「子どもが食事をあまり食べてくれない」と悩む親は多い。小児科医の見解は?
子育ての悩みでもっとも多いのが、「寝ない」「泣き止まない」「食べない」でしょう。特に「ごはんを食べてくれない」という悩みを持つ保護者は多いそうです。そこで森戸先生に対処法を聞きました。
離乳食が進まないことは多い
「食べない」という悩みは、様々な年齢の子どもの保護者から相談されるテーマです。実際、私の娘たち二人も小さな頃は非常に少食で、もしかしたら私の料理が美味しくないのかも、何か問題があるのかもと悩みました。
なかでも「離乳食を食べない」という悩みは多いもの。赤ちゃんは生まれてすぐから半年ほど、母乳や育児用ミルクだけを飲んで育ちます。生後半年くらいになると、母乳や育児用ミルクだけでは栄養が不足するため、離乳食を始めるわけです。ところが、離乳食は初めて経験する固形食で、味や食感も様々ですから、とまどって当たり前かもしれませんね。
まずは食事に興味を持った時に、少しずつ食べさせましょう。最初は母乳や育児用ミルクも並行して与えるわけですから、慌てなくても大丈夫。あまり気負わず、大人のご飯を少量のお湯でふやかして潰してあげたり、味噌汁などの野菜を味付け前に取り分けて潰したり、ベビーフードを使ったりしてもいいでしょう。
機嫌のいい時に与える、親が美味しそうに食べているところを見せる、年齢の近い子と一緒に食べさせる、食べたら褒めるなどすると、食べたくなるかもしれません。また親がスプーンであげようとすると口を閉じるのに、自分で何かを口に入れて舐めたり噛んだりするようであれば、「Baby-Led Weaning(赤ちゃん主導の離乳)」を試すのがいいかもしれません。一般社団法人日本BLW協会『BLW(赤ちゃん主導の離乳)をはじめよう!』(原書房)を参考にしてみてください。
ほとんどの場合、子供は成長するにしたがって、よく食べるようになってきます。多くの子供の少食や偏食は病的なものではなく、成長や発達に支障があるほどでもないので、あまり心配しすぎないようにしましょう。
観察&工夫をしてもダメなら相談を
幼児や学童になると食べるようになる子もいる一方で、まだあまり食べられない子もいるでしょう。成長期には栄養をたくさん摂ったほうがいいのは間違いないですし、心配になりますよね。食べない理由はそれぞれに違うので、食事をしている姿、好きなものや嫌いなものを観察してみてください。
例えば薄味だと食べるのであれば、味に敏感で濃い味だと食べづらいのかもしれません。または麺類や汁物ならよく食べるのであれば、嚥下が得意ではないのかもしれないと考えることができます。そうすると、飲み込みやすいよう食材を小さく切る、野菜などを柔らかく煮込む、片栗粉でとろみをつけるなどすると食べやすいでしょう。
ちなみに私の娘はとても少食でしたが、よく観察してみると、もともと食べるのが遅いうえ、小学校の先生に言われた「30回は噛みましょう」という言葉を律儀に守っていたため、よく噛んでいるうちにお腹がいっぱいになってしまうようでした。成長するにつれて、食事を早く食べられるようになり、同時に量も食べられるようになりました。
観察や工夫をしても理由がわからず、なかなか食べない場合は、子育て支援センターなどで専門的なアドバイスをもらうのもいいかもしれません。健康面に問題がなければ、本人の好きなものを与えながら、ときどきチャレンジを繰り返すという手もあります。あとは少食でも、嫌いなものがあっても、バランスよく栄養と熱量を摂れたら問題ありません。牛乳が嫌いならヨーグルトでカルシウムとタンパク質を摂ってもいいのです。毎食バランスの良い食事を用意するのは大変ですから、1週間のトータルで栄養をバランスよく摂れるようにしましょう。
参照)森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケア』(内外出版社)
(編集協力:大西まお)