ぶどうの食べ過ぎのリスクは? カロリー過多になる? 適量の目安と果物の糖質を解説【管理栄養士監修】
ぶどうはジューシーで甘みが詰まっているため、ついつい手が止まらなくなってしまうこともあるかもしれません。旬の時期しか味わえないものは特に、欲張って食べたくなったりしますよね。食べ過ぎてしまうと問題があるのでしょうか。食べ過ぎのリスクと適量を確認するとともに、ぶどうなどの果物の糖質の特徴も見ていきましょう。
ぶどうに含まれる栄養
旬の時期に味わいたくなる、甘くておいしいぶどう。栄養面ではどのような特徴があるのでしょうか。
糖質|吸収の早いブドウ糖と果糖がメイン
ぶどうだけではありませんが、果物の多くはブドウ糖や果糖などの糖質を多く含みます。ブドウ糖や果糖はいずれも「単糖類」という種類で、ブドウ糖と果糖が結合したものは「ショ糖」といいます。ショ糖は砂糖の主成分です。
ブドウ糖や果糖はこれ以上消化が必要ないため、ショ糖などよりも吸収が早くなります[*2]。つまり単糖類の多い果物は、ショ糖の多い砂糖よりも消化が早いのですね。特にぶどうは他の果物と比べてもブドウ糖が多いので、糖質の吸収率がとても良いといえます[*3]。そのため、エネルギーをすぐに摂りたいときなどにおすすめの果物です。
ブドウ糖 | 果糖 | ショ糖 | |
---|---|---|---|
ぶどう | 7.3g | 7.1g | (0) |
パイナップル | 1.6g | 1.9g | 8.8g |
バナナ | 2.6g | 2.4g | 10.5g |
りんご | 1.4g | 6.0g | 4.8g |
みかん | 1.7g | 1.9g | 5.3g |
ちなみに「ブドウ糖」という名称は、文字通りぶどうから発見されたことに由来します。正式には「グルコース」と呼びますが、日本語では「ブドウ糖」という呼び方が定着しました。
カリウム|むくみの予防に役立つ
ぶどうをはじめ果物にはカリウムが豊富に含まれます。特にバナナに豊富ですが、ぶどうも皮つきの場合には100gあたり220mgと豊富です。皮なしの場合には130mgなので、皮が薄くて食べやすい品種は、皮も一緒に食べるとカリウムをより摂取できてよいかもしれませんね。
おもな果物のカリウム量(100gあたり)[*3]
バナナ…360mg
ぶどう(皮つき)…220mg
いちご…170mg
みかん…150mg
ぶどう(皮なし)…130mg
りんご(皮なし)…120mg
カリウムは体内の塩分濃度を調整する働きがあり、塩分を摂り過ぎた場合に体外に排出してくれます。そのため、塩分の摂り過ぎによるむくみを予防したり、高血圧のリスクを下げるためにも大切な栄養素です。特に日本人は塩分摂取量が多い傾向があるので、色々な食品からカリウムを摂れるとよいでしょう。
ぶどうを食べ過ぎるとどうなる?注意点は?
ぶどうは調理をせずに手軽に食べられますが、食べすぎることでカロリーの摂り過ぎになることも考えられます。
リスク|カロリーの摂り過ぎ
ぶどうは果物の中で比較的カロリー(エネルギー)が高いという特徴があり、100gあたり皮なしは58kcal、皮つきは69kcalです。
ぶどう以外にカロリーが高めの身近な果物といえばバナナ(93kcal)、マンゴー(68kcal)、りんご(53kcal)などが挙げられますが[*3]、いずれもずっしりと重さがあったりして食べた満足感が得やすい果物です。
それと比べるとぶどうは1粒1粒が小さいので軽く食べられるうえ、食べた量が感覚的につかみにくい面があります。そのため、つい必要以上に食べすぎてしまってカロリーの摂り過ぎにつながりやすいといえるでしょう。食べる量をあらかじめ皿に盛ってから食べるなど、量を把握して食べる工夫をして食べ過ぎを防ぐことが大切です。
ぶどうの可食部100gの目安は、種類や皮を食べるか食べないかにもよるので一概には言えませんが、巨峰ならば10粒前後、デラウェアならば小さめの1房くらいでしょう。
妊娠中の場合|ポリフェノールに注意
ぶどうにはポリフェノールが含まれますが、妊娠後期は過剰なポリフェノール摂取により胎児の動脈管収縮がみられることもあります。普通にぶどうを食べる分にはそれほど注意は要りませんが、干しぶどうは栄養が凝縮されているうえ、ついたくさん食べてしまいがちなので気を付けましょう。
また、ドライプルーンやルイボスティー、ココア、高カカオチョコレートなど、ぶどう以外にもポリフェノールを含む食品もあります。これらを組み合わせて多量に食べることがないようにしましょう。
妊娠中は良い効果のある食べ物をたくさん摂ろうと思うかもしれませんが、偏りによる弊害が心配されるので、何かの効果を期待して1つのものばかりを食べるということはできる限り避けてくださいね。
糖尿病などの場合|血糖値の急上昇に注意
糖尿病などで血糖値が気になる場合、ぶどうには少し注意が必要です。ぶどうには血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維も多少は含まれるものの、吸収のよい単糖類が多いため、血糖値の急上昇が心配になります。医師に相談しながら、食べるタイミング、頻度や量、他の食べ物とのバランスなどを考えましょう。
ぶどうの適量はどのくらい?
食べ過ぎがよくないことはわかりましたが、1日のぶどうの目安はどのくらいと考えるのがよいのでしょうか?
適量の目安|1日10~20粒
農林水産省「食事バランスガイド」によると、果物は成人男女で1日に2SVが目安とされています[*4]。1SVは100gを意味するので、果物は1日200gが目安ということになります。
巨峰やマスカットのような一般的な大きさのぶどうの場合は、1粒が約10gのため、だいたい10~20粒くらいが適量となります。小さい種なしのデラウェア種の場合は、1房が約100~150gなので、1日に1~2房くらいでしょう。
ただし、毎日のようにぶどうばかり食べ続け、他の果物を食べないというのも好ましくありません。ぶどうを毎日食べるならば、ぶどう10粒(100g)と他の果物100gを組み合わせて食べるととても良いですね。たとえば、みかん1つ、りんご半分が100gの目安です。
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まとめ
果物は旬がはっきりしているものが多く、旬の時期はおいしさはもちろん、栄養価も高くなるため、積極的に食べていきたい食べ物ではあります。ぶどうも旬の時期においしくなりますが、食べ過ぎには注意も必要です。ぶどうを一時的にたくさん食べたからといって健康被害を生じる心配は低いですが、カロリーや糖質の摂り過ぎにつながる可能性もあります。食事の適度なバランスを保つことを心がけながらぶどうを味わって食べてくださいね。
(文:関水芳江 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:e-ヘルスネット「ブドウ糖」
[*2]厚生労働省:e-ヘルスネット「果物」
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*4]農林水産省:食事バランスガイドについて
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます