を超えないように注意が必要です。

サプリメントからの摂取に注意

ビタミンAの過剰摂取で特に気をつけなければいけないのは、サプリメントからの摂取です。マルチビタミンのサプリメントには、ビタミンAが入っているものもあります。複数のサプリメントを飲用することでビタミンAの過剰摂取につながる恐れがあるので、注意しましょう。レバーが好きでよく食べるならば、ビタミンAの入ったサプリメントは摂取しないようにするなど、トータルでのビタミンAの摂取量を考えることが大切です。

Lazy dummy

ちなみにレバーにはプリン体も多く含まれます。プリン体を摂取しすぎると痛風のリスクを高めることにもつながるので、その意味でも、レバーの食べ過ぎには注意したいですね。

レバーはどのくらい食べていい? 

ビタミンAの豊富なレバーは、量や頻度を考えて食べることが必要です。毎日レバーを食べることはおすすめしませんが、仮に毎日食べるとしたら、どのくらい食べてもよいのでしょうか?

毎日食べるならレバー串1/2本

もしレバーが好きで毎日食べるとするなら、耐容上限量の2,700μgRAEを超えないよう、鶏レバーなら1日18g以下にしておきましょう。だいたいレバー串1/2本分になります。ただし、現実的にはなかなか実践しにくい量になるので、レバーを毎日食べようとするのでなく、頻度を減らして1人前を食べるのがよさそうですね。

ホルモンや魚介などの食べ過ぎはこちらもチェック!

妊娠中のレバーはOK?

妊婦さんがレバーを食べる場合はどうなのでしょうか? 鉄分が摂れるというメリットがある反面、やはりビタミンAに注意が必要です。その理由をお伝えします。

ビタミンAの過剰摂取は胎児へのリスクも

妊娠初期にビタミンAを摂り過ぎてしまうと、胎児の奇形などのリスクにつながります。お伝えしたとおり、たまに食べる程度では問題ありませんが、続けて食べることがないようにしましょう。レバー以外に、ウナギにもビタミンAは多く含まれています。同様に注意してください。

なお、ビタミンAを摂らなければいいと思う方もいるかもしれませんが、ビタミンAが不足するのもよくありません。緑黄色野菜などから摂れるビタミンA(β-カロテン)は過剰摂取の心配がないので、バランスよくさまざまな食材を食べるように心がけましょう。

なお、詳しくは以下の記事で解説しています。

まとめ

レバーには鉄分やビタミンAが含まれ、貧血防止や眼・粘膜の機能維持に役立ちます。しかしビタミンAの含有量がとても多く、食べ過ぎることで健康被害が出ることもあります。特に妊娠初期の過剰摂取は胎児の奇形のリスクがあり、注意が必要です。レバー以外にも、鉄分やビタミンAが多く含まれる食材はたくさんあります。色々な食材からバランス良く摂れるように心がけましょう!

(文:村上あゆみ 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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