発達障害・グレーゾーンの子にはどう対処する? 注意したい年齢や学校との協力方法|小嶋悠紀さんインタビュー
ちょっとしたことに怒って爆発してしまう、授業中に立ち歩いてしまう、順番を待てない――子どものそんな様子にどうしたらいいか戸惑ったことはありませんか? 子育ての悩みはどんなお子さんにもつきものですが、うちの子はほかの子と何か違うな、発達障害やグレーゾーンかもしれないな、と思うこともあります。
今回は『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』の著者である小嶋悠紀さんに、発達障害やグレーゾーンのお子さんを中心に、お子さんに対して保護者にできること、注意しておきたいことをうかがいました。
トラブルが起こりやすい子どもの年齢とは?
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――小嶋さんは著書の中で、特に注意したい子どもの年齢として、5歳(幼稚園年中)、9歳(小学校の中学年)、13~14歳(中学入学後)を挙げられていますが、なぜ注意が必要なのでしょうか?
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小嶋悠紀さん(以下、小嶋) まず、5歳については、“集団に適応できるかどうか”がハッキリと見えてくる時期となります。
9歳からは3年生以上の学習がスタートして、社会や理科も始まります。1〜2年生の学習は「具体的なことやもの」「数えられる範囲」での学習です。しかし3年生以上は、抽象的な学習が多くなってくるため、集団での学習が難しくなる傾向があります。そのため集団に馴染みにくいということが起こりやすくなります。
13〜14歳は、さらに複雑です。思春期と発達障害が混在するので、問題の所在が見えにくくなります。
中学校では学習も人間関係もさらに複雑になります。
今までは、小学校では大丈夫だったことも、一気に難しく感じてしまったり、なかなか上手に立ち振る舞えなくなったりすることも多いのです。また、自己認知も高まってくるので、「なぜ自分だけができないのか」「できない自分はダメな人間だ」と自尊感情も大きく低くなってしまいます。
これらのことから不登校や引きこもりなどになりやすいのもこの時期なのです。
男の子と女の子、注視したい“支援のタイミング”
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――注意が必要なポイントについては、男子・女子で違いはあるのでしょうか?
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小嶋 男子の方が「わかりやすく特性が出る」ので、本当に小さい時から「暴れる」「叫ぶ」「動きすぎる」「離脱する」などの行動が見えやすいという実感があります。だから男子は「症状や問題行動が見えたときが支援を考えるタイミング」と思っておくといいと思います。
女子については、小学3~4年生で不登校になる子が男子以上に多いです。
また13〜14歳で特に注意してほしいのが「真面目な女子」です。過剰反応を起こして限界に達して、不登校になることがあるからです。
家庭でできる「子どもへの対応」とは?
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――お子さんの中には、友だちと遊ぶ時に順番を待てなかったり、勝ちにこだわって負けると怒る、といった態度を繰り返したために、友だちと一緒に遊んでもらいにくくなる子もいると思います。
大人の目が届かない・介入できない場での行動についてはどうしたらいいのでしょうか?
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小嶋 学校現場でも、教師が介入できなかったり見ていなかった時はよく起こるので、その時のやり方をお答えしましょう。
その場合は、経験したことを振り返って気づきを得る「リフレクション手法」を用います。その場で介入や支援ができないので、
「〜の時はどのように自分の気持ちが変わったか?」
「どうして手を出してしまうという選択をしてしまったか?」
「次はどのようにすべきか?」
ということを、大人が子どもに質問をしながら一緒に冷静に振り返ることが大切です。
話が苦手な子、気持ちが出しにくい子の話を聞くコツ
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――子どもの様子を把握するためにも、子どもと話し合うこと、話を聞くことは大切ですね。でも話すこと、気持ちを言葉にすることが苦手な子の場合はどうすればいいのでしょうか?
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小嶋 話が苦手なことと、気持ちが出しにくいことは別の問題となります。
話が苦手なお子さんの場合は、大人の方が
「どんな場面が苦手なの?」
「その時の気持ちをこの中から選んでみてね」
など、ある程度選択させるような方法で話を引っ張ってみることで話しやすさが出ると思います。
また、気持ちをなかなか言えない子どもの場合は、
「〜のような気持ちだったかな」
「〜という思いがあったんだよね」
と代弁の形をとるのも効果的です。
子どもは「認めてほめる」が大切
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――改めるべきことがある時、子どもの話をよく聴きながら、ふりかえりをすることが大事なんですね。逆に、親が子どもをほめる場合、気をつけることはありますか?
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小嶋 保護者の方は家庭で「しっかりと認めてほめる」ことが最も大切です。
もちろん、小さい時は頻繁にほめてあげることが大切です。
思春期以降は一人の人間として、人格を認めながらほめることが大切ですね。
定型発達の子たちにも有効な方法
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――発達障害がある子への対応の原則・ベーシック5(見つめる、微笑む、話しかける、触れる、ほめる)、注意する前に本人に気づかせる、指示を出す時は1回で1つの指示にする、意識してはっきりエネルギッシュに伝えるなど、様々な方法は、定型発達の子にも同じようにアプローチをしていいのでしょうか?
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小嶋 もちろんです!
我々、特別支援教育を推進する先生たちの中でも「発達障害やグレーゾーンの子に効果的ということは、多くの子どもたちにも優しい」ということは共通認識です。ぜひお試しください。
逆に定型発達の子であれば、言語がしっかりと伝わるはずですので、言葉での説明を多くしても納得感を引き出しやすいのではないか、と考えています。
学校と家庭、どうすれば協力体制が作れる?
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――子どもの話にしっかり耳を傾け、家族のやり取りがうまくいって家庭では落ち着いて過ごせていても、学校ではパニックになったり荒れることがある発達障害やグレーゾーンのお子さんは少なくないことと思います。
学校と家庭が協力する際に気を付けた方がいいことは何でしょうか?
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小嶋 学校と家庭との密なコミュニケーションはとても大切です。
理想は、学校と家庭がお互いに「やっぱりね」と言い合えるぐらいに、スムーズに話ができるようになることです。
学校と家庭がそれぞれの状況を知らないと、様々な軋轢を生み出します。
保護者の方が学校に対して
「ショックを受けないので、なんでも包み隠さずに報告してほしい」
「一緒に子どもを支えていける関係になりたい」
とメッセージとして伝えてくれれば、学校の先生としてこれほど心強いものはありません。私も教員でしたのでそれはとてもわかります。
そうして支援会議などの時に
「学校で〜な姿があるんですよ〜」
「やっぱりそうですか家庭でも同じです」
というように、お互いに「やっぱりね」という会話ができれば、コミュニケーションがスムーズにできたと言えるのではないでしょうか。
大人が変わると見え方も変わってくる
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――発達障害やグレーゾーンのお子さんに対して、色々なアプローチを教えていただきありがとうございました。最後に、保護者の方にメッセージをお願いします。
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小嶋 毎日、様々なことにお悩みなことも多いと思います。苦しさもあるかもしれません。
ただ、ちょっとした声かけのコツや関わり方を大人が変えると、発達障害の子どもたちは一気に“かわいい子”になるものです。「特異」を「障害という側面のみで見る」のか、「彼らの持っているスペシャルな面」としてみるのかでも大きな違いがあります。
たくさんの有益な情報を参考に、彼らとの親子の時間を楽しんでいただけたらと願っています。
(解説:小嶋悠紀、取材・文/大崎典子、構成:マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
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