出産・産後 出産・産後
2021年05月06日 10:10 更新

【医師監修】出産のとき、子宮口はどれくらい開く? お産の進み方

お産が近づくと「子宮口が今、○cm開いています!」などといわれることがあります。お産が進むと子宮口はどれくらい開き、全開になるまでどのくらい時間がかかるのでしょうか。お産の進み方とともに解説します。

子宮口とは

子宮口の確認の前にお腹を触診する医師
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子宮口とは子宮の下側、子宮と腟がつながる部分のことを指します。
子宮は洋ナシを逆さにしたような形状をした臓器で、子宮体部と子宮頸部(けいぶ)の2つに大きく分かれます。おもに赤ちゃんを育む場所である上側の膨らんだ部分が子宮体部、赤ちゃんの通り道であたる下側のくびれた部分が子宮頸部です。

子宮口は子宮頸部の上下にあり、子宮体部と頸部の境目にあるものを内子宮口、子宮頸部と腟の境目にあるものを外子宮口と呼んでいます。肉眼で開大を確認するのは内子宮口のほうです。 内子宮口が開くと、赤ちゃんはそれよりも外側に位置する子宮下部、子宮頸部、外子宮口、腟、外陰部・会陰を通って生まれてきます。この赤ちゃんの通り道は軟産道と呼ばれています。

いずれの子宮口もお産の進みとともに徐々に開いていき、赤ちゃんが生まれる数時間前 には全開となって、赤ちゃんの娩出が始まります。

妊娠後期の子宮のイメージ
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妊娠後期の子宮のイメージ。赤丸内が子宮頸部
妊娠していないときの子宮口
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妊娠していないときの子宮口の位置関係

お産の進み方

お産は以下のような流れで進んでいきます。そのときどきでの一般的な子宮口の開大度もあわせて紹介します。

1.お産開始の予兆

お産が近づくと、いくつか予兆が現われてきます。代表的な予兆が「子宮頸管の熟化」と「産徴」です。

子宮頸管とは子宮頸部の内側にあり、お産のときに産道の一部となる部位のこと。 妊娠中は赤ちゃんを子宮内にとどめる門のような役割を果たしますが、お産が近くなってくると徐々に軟らかくなって赤ちゃんが生まれ出るのを助けます。このように子宮頸管が軟らかくなっていくことを「熟化」といいます。お産が始まる前には、だいたい小鼻くらいの硬さになっています。

産徴は一般的に「おしるし」と呼ばれます。多くは血の混じったおりもの状 で、お産が近くなったときに子宮口がやや開くことで子宮の壁から赤ちゃんを包む卵膜がはがれ出血し、子宮頸管にある粘液と混じって分泌されたものです。ただし、おしるしがないままお産が始まる人もいれば、おしるしからお産までの期間も数日~1週間以上 と個人差があります。

2.分娩第1期(開口期)

陣痛が1時間に6回以上、つまりだいたい10分以内の間隔で規則的に来るようになると、いよいよお産の始まりです。

子宮口が徐々に開き始め、最初は3~4cmだったものが分娩第1期後半には7~8cmくらいになります。子宮口が7~8cmに開くのとほぼ同じタイミングで、陣痛が1時間に15~20回程度、だいたい3~4分間隔になります。

3.分娩第2期(娩出期)

子宮口が全開大になったところで、お産は分娩第2期に入ります。破水が起こり、赤ちゃんが生まれ出てくる段階です。赤ちゃんは旋回しながら軟産道を通っていきますが、それにともない陣痛の頻度は増していきます。頭が出てくるころに痛みがもっとも強くなります。

赤ちゃんが完全に生まれ出たら、お産は分娩第3期(後産期)となり、後産期陣痛が起こり、胎盤や卵膜、へその緒が排出されます。

出産時、子宮口はどれくらい開く?

全開大になった子宮口の大きさは約10cmです。定規などで実際の大きさをあらためて確認すると、びっくりするかもしれません。

子宮口が全開になるころには妊娠中、赤ちゃんを子宮内にとどめ、妊娠を維持するために硬く閉まっていた子宮頸管もマシュマロのように軟らかくなっています。 ここまで軟らかくなることで赤ちゃんの頭が通れるほどに広がることができるのです。

人によっては子宮口が開かないことも

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しかし人によっては子宮頸管の熟化がうまくいかず、子宮口が全開にならないこともあります。子宮口が開きにくい原因としては、下記のようなことが考えられます。

・子宮口に近い、子宮下部に子宮筋腫がある
・子宮頸がんの治療などで子宮頸部円錐切除術をしたことがある
・高齢かつ初産

また、高齢出産ではなくても初めてのお産の場合も子宮口が開きにくい傾向にあります。なぜなら、初めてお産を迎える初産婦はお産の経験がある経産婦に比べ、子宮頸管の組織が硬いことが多いからです。そのため、外子宮口がなかなか開きません。その結果、初産婦では子宮体部に近い内子宮口が先に開くのに対し、経産婦では腟のほうに近い外子宮口から開いていきます。

子宮口がうまく開かず、お産が遅れて母体や赤ちゃんに影響があると考えられる場合は、帝王切開に移行したり、薬を使ったりなどして、無事にお産が完了できるよう、適切な対処を行います。

まとめ

お産の流れは人それぞれで、必ずしもここに書かれた流れをたどらないかもしれません。とはいえ、どんなことが起こるのか事前に大まかにでも把握しておけば、いざお産が始まったときに比較的落ち着いて対処できるでしょう。お産を迎える前に、子宮口の開き方やお産の流れを予習しておきましょう。

(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.243
[*2]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」P.228-229

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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