【助産師解説】食べづわりはどう乗り切る?軽減する9つの工夫
空腹になると気持ち悪くなる食べづわりの症状は、どのように対策すればいいのでしょうか?「食べたいものを好きなだけ食べても大丈夫?」という疑問に、助産師がお答えします。上手に乗り切るコツと食べ方の工夫もチェックしましょう。
食べづわりを乗り切る! 効果のある4つの対策
食べづわりの症状を悪化させず、この時期をできるだけ楽に乗り切るための生活のコツをご紹介します。以下の4つのポイントを押さえておけば、食べづわりを上手に対策することができるでしょう。
空腹で気持ち悪さが増す「食べづわり」
空腹になると吐き気がしたり気持ち悪くなるつわりの症状を、一般的に「食べづわり」と言います。この言葉自体は医学用語ではありませんが、妊娠初期の妊婦さんによく現れるつわりの症状です。
吐いてばかりもつらいものですが、食べていないと気持ちが悪くなるのもつらいもの。また、食べないと気持ち悪いけど食べたら食べたでそのあと吐いてしまうという「吐きづわりと食べづわりの複合型」の人もいるようです。
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対策1. 食事を小分けにして、適度な間食も活用
血糖値が下がると吐き気をもよおす食べづわりは、空腹な状態を作らないことが重要です。そのため、この時期は一度にたくさん食べるのではなく、少量を小分けにして食べるよう心がけましょう。
前でも述べましたが、つわりの症状があるときはカロリーについてはあまり気にしなくて大丈夫です。気持ち悪くならないようにすることを優先してください。
ただし、妊娠前の体重によってはこの時期から体重管理が必要な場合もあります。気になるときは医師に相談し、指示をあおぎましょう。
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対策2. すぐに食べられるものを常備
食べづわりの症状があるときは、食べたいと思ったときにすぐ食べられるよう、手軽に食べられるものを常備しておくようにしましょう。日中はもちろん、寝ている間も空腹で気持ち悪くなる場合があるので、寝るときも食べやすいものを枕元に置いておくと安心です。中には「フランスパンを横に置いて寝た」という先輩ママもいるようです。その際は、飲み物も忘れずに。
■職場でも軽食を取れるようにしておこう!
働いている場合は、職場にも軽食を常備しておきましょう。仕事中の間食がNGな職場の場合は、直属の上司に今の状況を相談し、便宜をはかってもらえるといいですね。事業主は妊娠中の女性労働者から申し出があったときは、必要な措置をとらなければならないということが法律で定められています[*2]。躊躇してしまうこともあるかもしれませんが、妊娠による症状はどうしようもないものなので、赤ちゃんのためにも理解してもらいたい旨をはっきりと伝えましょう。
なお、妊娠中の体の状態によって、勤務先での対応が必要な場合には「母性健康管理指導事項連絡カード」[*3]という用紙を医師に書いてもらって勤務の負担を軽くしてもらうなどを求めることができます。医療機関で相談してみてください。
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対策3. こまめに水分補給を
食べづわり、吐きづわりに関わらず、水分不足は吐き気を悪化させる要因になります。妊娠中は普段より多くの水分摂取が必要でもあるので、脱水を防ぐためにも水分補給はこまめに行いましょう。水分が足りているかどうかは、妊娠前と同等の排尿回数が保たれているか?を目安にするとわかりやすいです。
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水分がとりにくい場合は我慢せず産科に相談し、必要に応じて点滴をしてもらうと効果的です。
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対策4. 他のことに没頭するなど気分転換をしてみる
妊婦さんの中には、「仕事中の方が気が紛れて楽だった」という経験談を持つ人もいます。人によりますが、「家で一人きりで寝ているときの方が気持ち悪さが際立ってつらい」ということもあるようです。自分の体調と相談しつつ、ちょっとした用事を作って動いてみるなど気分転換をするのもよいかもしれません。
ただし、「仕事後、反動で体調が悪くなる」という人も多いです。疲れすぎると夜に一気に具合が悪くなってしまうこともあるので、無理しすぎないようにしてくださいね。
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食べづわりにおすすめの食べ物 7選
食べたいときに楽に食べられ、栄養も上手にとれる食べ物や食べ方の工夫をご紹介します。つわりの時期は自分が食べたいものを食べるのが基本ですが、そのうえでとり入れたい食べ物や食べ方があればぜひチェックしてみてください。
1. ショウガ
ショウガを口にすると、むかつきや吐き気が軽くなることもあるようです。実際試してみたママからも、少し楽になったという意見を聞きました。なお、欧米では「ショウガ粉末」がつわり症状軽減に有効だとして推奨されているようです[*4]。
私もつわりの時、むかむかが軽減するので常にドライジンジャーやジンジャーエールを持ち歩いていましたよ。ショウガが苦手でないのであれば、朝や夕方など気持ち悪くなりやすいときに口にしてみるのもいいかもしれません。
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2. おにぎり
手軽に食べられるおにぎりは、食べづわり時期の間食にぴったりの食べ物と言えるでしょう。小さいサイズににぎったものを冷凍しておけば、チンするだけで食べたいときに楽に食べることができます。
中に入れる具材を変えれば味も変えられるので、飽きずに食べられるのも魅力ですね。とり入れたい栄養素で具材を選べば、栄養バランスを考えた食事ができるという点もポイントです。
3. 野菜スティック
手軽に食べられ、カロリーが低いので食べる量の心配が少ないという点でおすすめの食べものです。つわりの時期は食べる量を気にしないのが基本とはいえ、どうしても体重増加が気になる……という人は、カロリーの低い食べ物で食べやすい(あるいは食べたい)ものを探してみるといいでしょう。野菜は、そういう意味で強い味方ですね。
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4. スープ
のど越しがよく、食べづわりだけでなく吐きつわりの人にもお勧めしたいのがスープです。
水に溶け出た具材の栄養素まで摂れることから、栄養を効率良く摂取できる料理のひとつです。野菜や魚など、いろんな具材を入れれば、一度にたくさんの栄養素を摂れます。また、消化がよく、気分が悪いときでも食べやすいことから、つわり時期の栄養摂取にもってこいとも言えます。
たくさん作って小分けにして冷凍すれば、食べたいときに温めて手軽に食べられるのもポイント。作るのも、間食として食べるのも楽で、かつ栄養も効率よく摂れるおすすめの料理です。
5. たまご
良質なタンパク質を含み、消化もいいたまごも、つわり時期の栄養補給におすすめの食べものです。ゆで卵にしておけば食べたいときに手軽に食べられるので、食べづわり対策としてもいいですね。
6. ヨーグルト
ヨーグルトは手軽に食べられ、栄養もあるおやつとしておすすめです。調理の手間がないので、つわりの症状が重いときの軽食としてもいいですね。いざというとき用にいくつか買い置きしておくと安心でしょう。
元々砂糖などが入っているものよりも、プレーンヨーグルトに蜂蜜や果物を入れて食べるのがお勧めです。
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7. アイスやゼリー
夏場など、暑い季節の間食にはアイスやゼリーもいいでしょう。
ただし、市販の大きいサイズのものは、うっかり食べすぎると糖分のとり過ぎになるので注意しましょう。
市販のものもいいですが、ヨーグルトや果汁100%ジュースをアイストレーに入れて凍らせたり、寒天で固めたりておくと、小分けに食べられておすすめ。市販品よりカロリーが低めなのもポイントです。
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まとめ
空腹になると気持ち悪くなるタイプのつわりを、「食べづわり」と言うことがあります。血糖値が下がると吐き気がするので、常にお腹に何かを入れておくことが対策のポイント。食事は一回の量を少なくし、小分けにして食べるようにしましょう。胃が空っぽになる時間がないよう、こまめな間食も必要なので、さっと食べられるものを常に用意しておくことも大切です。常に何かを食べるとなると食べすぎが気になるところではありますが、つわりの時期はカロリーオーバーを気にせず、食べたいものを食べるようにしましょう。何よりも、自分が少しでも楽になり、ストレスのない生活を送ることを優先してくださいね。
(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:清水茜先生)
※画像はイメージです
[*1]日本産科婦人科学会編「産科婦人科用語集・用語解説集」
[*2]厚生労働省委託 母性健康管理サイト「妊娠・出産期に知っておくべき法律や制度」
[*3]厚生労働省「母性健康管理指導事項連絡カードについて」
[*4] 日本産科婦人科学会「産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2017」p.124
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます