「においだけで無理」は甘えじゃない。単なる好き嫌いではない、味覚・嗅覚が敏感な子どもの“食べられない”理由
好き嫌いに見える“食べられない”の裏には、味覚や嗅覚が通常より強く働く「感覚過敏」が潜んでいる場合があります。国立障害者リハビリテーションセンターの調査では、発達障害のある人の感覚の問題の中で、味覚の困りごとは未成年で特に多いことが明らかになっています。
さらに、嗅覚の問題についても一定数の回答がみられ、強いにおいや食品の香りが大きなストレスとなり得ることが報告されています(※)。こうした特性から、特定の食感・におい・味を避けざるを得ず、結果として偏食に見えるケースも少なくありません。本記事では、子どもが食事で感じている“つらさ”を理解するための専門的視点と、寄り添い方のヒントを解説します。
※国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害のある人の感覚の問題」
\子どもの“困った”行動に悩むすべてのママ・パパに/
YouTube登録者数10万人超、SNSでも注目を集める児童精神科医・さわ先生が、発達ユニークな子どもたちが感じている「困りごと」と、周囲の大人にできる関わり方をやさしく教えてくれる一冊です。
今回は、味覚や嗅覚に敏感な子どもが感じている困りごとについて、書籍『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(日本実業出版社)から一部抜粋してお届けします。
食べられない!
子どもの困りごと
味覚・嗅覚の障害、偏食
単なる好き嫌いというわけではない
感覚過敏の特性を持つ子のなかには、嗅覚・味覚の過敏性があって、結果的に偏食になる子も多いです。
たとえば、硬い食べ物が苦手だったり、味や匂いの刺激が強すぎて、味が混ざった食べ物が苦手だったり、納豆などの匂いの強い食べ物が苦手だったり。
特定の食べ物を口に入れると、ゴムや砂を噛んでいるように感じる、針で刺されるような痛みを感じるという人もいます。
過敏性は、とくにASDの子に多く、そもそもASDには「変化を嫌う」「新しいことへの警戒心が強い」という特性も見られやすいです。
そのため、自分が昔からよく知っている食べ物以外には口をつけようとしない人もいます。子どものころに魚の小骨がのどに刺さった経験から、魚がいっさい食べられなくなった人もいました。
摂食障害を発症してしまうケースも
外食をしようとしても、ふだんからよく行っているお店であれば安心できますが、はじめてのお店では、どんな料理が出てくるのか、どんな味なのか、店内の雰囲気や騒がしさ、隣の席との距離、匂い、温度などがわからないため、不安に感じることがあります。
ASDの特性を持つ人のなかには、慣れていない環境や変化に対して不安を抱きやすい傾向があるため、外食自体が苦手な人もいます。
わが家もそうですが、発達障害を持つ子どもの場合は、食事ひとつでもさまざまな難しさがあるのですよね。
親御さんとしては、食事を用意するたびに悩み、苦労されている方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、いわゆる好き嫌いとはちがいますから、無理やり食べさせるのはおすすめできません。
感覚過敏やこだわりの強さから、摂食障害(拒食症)を発症するケースもあります。
ですから、まずは食べることを嫌いにならないよう、食事を楽しむことが第一です。
まわりに合わせようとして無理をさせたり、「なんで食べられないの!」と怒ったりすることはせず、やさしく見守る姿勢が大切です。
栄養は代わりのもので補うくらいの意識で
「偏食」と言っても、その食べ物でしか摂れない栄養素はほとんどありません。
たとえば、納豆が苦手ならほかの大豆製品で代替する。牛乳が飲めなければチーズやヨーグルトにする。魚が食べられなければ、はんぺんやかまぼこ、お魚ふりかけやお魚せんべいなどで補うことなどもできますよね。
それから、魚をすり身にして別の料理に入れる、野菜の食感が苦手ならブレンダーでペースト状にして好きな料理に少しずつ入れるなど、調理方法を変えてみることで食べられるものが徐々に増えていくケースもあります。
その際も、親子ともに無理をしないでくださいね。
どうしても特定の食品を受けつけない子には発達の特性が関係していることもありますから、やはり無理に偏食を直そうとしなくていいと、私はいつも親御さんに伝えています。
本人にとっては、食べたくても食べられないものがあるのです。
決して「わがまま」や「我慢が足りない」わけではありませんし、もちろん親の育て方が悪いということもありません。
なかには、成長にともなってある程度は改善することがありますが、無理に食べさせられたりすると、ますます苦手意識が強くなることがあります。
まずは、食事の時間をつらい時間にしないこと。その子が楽しく食べられるということを第一に考えましょう。
児童精神科医のつぶやき
子どものペースを尊重しながら、食事の時間を嫌いにならないようにしましょう
続きはぜひ書籍でご覧ください。
※本記事は、『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』<著:精神科医さわ/日本実業出版社>より抜粋・再編集して作成しました。
