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2024年02月06日 10:03 更新

「寒さを我慢すれば子どもの体は鍛えられる」!? 真冬でも薄着・素足って本当に体にいいの?

最近、寒い日が続きますね。大人は体を冷やさず温めることが推奨されるのに、子供の場合は寒い時期こそ「薄着で鍛えるべき」「温めて平熱を上げるべき」という相反する二つの意見をよく聞きます。そこで子供と寒さについて、森戸先生に聞きました。

薄着のほうが免疫力がアップする⁉︎

(※画像はイメージです)
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この冬は暖かいですが、今頃になって寒くなってきました。最近は真冬でも暖かくなったり、寒くなったりと日々の寒暖差が大きくて、体調維持が大変ですね。大人に関しては「冷えは万病のもと」などと言い、暖かい環境や服装で過ごすことが推奨されます。

ところが、子供のことになると「子供は風の子。薄着のほうが元気に育つ」という説を聞くことがあります。確かに子供は寒くても外で遊びたがったり、厚着をいやがったりする子が多いでしょう。でも、寒い時に薄着でいたほうが体が強くなるということはありません。

その昔、幼稚園や小学校などにおいて、寒くても裸になって乾いた布で体をこする「乾布摩擦」が盛んに行われた時期がありました。風邪予防や健康にいいと信じられていたからです。ただ、こちらも科学的根拠に乏しく、皮膚の摩擦によるリスクもあるためか、ほとんど行われなくなりました。

こうしたことの名残で、今でも薄着や素足を推奨している園や学校もあるようです。もちろん、エアコンや床暖房などで暖かければコートの下は薄着でも問題ありませんし、滑って転ばないように靴下を脱いで素足になるということもあるでしょう。でも、体を鍛えるために、無理に薄着を推奨するのはよくありません。

子供は大人に比べて筋肉も脂肪も少ないために体が冷えやすく、まだ体温調節機能も未熟です。だからこそ、寒い時期には適度に暖かい格好をさせてあげましょう。あえて寒さを我慢させる必要はまったくないのです。

温めればいいというわけでもない

(※画像はイメージです)
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では、子供は暖かい格好をすればするほどいいでしょうか? そんなわけもありませんね。あまり厚着をしすぎると、冬でも汗をかきますし、その汗が冷えると却って体が冷えてしまうのでよくありません。暖房のきいた室内では、反対に熱中症のリスクもあります。

特に乳幼児の親御さんに多いのですが、大切なお子さんが風邪をひかないようにと、厚着させすぎてしまうことがあります。乳幼児は暑いことをうまく伝えられないので、泣くことで不快感を表すことも多いですが、着せすぎになっていないか注意してみましょう。汗をかいていたら上着や靴下を脱がせ、震えていたり寒がっていたりしたら衣服を調節してください。

なお、就寝時に厚着や布団で暖めすぎることは、乳児突然死症候群(SIDS)の発症リスクを高めることが示唆されています。1歳未満の赤ちゃんは特に注意が必要です。

たまに「最近は子供の平熱が下がっている。低体温によって免疫が低い子供が増えている。だから健康のために子供を温める必要がある」などと言う人もいます。そして、平熱を上げるためにと「暖かい服装をする」「運動をする」「入浴する」「熱い飲み物を飲む」「体を温めるといわれている食べ物を食べる」などを実践する人もいるようです。

しかし、もし何らかの行動によって一時的に体温が上がったとしても、だからといって「免疫力がアップする」とは限りません。平熱というのは人によって違いますし、直ちに健康に影響するものではないでしょう。あまりにも荒唐無稽な説だと思います。

気候に合う服装を学ぶことが大切です

(※画像はイメージです)
(※画像はイメージです)

このように考えると、前述の「子供は薄着でいたほうがいい」という説は「つらい思いを我慢してこそ強くなる」という意味ではないでしょうか。科学的根拠のある事実ではなく、昔ながらの根性論に基づくものでしょう。

つらいことを我慢したら、必ずいいことがあるとは限りません。子供に無駄な薄着を強いる必要はないと思います。

一方、「子供の平熱を上げるべき」という意見は、「現在は昔に比べて様々なことが悪くなっている」という考えも背景にあるのかと思います。「昔と比べて子供の犯罪や非行が増えている、野菜の栄養価が落ちている」などというデマも、一部で信じられているのです。「昔のほうがよかった」と思いたいのかもしれませんが、それで無闇に厚着を強いられたら子供にとってはいい迷惑ですね。

そんなことよりも大切なのは、気候に合わせた服装で子供の健康を守ること、またそうした衣服の調節を子供自身が少しずつ学んでいくことです。

子供は薄着がかっこいいと思って寒いのにやせ我慢したり、動いて暑くなったら後先を考えずに上着を脱ぎ捨てて薄着になってしまったり、そうしてどこかに上着を忘れてきたりするものです。けれども、成長とともに、だんだんと季節に合わせた服装をすることを学んでいきます。

ちなみに「子供は風の子」って、寒い屋外で遊んだ子が健康で元気になっているというよりも、健康で元気な子たちが寒い屋外で遊んでいるんだろうと思いますよ。

適度に暖かい服装で、寒い冬を乗り越えましょうね!

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