育児をする夫に対し、周囲からの「いいご主人だね」の評価にモヤっとします #古坂大魔王のモヤズバッ! Vol.39
お笑い芸人や音楽プロデュース、テレビ番組のMCなど、多忙な毎日を送りながら、2児のパパとして育児に奮闘する様子をSNSで積極的に発信している古坂大魔王さん。同じように育児や夫婦関係のことで悩んでいるパパ・ママのお悩みに、ズバッと切り込みます。
今回のお悩み
どらみさん(35歳/ホテル/販売職・サービス系)
共働きです。夫は家事や育児に協力的で感謝していますが、モヤっとするのは私が家事や育児をしても特に何も言われないのに、たまに私が体調不良などで夫が子どもたちを送迎したり(普段は私がしています)、子どもたちと遊ぶ様子を見た人が「いいご主人だね」と言ってくれることです。悪気がないのはもちろん承知ですが、女性が同じことをしても当たり前だと思われているのに、男性は少し何かするだけですぐいい人扱い。そこにモヤっとします。私の心が狭いだけでしょうか?
古坂さんの回答
ぜんぜん心は狭くないです
最初に断言しますが、ぜんぜん心は狭くないです!
これね、う〜ん、確かにねぇ。正直、ぼくもよく言われていることですから。うちの妻は我慢強くて何も言わないほうですけど、年に何回かこれを言われることがある。そうすると、もうこっちは何も言えないですよね。お手上げです。
なぜかというと、そう思わせてしまうほど不具合が溜まっているということだから。
ただ、これはね、ぼくも経験あるんです。忙しいなか締め切りまでに曲を作ってマネージャーに渡して、返事が「ありがとうございま〜す」だけだったとき、「そうじゃね〜んだよ」ってなりました。こちらは何日もかけて必死で曲を作って送っているわけです。先方に送る前に、「マネージャーは聴いたのか」「感想はどうなんだ」と。
このように発表後に金銭という対価、感想などの評価を受けられる仕事でさえ、大変な思いをしてやり遂げたら、誰かにわかってもらいたいわけです。
ところが、家事や子育ては、仕事以上に誰もほめてくれない。だから、当然、ほめてほしいという気持ちになると思いますし、自分よりやっていない人がほめられていたら、モヤっとすると思います。
普段やっている人はほめられない
こうして大人でも「自分の努力を見てよー!」って言いたくなるときって、だいたいスケジュールに無理があるんですよ。ただ、それだけなんです。スケジュールに余裕があるときは、そんなこと思いもしないんですね。
だからきっと、どらみさんのスケジュールには無理があるんだと思います。
もちろん、無理がなくても言う人もいるかもしれない。でも、どらみさんは、このコーナーに相談を送るほどモヤっとしたわけだし、お子さんの年齢は9歳、4歳と割と大きい、ここから導きだせる答えは「パパがあまり家事や子育てをしていないのでは」ということです。
相談の内容にも「家事や育児に協力的」と書かれていて「協力程度」にとどまっているのではと思うし、送迎も普段はどらみさんがやっているわけですよね。大変だと思います。
そもそも、普段やっているパパであれば、家事や子育てをしても周りに何も言われません。ところが、月に数回とかだと「お〜すごい!」「えらいね!」などと言われてしまうんです。でも、本当にすごくてえらいのは、普段からしているほうですよね。
どらみさんの夫を「えらいね!」とほめる人が男性なら、自分が家事や子育てをしていない人でしょうし、女性なら夫が何もしない人かもしれません。自分自身や夫がしっかりやるタイプなら言わないんです。だから、モヤモヤしたら「こんなのたまにですよ!」って言っちゃえばいいと思います。
夫婦でスケジュールを見直して!
本来、家事や子育てって、夫婦で分担するものですよね。
もしも一部を外注していたとしても、残りをやっぱり分け合って、それも含めて愛情だったりするじゃないですか。たとえば炊事や皿洗いを外注していたとしても、シンクにコップが溜まっているときにひとつも洗わないと、パートナーはイライラすると思います。
だから、夫婦でスケジュール会議をしたらどうでしょうか? パパの家事や子育ての時間を増やしてもらう。この連載で何度も言っていますが、家事や子育てを含むスケジュールを立てることは仕事の効率化にも役立ちます。
それと「ママのおかげだ!」「すごいよ!」と、ぜひパパにほめてもらってください。お互いにほめ合ってもいいですよね。家事や子育ては対価がもらえないし、ほめられづらい。だからこそ、家でお互いにほめ合ったらいいんです。
そうして、ちゃんと家事や子育てをするようになったパパは、もう外では「すごいね!」「えらいね!」なんて言われなくなります。当たり前になるからです。
きちんと仕事は続けているのに「どらみさんちのパパって働いてる?」と聞かれるようになったら、それこそ本当にすごいパパになったときかもしれません。
今回の結論!
古坂大魔王さんプロフィール
1973年7月17日生まれ。青森県出身。1992年にお笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。現在は、芸人、音楽プロデューサーのほか、文部科学省・CCC大使、総務省・異能vation推進大使、UNEPサステナビリティアクションアドバイザーを務めるなど、マルチな才能を活かして活躍中。2児の父。NHK Eテレ『すくすく子育て』では5年間MCを務めた。現在は、多数のバラエティ・情報番組に出演中。プロデュースするピコ太郎の幼児向けコンテンツ「ピコスタキッズ」のYouTubeチャンネルを開設。
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Twitter @kosaka_daimaou
本連載は、今回が最終回となります。長い間ご覧いただき、ありがとうございました!(編集部)
(取材・文:大西まお、撮影:天田輔[インタビュー]、佐藤登志雄[タイトル・結論]、編集:マイナビ子育て編集部)