育児 育児
2023年07月10日 08:11 更新

体温調節機能が未熟な子どもは、熱中症にかかりやすいから。知っておきたい熱中症の予防策&応急処置

暑い時期になると、車内や室内に置き去りにされたり、屋外に長時間いたりして熱中症になる子供が増えます。ときには命にかかわることも。そこで、森戸先生に熱中症の予防策と応急処置について教えてもらいました。

熱中症を予防するために気をつけたいこと

毎年、暑くなると心配なのが、熱中症です。特に子供は体が小さくて熱くなりやすいうえ、体温調節機能が未熟なため、熱中症にかかりやすいのです。最悪の場合は、命を失うことさえあります。

ですから、どんなに短時間でも、どんなによく眠っていても、少し涼しく感じる日でも、絶対に車や部屋に子供を置き去りにしないようにしましょう。締め切られた空間は、すぐに驚くほど暑くなります。毎年のように暑い車や室内に置き去りにされたお子さんが亡くなる事故があり、とても心が痛みます。

また、屋外での運動にも注意しましょう。気象庁の「熱中症警戒アラート」環境省の「熱中症予防情報サイト」を参考にし、暑さ指数(WBGT)が高い時の外出は控えめにし、激しい運動をしないようにしてください。公園遊びなどは、午前中や夕方の涼しい時間帯を選ぶといいでしょう。

最高気温が35℃以上の日を「猛暑日」、30℃以上の日を「真夏日」と呼びますが、それほど暑くないときでも、室内では遮熱カーテンや葦簀(よしず)などを利用したり、必要に応じてエアコンや扇風機などを使って快適な気温を維持しましょう。

屋外では、帽子や日傘を使うのはもちろん、白や黄などの熱を吸収しづらい色の服、速乾性の服などを着るようにするといいと思います。冷たいタオル、保冷剤などを使うのも効果的です。あまり暑い時には涼しいところに移動して休憩をとってください。

また、どこにいても、こまめな水分と塩分の補給が重要です。乳児には、母乳や育児用ミルクで定期的に水分補給をしましょう。育児用ミルクは薄めず、いつもの濃度にしてください。それ以上の年齢なら、水やお茶などの飲みなれた飲料に、塩むすびや煎餅などの塩分を含むおやつをあげましょう。経口補水液でもいいです。

実際になったらどんな応急処置をすべき?

熱中症になると、どんなふうになるのでしょうか。顔が真っ赤になったり、めまいがしたり気を失ったり(熱失神)、脱水で体がだるくなったり頭痛がしたり(熱疲労)、手足が痺れたり筋肉がけいれんしたり(熱けいれん)、ぼんやりして変なことを言ったり、意識を失ったり(熱射病)します。

いずれにしても、熱中症を疑ったら、以下のような応急処置が必要です。ただし、意識がなかったり、自分で水を飲めなかったり、重篤に思える場合には同時に救急車を呼んでください。急ぐ必要があるので、周囲の人に手助けを求めることが大切です。

<熱中症の応急処置>
①日陰、または冷房のある室内などの涼しい場所へ移動させてください。
②できたら脱水の治療に効果的な経口補水液(OS-1)を、なければ水と塩を摂らせましょう。ちなみにスポーツドリンクだと塩分が少なすぎます。
③衣服を緩め、体を濡らしてうちわなどであおぐ、左右の首筋や脇の下や足の付け根などに保冷剤を当てるなどして冷やします。また、氷入りの水風呂につける方法が効果的と言われています。ただし、溺れないように絶対に目を離さないなど細心の注意が必要です。


最後に、熱中症についての知識は、ぜひお子さんと共有してください。暑い夏は「熱中症」になりやすいこと、どういう症状が出るのか、どうすれば防げるのかなどを、年齢に合わせて易しい言葉で教えてあげましょう。

そうすれば、あまりに暑いときは日陰に入る、喉がかわいているように感じなくてもこまめに水分をとる、気分が悪くなった時には教えるなどしてくれるようになると思います。

参照)森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-