子育て世帯が期待する支援、母親は「保育の質の確保」、父親は「子育てに参加しやすい職場の制度」がそれぞれトップに
妊娠、出産、子育てに関する支援や環境整備が不十分だと感じる人は多いのではないでしょうか。子育てしやすい社会に向けた課題はさまざまあるものの、まさに今、子育て中の人にどのような支援を期待するかを聞いたところ、子育ての現状を反映する結果となりました。
妊娠・出産・子育てにどんな支援を期待する?
ベネッセ教育総合研究所が未就学児の子どもがいる男女に対して行った「乳幼児の保護者のライフキャリアと子育てに関する調査」があります。この調査の中で、妊娠、出産、子育てに対する支援や環境整備として期待することを尋ねた箇所を見てみると、子育てをとりまく現状の課題がうかがえる回答結果となっています。また、母親と父親で期待することに異なる傾向も認められました。詳しくご紹介します。
Q. あなたは、妊娠・出産・子育てにあたって、どのような支援や環境整備があることを期待しますか。
※「とても期待する」「まあ期待する」「あまり期待しない」「まったく期待しない」の4件法より、「とても期待する」「まあ期待する」の結果を母親の降順で図示。
母親|最も期待するのは「保育の質の確保」
母親において、妊娠・出産・子育て支援で最も期待の声が集まったのは「子どもを安心して預けられる園における保育の質の確保」であり、「期待する」「やや期待する」を合わせて86.0%でした。
次に多かったのは「子どもの医療費の削減、無償化の取組」(84.9%)、次いで「子どもの資質、能力を伸ばす園における乳児教育の充実」(84.0%)となっています。
保育園が突如閉園してしまったというがニュースがあったり、保育士不足の問題が叫ばれたりしているなか、やはり保護者、特に母親の関心も「保育の質」に向いているということでしょう。
父親|最も期待するのは「子育てに参加しやすい職場の制度・環境」
父親が期待する支援のトップは「父親が家事・子育てに参加しやすい職場の制度や環境」でした。「期待する」「やや期待する」を合わせて78.8%になっています。
僅差で続いたのは、母親でトップだった「子どもを安心して預けられる園における保育の質の確保」(77.7%)、次いで「子育てと仕事の両立を図る多様な働き方を認める職場環境(76.8%)という結果でした。
父親は子育てをするうえで、職場や働き方の制度・環境改善を求めている人が多いことがわかります。
母親・父親ともに「とても期待する」のは経済的な支援
母親と父親で期待する支援の上位には違いも見られることがわかりました。最後に「とても期待する」のみに絞って回答を見てみましょう。
その結果、母親、父親ともに「子どもの医療費の軽減、無償化の取組」に期待する割合が最も高くなりました(母親59.1%、父親38.7%)。2番目に多い項目も母親と父親で一致しており、「子育てや教育にかかる費用の支援、軽減」となっています(母親55.7%、父親36.7%)。このことから、母親、父親のどちらも経済的な支援をより求めている傾向がうかがえます。
まとめ
未就学児の子どもがいる母親、父親が妊娠や出産、子育てにあたってどのような支援を求めているのか、アンケート結果を紹介しました。母親、父親ともに経済的な支援を強く求めていることや、保育の質の確保を期待する人が多いことがわかりました。また、父親の場合は仕事上でのハードルを感じており、その改善を望んでいることがうかがえる結果でした。いずれも当事者だけでは解決できない社会的な課題です。「異次元の少子化対策」が内実を伴うものになるよう、国に期待する人は多いでしょう。
(マイナビ子育て編集部)
<調査概要>
乳幼児の保護者のライフキャリアと子育てに関する調査/ベネッセ教育総合研究所
調査方法:WEB調査
調査時期:2023年3月
調査対象:
0歳~6歳の第一子をもつ母親、父親 各2,891名
※母親、父親は、夫婦ペアデータではない
※地域は、国内全域。首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)3:その他7になるように割り付け