【医師監修】妊娠中期のいや〜な胃もたれ、原因は? 予防策3つ
つわりの症状は妊娠12~16週ごろには治まってくることが多く 、妊娠中期(妊娠14~27週)には「食べられる喜びをかみしめる」なんてことも。一方、妊娠中期に胃もたれで悩む人も少なくないようです。これはいったいどんな原因で起こっているのでしょうか。
胃もたれってどんなもの?
胃もたれは、胃での消化が上手くいかず、食事の後などに胃が重く感じる症状です。
消化器の病気が原因で胃もたれが起こる場合もありますが、妊娠中は生理的に胃もたれを起こしやすい状況にあります。
妊娠中期の胃もたれの原因は?
妊娠中期に起こる胃もたれには、どのような原因が考えられるのでしょうか?
ホルモンが変化する
妊娠すると、多くのホルモンで分泌量が増加します。そのひとつである黄体ホルモン(プロゲステロン)は胃の動きをにぶくさせる作用があり、食べ過ぎてなくても、胃もたれが起こることがあります。
とくに妊娠中期の序盤は、まだつわりの症状が残っている人も多く、食事の嗜好の変化で油もの、塩辛いもの、熱い/冷たいものなどを偏って食べすぎたりすると、胃もたれを引き起こしやすくなります。
妊娠中期のつわり症状については、以下の記事で詳しく解説しています。
子宮が大きくなる
どちらかといえば妊娠後期に多い原因ですが、妊娠中期でも胃が圧迫されることがあります。
妊娠中期の始めは、お腹がやや膨らむ程度ですが、後期に近づくにつれて赤ちゃんの成長とともに子宮はどんどん大きくなっていきますので、胃を下から押されるような状態となり、胃の不快感が強くなる人もいます。
胃酸が逆流する
先にも出た妊娠中に分泌量が増加する黄体ホルモン(プロゲステン)は、胃の動きを低下させるだけでなく、下部食道括約筋という筋肉を緩みがちにします。
この筋肉は、食道を胃酸の逆流から守る役割があるため、ここが弱まると胃から胃酸が逆流して食道が炎症を起こしやすくなります(逆流性食道炎)。
逆流性食道炎の典型的な症状は胸やけと酸が上がってくる感じ(呑酸)ですが、胃もたれやのどの痛みを感じる人もいます。
これらのほか、精神的なストレスも胃の働きに関係しており、胃もたれの原因になることがあります。
妊娠中期のマイナートラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。
胃もたれ・胃痛など、胃の不快感の予防策
妊娠中は、ただでさえ胃もたれなどの消化器の不調を感じやすいものです。予防のためにはどんな工夫があるでしょうか。
消化の悪い食べ物・食べ方を避ける
つわりの症状が残っていると食べ物の嗜好も偏りがちですが、油分が多いもの、硬いものなど、消化に時間がかかるものはなるべく避けましょう。
また、消化の良し悪しを決めるのは、食べ物選びだけではありません。食べ物は、よく噛んで唾液と混じることで消化しやすくなります。よく噛まずに食べると胃酸の分泌も間に合わなくなり、ひいては胃もたれにつながるので要注意です。妊娠中期の食事量は腹八分目で!
運動前・就寝前に食べない
食事すると胃に血液が集まり消化活動が開始されますが、食後に体を動かすと胃に送られるべき血液が別のところに送られてしまいます。そうすると、胃での消化活動が十分に行われません。妊娠中、ウオーキングなどを日課にしている人もいるかと思いますが、食後にすぐ動くのは避けてみましょう。
一方、寝る前の食事も消化不良を引き起こす恐れがあるので、就寝の3時間前は食事を避けましょう。それでも、食べたいのが妊娠中……夜にどうしても食べたくなったら、消化によいものを少量にとどめましょうね。
楽しみながらリラックスして食べる
妊娠中、あれこれ悩みごともあるかと思います。しかし、考えごとやほかの作業をしながら食事をすると、交感神経が優位に働き、胃酸の分泌を抑えてしまいます。
逆に、副交感神経が優位に働くと、消化のための胃酸も出やすくなります。あわてず、食事に集中して、楽しみながら食事ができるといいですね。
長引くようであれば医師に相談を
胃もたれの症状が続く、他の症状も伴うなどの場合は、妊娠による生理的な原因以外も考えられます。早めに受診し、医師の診察を受けましょう。
そのほか、妊娠中期のママと赤ちゃんの状態については以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
妊娠中期はつわりの症状から解放され、食欲も出てくる時期。しかし、胃もたれも起こしやすくなっています。消化にいい食事内容・方法、タイミング、状況などを工夫して、予防に努めましょう。症状が長引く場合などは早めに受診することも大切です。
(文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄先生)
※画像はイメージです
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます