4月から始まる「離婚後の子どもの養育費に関する新ルール」で何がどう変わる?
「離婚しても、子どもにとってはどちらも大切な親」。そんな考え方が広がる一方で、離婚後の生活への影響については不安を感じる方も多いのではないでしょうか。実はこの4月から子どもの養育費に関する法律が改変され、離婚した後の支払い義務が強化されることに。知っておかないと損をする“最新の養育費事情”について、詳しく解説します。
2026年4月1日から「子どもの養育費」に関する法律が大きく改変される!
日本では、離婚した後の養育費未払いが大きな社会問題となっています。
母親が子供を引き取った「母子世帯」では養育費の受給率が28.1%、父親が引き取った「父子世帯」ではわずか8.7%で、受給の取り決めをしている世帯も全体の過半数を下回るなど問題は深刻。(※厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」より)
このような中、2026年4月1日に施行される民法等改正法「父母の離婚後等の子の養育に関する見直し」では、子どもを養育する父母の責務を明確化するとともに、養育費支払いを確実にするための見直しが行われ、子どもの利益保全が強化される予定です。
では、具体的に4月から施行される民法改正の「4つのポイント」を見ていきましょう。
① 共同親権が選べるようになる
これまでは、親が離婚すると「父親か母親のどちらか一方」しか親権を持てませんでした。しかし改正後は、離婚しても、父母が話し合って2人とも親権を持つ(共同親権)ことを選べるようになります。
ただし、DVや虐待の恐れがある場合は、子どもを守るためにこれまで通り「片方だけ(単独親権)」になります。
② 養育費の回収がしやすくなる「先取特権」
これまでは、別れた親が養育費を払ってくれない場合、裁判所での話し合いや公正証書などがないと、強制的に給料を差し押さえることができませんでした。
改正後は、父母が自分たちで書いた私的な文書であっても、その約束が破られたら裁判所を通じて、上限で月8万円まで強制的に養育費の回収ができるようになります。メモ書きやLINEのメッセージでもOKです。上限はあるものの、これまでよりも「もらい損ね」を防ぐ力が強まります。
③ 離婚時に決めていなくてももらえる「法定養育費」
離婚するときお互いの顔も見たくない、できるだけ関わりたくないと、養育費の約束をしないまま別れてしまうケースが少なくないでしょう。改正後は、たとえ約束をしていなくても、離婚した日から自動的に「月2万円(子ども1人あたり)」の支払い義務が発生します。
離婚から2年以内に「やっぱり払って!」と宣言すれば、過去の2年分(約50万円)をさかのぼって請求することも可能です。これは子どもの生活を守るための最低限のルールです。
④ 手続きが一度で済む「ワンストップ民事執行」
これまでは、養育費を払わない親からお金を回収しようとすると、「まず銀行口座を調べて、次に勤務先を調べて、次に差し押さえの手続きをして……」と、何度も別々に裁判所に申し立てる必要がありました。
改正後は1回の申し立てで、相手の財産調査から差し押さえまでセットで進められるようになります。これにより、養育費を払ってもらうまでのスピードがグンと上がります。
さらなる援軍が! 3社連携の新サービス「安心サイクル養育費保証」がスタート
2026年4月からの法改正に先立ち、さらなる心強いサービスが誕生しました。
年間約8万件もの養育費に関する相談を受ける「弁護士ドットコム(東京都港区)」と、「三井住友海上火災保険株式会社(東京都千代田区)」、「チャイルドサポート(東京都中央区)」の3社がタッグを組み、離婚当事者間の円滑な養育費支払いを支えるサービス「安心サイクル養育費保証」を開始。
編集部はメディア向けのラウンドテーブルに参加し、3社が担うそれぞれの役割と、本サービスに向けた思いを聞いてきました。
受取人に養育費を確実にお届けする「チャイルドサポート」
株式会社チャイルドサポートは、本サービスの中心となり、養育費の保証支援を推進します。具体的には、養育費支払いに関して当事者間で直接やり取りさせず、同社が自動引き落とし(口座振替)と送金を一元的に管理。
養育費受け取りに伴い、別れたパートナーと長くかかわらなくてはならないことから発生する精神的・実務的な負担を軽減し、未払いを防ぐための強固な基盤を整えます。
養育費に悩む当事者向けにサービス情報を発信する「弁護士ドットコム」
国内最大級の法律相談プラットフォームを有する、弁護士ドットコム株式会社。
同社が運営する「みんなの法律相談」に寄せられた累計約8万件の養育費相談データ等に基づき、支援を必要とするユーザーへ的確に情報を届けます。
離婚当事者にいちばん近い立場にあるからこそのタイムリーな情報発信が可能で、「安心サイクル養育費保証」サービスの存在を広く知らしめることができます。
滞納が発生した際の損害の一部を補償する「三井住友海上火災保険」
大手損保会社である三井住友海上火災保険は、株式会社チャイルドサポートを被保険者とした「養育費保証事業者向け専用保険」を活用し、リスクを軽減します。
本サービスでは万が一養育費の支払いが滞った際、チャイルドサポート社が養育費を立て替え払いし、必要に応じて回収対応を行うしくみ。保証履行に伴うリスクを三井住友海上が保険で補償することで、制度としての継続性と安定性が生まれます。
親が離婚しても、すべての子どもが安心して暮らせる社会へ
取材を通じ、本サービスを提供する3社から伝わってきたのは、「子どもたちの笑顔を守りたい」という熱い思いでした。
親の離婚は子どもにとって辛いもの。精神的なショック以上に、住み慣れた住居が変わる、学費の都合で学校を辞めざるを得なくなる、将来の夢を諦めなくてはならなくなる……という物理的な負担は図り知れません。
やむを得ず離婚を選択する場合は、本記事で紹介した「安心サイクル養育費保証」のようなサービスがあることも頭に入れ、できるだけ子どもの利益を損なわない方法を考えてみてください。まずは知ること!がいちばん大切です。
安心サイクル養育費保証
https://cycle-youikuhihosho.childsupport.co.jp/
(取材・文/マイナビ子育て編集部)
