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2021年04月19日 10:55 更新

【医師監修】妊娠7ヶ月のママと赤ちゃんの特徴、食事や出産準備の方法(妊娠24週、25週、26週、27週、妊娠中期)

妊娠後期に向けて赤ちゃんがどんどん成長する妊娠7ヶ月は、ママの体に寝苦しさや食欲不振などのマイナートラブルが見られることも。妊娠7ヶ月のママと赤ちゃんの様子、また食事の工夫やこの時期にやっておくと良いことなどをまとめました。

妊娠7ヶ月の母体の特徴は?体の変化と症状

妊娠7ヶ月のイメージ画像
Lazy dummy

妊娠生活も後半に近づき、おなかのふくらみがますます大きくなってきます。妊娠7ヶ月のママの体の変化や、起こりやすいマイナートラブルはどのようなものでしょうか。

おなかのふくらみが目立つように

おなかがますます大きくなり 、前かがみの姿勢やあおむけで寝ることが大変になってきます。腰に負担がかかり、腰痛に悩む人もいます。自分が楽だと感じる姿勢で、無理のない毎日を送るようにしましょう。

息苦しさや寝苦しさを覚えやすい時期

妊娠中は母体が体重増加するのに加え、赤ちゃんへ血液を供給する必要もあるためママの体のなかを循環する血液の量が増えます。

そのため1分間に心臓が拍出する血液の量(心拍出量)が増えて、心臓の負担も大きくなります。妊娠7ヶ月で心拍出量は最大になるため[*1]、息苦しさを感じる人もいるかもしれません。

食欲不振や頻尿になるママも

子宮が大きくなって胃が押し上げられるため、たくさん食べるとおなかが苦しくなる ことがあります。そのことで食欲不振になる人もいるでしょう。

また大きくなった子宮がぼうこうを圧迫 し、頻尿になることもあります。

妊娠7ヶ月の赤ちゃんはどんな様子?発達の目安と特徴

おなかの赤ちゃんは、妊娠27週末で身長約35㎝、体重約1,000g[*2]。妊娠24~25週ごろになると、時間帯によって活発に目を動かしている ときも見られるようになります。産毛が全身を覆い、皮膚はしわしわで老人 のような見た目をしています。

このころになると肺の構造が完成 。これまで肝臓で作られていた血液 は、このころからだんだん骨髄で作られるように変化します。

この時期の妊婦健診でチェックする内容は?

妊婦健診では体重・血圧の測定、子宮底長、尿検査、赤ちゃんの心拍確認、むくみ、体重、超音波検査などを引き続き行います。

一方、胎盤の位置や血糖値、早産のリスク確認で行われる、この時期特有の検査もあります。これらの検査について概要を見ていきましょう。

胎盤の位置の確認

妊娠中期には経腹超音波検査で、子宮のどの位置に胎盤がくっ付いているかを確認します。

通常、胎盤は子宮の中でも上のほう、子宮口から離れたところに付着していますが、下方にあって子宮口の一部や全部を覆っている場合は「前置胎盤」、まだ子宮口まで達していないものの、近くまで下がっている場合は「低置胎盤」の疑いがあります。

経腹超音波検査でこのような疑いがあるときは、妊娠24週から31週末まで に経腟超音波検査で確定診断 を行います。前置胎盤や低置胎盤は大量出血の恐れがあるため、帝王切開で出産することになります(低置胎盤では場合によっては経腟分娩が可能な場合もあります) 。

血糖値の確認

妊娠初期の血糖値の検査で特に問題がなかった妊婦に対しても、妊娠中期(24週~28週ごろ)に再度、検査を行います。

検査は特に時間を定めないで採血を行って血糖値を測る「随時血糖測定」と、50gのブドウ糖を飲んで1時間後に採血を行って血糖値を測る「50gグルコースチャレンジテスト(経口ブドウ糖負荷テスト)」のいずれかで行われます。

血糖値が基準値より高かった場合には、さらに75gOGTT(空腹時経口ブドウ糖負荷テスト)を受けて血糖値を測定し、妊娠糖尿病かどうかを診断します。

早産リスクのチェック

早産とは、妊娠22週から36週6日の間 に出産となることです。早産になると赤ちゃんが未熟な状態で生まれ、合併症を伴う恐れもあります。

一つの目安として、子宮頸管(けいかん)長が短いと早産のリスクが高い と言われています。子宮頸管長は経腟超音波検査で測定します。妊娠24週未満で頸管長が30㎜以下であれば切迫早産に注意が必要で、25㎜より短ければ標準的な頸管長の場合に比べて6倍以上、早産になりやすいとされています[*3]。

妊娠7ヶ月の食事の注意点と栄養バランスのとり方

すくすく育つ赤ちゃんに必要な栄養素を届けるため、栄養バランスの取れた食事がますます重要になります。この時期の食事は、どのようなことを心がげたら良いでしょうか。

塩分や糖分の取りすぎに注意を

引き続き妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病には注意したい時期。妊娠高血圧症候群にならないよう、食事の塩分を控えて薄味を心がけましょう。

また妊娠糖尿病の予防 には糖分を取りすぎないとともに、規則正しい時間に食事をとって血糖をコントロールすることもポイントになります。

逆に極端なカロリー制限や塩分摂取制限も良くありません。適切な量を摂取することが大切です。

鉄分を積極的に取ろう

妊娠中期から後期にかけては、赤ちゃんの成長のため鉄分をいつも以上に必要とします。

鉄分が多く含まれる食品はレバー、まぐろなどの赤身魚、ホウレンソウ、ヒジキ、貝類などがよく知られています。ただし、植物性食品や卵・乳製品に含まれる「非ヘム鉄」に比べ、肉や魚など動物性食品に含まれる「ヘム鉄」の方が体内への吸収率が高くなっています。非ヘム鉄を含む食品を食べるときには、鉄の吸収を促すビタミンCを一緒に取ると効果的です。

一方、緑茶や紅茶、ウーロン茶、コーヒーなどに含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げてしまうので、取りすぎには注意しましょう。

栄養バランスの取れる食事例

赤ちゃんがどんどん育つ妊娠中期の食事は、カロリーと栄養バランスの両方に気をつける必要があります。

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」によると、妊娠中期は非妊娠時に比べて1日250kcalの食事を増やすこととされています(妊婦それぞれの体格や、妊娠中の体重増加量、胎児の発育状況によって変わります)[*4]。250kcalの増加分をご飯など炭水化物で補おうとすると体重が増える可能性もあるので、おかずの量や種類を増やすのがオススメです。

ただし、しっかり味付けしたおかずをたくさん食べると、塩分の量も多くなりがちです。できるだけ薄味の食事を意識しましょう。

普段の食事に加えたい食材のオススメは低カロリーでたんぱく質や鉄分を豊富に含む高野豆腐、ミネラル・鉄分を多く含む海藻、不飽和脂肪酸のDHA、 EPAなどを多く含むサケなど。

具だくさんの汁物や、青野菜のおひたしなど副菜を増やして、栄養バランスの取れた食事を意識しましょう。

妊娠後期に入る前にやっておきたいこと

翌月の妊娠8ヶ月となる妊娠後期に入ると、ますますおなかが大きくなります。その前にやっておいた方が良いことや、この時期から始めた方が良いことについてまとめました。

おなかが大きくなる前に歯医者さんや美容院へ

妊娠中は唾液の分泌低下やホルモンの変化などから歯周病 が増え、虫歯にもなりやすいと言われています。妊婦の3分の1に歯周病が認められた、という実態調査の報告もある[*5]ため、おなかが大きくなる前に歯科を受診し、お口のチェックをしておくのがオススメです。

検査の結果、治療が必要になった場合、妊娠中期ではレントゲンや投薬による胎児への影響はほとんどないと言われていますが、事前に歯科医師の説明を受け、十分理解したうえで治療 を受けましょう。

また、おなかが大きくなる前に美容院で髪を整えておくのもオススメです。産後しばらく美容院へ行けなくなる可能性もあるため、お手入れのしやすい髪形にしておくと良いかもしれません。

出産準備をある程度終えておこう

赤ちゃんの名前を考えたり、ベビー用品をそろえたり、産後の準備を少しずつ始めていきましょう。

また、赤ちゃんとの生活をサポートしてくれる便利なグッズやサービスについても情報収集。急病のときの受診先や、一時預かりが可能な施設など、いざというときの連絡先もまとめておくと安心です。

まとめ

大きくなった子宮が周囲の臓器を圧迫したり、血液量が増えたりして、頻尿や息苦しさなどのマイナートラブルが起きやすい時期。体調がつらいときは、無理をしないで休息を取りましょう。

妊娠後期となる8ヶ月目に備え、引き続き急激な体重増加や切迫早産には注意を払い、バランスの良い食事で赤ちゃんの成長をサポート。妊娠後期に入る前に、歯科治療や出産準備などをできるだけ進めておくのもオススメです。

記事を監修してくれた<中林稔先生>プロフィール

(文:剣崎友里恵、監修:中林稔先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]医療情報科学研究所/編・2014年・『病気がみえるvol.10 産科 第3版』・メディックメディア・p9、p40
[*2]荒木勤, 最新産科学正常編(第6刷), p59, 文光堂, 2013.
[*3]医療情報科学研究所/編・2014年・『病気がみえるvol.10 産科 第3版』・メディックメディア・p166
[*4]厚生労働省『日本人の食事摂取基準』(2015年版)
[*5]日本産科婦人科学会『産婦人科診療ガイドライン産科編2017』・p329

公益社団法人 日本産科婦人科学会 前置胎盤

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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