「食べられるのに捨てる」にサヨナラ! 食品ロスを減らすSDGsな野菜の切り方を親子で学んできた
まだ食べられるにも関わらず捨ててしまう「食品ロス」問題。この問題は、スーパーやコンビニなどの小売業・飲食店の問題だと思われがちですが、実は家庭でも多く発生しているのをご存じでしょうか。今回は、そんな食品ロスを減らすアイデアがいっぱいの包丁教室「畑で学ぶやさしい切りかた教室」に息子と2人で参加してきました!
貝印が提案する「畑で学ぶやさしい切りかた教室」とは?
日本の年間食品ロスの量およそ523万トンのうち、飲食店などの事業系ロスが約279万トンに対し、家庭系ロスは244万トン(※)。実は食品ロスの約半数は、家庭から発生しています。そして、その原因のひとつが「野菜の切りすぎ」。食べられる部分を捨ててしまう過剰除去にあるのだとか。
そこでグローバル刃物メーカーの貝印は、無駄なく野菜を切る方法をまとめた特設サイト『やさしい切りかた辞典』を制作。そのノウハウをベースに、同社が開催した子ども向け包丁教室が「畑で学ぶやさしい切りかた教室」です。講師には、管理栄養士でSDGs料理研究家であるとぅぃんくる星美さんを迎え、千葉県木更津市の循環型農場「クルックフィールズ」にて、収穫した野菜の料理体験を通して学びます。
いざ教室へ。会場に向かうバスの中からSDGsを楽しくお勉強!
当日の朝、教室の参加者は東京駅に集合。バスで会場まで向かいました。バスに乗り込むと、「わぁ~、遠足みたい!」とハイテンションの息子。
片道2時間弱かかるとのことだったので、途中息子が飽きないか心配でしたが、講師とぅぃんくる星美さんの登場で、その心配も吹き飛びました。
今までに3,000人以上の子どもたちに、食・栄養の楽しさ、SDGsについて教えているというとぅぃんくるさんは、子どもたちを惹きつけるのが上手! 息子もたちまちハートを鷲掴みにされ、話しを聞き入っています。
野菜の花のクイズでは、子どもたちも大盛り上がり。
今まさに小学校で野菜を育てている息子は、私以上に野菜の花を知っていて、楽しそうにクイズに参加していました。
クイズのあとは、今回の教室のメインテーマ「SDGs」や「食品ロス」ついて学びました。
食品ロスは、食べ物を無駄にするだけでなく、地球環境にも負担をかけているのだそう。捨てられた食品を焼却すれば「二酸化炭素」が排出されますよね。この二酸化炭素が地球を覆うと、地球から逃げる熱を閉じ込めて温暖化が進むからだそうです。
日本で1年間に出る食品ロスの量は、アフリカゾウおよそ41万トン分(アフリカゾウ1頭の体重はおよそ6トン)だそうですから、想像以上に深刻な問題ですよね。
食品ロス削減が、なぜ今こんなに重要と言われているのかもバッチリ理解できました!
いのちが循環する農場で、オーガニック野菜の収穫体験
バスで東京湾アクアラインを走り、木更津北ICを降りて約15分。緑豊かな小高い丘を登ると、広大な農場が見えてきました。そう、こちらが野菜の収穫体験&調理体験の会場となるクルックフィールズです。
自然との共生を目指すために、エネルギーや土、水の循環の仕組みを作り上げているクルックフィールズ。到着すると、施設担当者がその循環システムについて説明をしてくださいました。
木更津周辺で害獣として捕獲されたイノシシの肉は、ジビエとして販売するほか、骨も捨てるのではなくスープのダシに使い、最後には粉砕して鶏のエサになるのだとか。いただく命を無駄にしない、この取り組みは感動モノですよね。
また、場内のレストランなどで出る野菜くずは、「ミミズコンポスト」に投入するそう。その名の通り、ミミズに生ゴミを食べてもらい、ミミズの排泄物を畑の堆肥として使う仕組みです。その畑で野菜を育て、それをまた私たちが食べて……まさにいのちの循環!
この話を聞いて、「ミミズを捕まえて飼いたいな」と思ってしまいましたが、私たちがよく見かけるあの大きなミミズは、生ゴミを食べてくれないそうです。残念……(笑)。
生ゴミを食べてくれるのは、こちらの“シマミミズ”という種類のやや小型のミミズです。
場内で出る排水は、微生物や植物の働きを活用した水質浄化システム「バイオジオフィルター」を通して小川に流します。化学薬品をいっさい使わずに、自然の力だけで排水がここまでキレイになることに驚き。臭いもまったくありません! 排水に含まれる栄養分により、多様な植物や生き物が生息する豊かな生態系も築かれていました。
循環システムの話を聞いたあと、クルックフィールズの敷地内にある畑に向かい、いよいよ収穫体験へ。豊かな生態系が保たれた場内は、土の状態も健康であると言えそうですよね。そんな土壌で育つ野菜は、「どんな味がするんだろう?」とワクワクが止まりません!
まずは「オレガノ」と「ホーリーバジル」の2種類のハーブから収穫。ハーブ好きの息子は、摘み取りながらその香りにうっとり。収穫も楽しそうです!
続いて夏野菜の代表「ナス」を収穫。
採れたて艶やかなナスは、見るからにおいしそうです!
続いて収穫したピーマンは、息子の顔の長さをほぼ同じのビッグサイズ! かなり食べ応えがありそう。
最後にミニトマト3種を収穫。色や形など品種によって異なるミニトマトの特徴を見つけることが、息子にはとても新鮮で楽しかったようです。
え、ここも食べられるの? “切り過ぎない”野菜の切り方に驚きの連続!
こちらの黒い建物に入ると、いよいよ本日のメインイベント。収穫した野菜を使って、食品ロスを減らす野菜の切り方を学びます。
収穫した野菜は、サッと水洗い。
採れたて新鮮な野菜は、どれもみずみずしくておいしそうです。
準備が出来たら、とぅぃんくるさんが子どもたちに包丁の使い方をレクチャー。包丁の正しい持ち方や姿勢、動かし方をはじめ、左手の添え方なども学びました。
とぅぃんくるさんが、ピーマンの切り方のお手本を披露。縦半分に切ったら、タネの部分に指を入れ、ヘタをおじぎさせるように押して白いタネを取ります。普段は捨ててしまうタネやワタ、ヘタですが、実はどれも食べられるとのこと。つまりピーマンは捨てる部分ゼロ。ビックリですよね!
さっそく息子もピーマン切りに挑戦! 貝印の子ども向け調理ブランド「リトルシェフクラブ」の包丁を使って切ります。刃先も刃元も丸く加工されたこの包丁は、まだ包丁の扱いが不慣れな息子に持たせるのも安心でした。
続いて、ミニトマトをみじん切りにします。転がりやすいトマトは切るのが難しそうでしたが、私も手伝いながらなんとか切り終えました。
そして一番の目玉は、ナスの切り方です。ナスはガクごとスパっと切り落として捨てている方も多いと思うのですが、実はガクの裏にも食べられる部分が潜んでいます。それを残して切るというわけ。
体験時は息子の全面サポートが必要で写真がまったく撮れなかったので、自宅で再現した写真をもとにご紹介します。
まず、ナスのひらひらとした傘のような部分「ガク」のさきっぽに包丁を当て、
ナスをくるくる回しながら切り込みを入れたあと、手でむきます。
そうすると魔女のトンガリ帽子みたいにヘタが残ります。
続いてヘタのさきっぽを切り落とし、
残ったヘタを包丁でむけば完成!
この切り方なら、捨てる部分もグンと減らせますよね。
ではここからは、当日の料理体験に戻りましょう。切った野菜を使って「夏野菜たっぷり!イタリアンぎょうざ」を作ります。
調味料をボウルに入れたら、こねこねタイム。ねばりが出るまでよく混ぜます。
餃子の具を包んでスタッフの方に焼いてもらっているうちに、「カラフル★ツナおにぎり」を作ります。
おにぎり作りには、包丁と同シリーズのおにぎり型を使用。成形したあとに型枠を押し上げると、おにぎりがうさぎの耳みたいにぴょんと飛び出す仕組みになっていて、とっても楽しいんです。
そして、お待ちかねの試食タイム! 生野菜がゴロゴロ入ったおにぎりは、絶対に息子が具を残すと思っていたのですが、一切れ残さずペロリ。よほどおいしかったようで、私の分まで奪われました(笑)。
続いて、焼き上がってきた餃子を試食。「うまい!」と一言発したあと、パクパク食べ進める息子の姿から餃子のおいしさが伝わってきました。私も一口食べてみてビックリ。正直なところピーマンのタネやワタ、ヘタは口当たりがあまりよくないのでは……と思っていたのですが、むしろのその正反対。野菜の旨味を丸ごと閉じ込めた餃子は、ふわっと軽い口当たりがとても新鮮でした。
試食が終わると、参加者には今日使用したこちらのリトルシェフクラブの調理器具4点セットがプレゼントされました。うれしすぎ! 自宅に帰ってからも、今日学んだことを子どもと一緒に実践できるのがいいですね。
まとめ
「息子が包丁を上手に使えるようになれば……」そんな軽い気持ちで参加した教室でしたが、「食品ロス」について深く楽しく学ぶことができたのがよかったです。体験後、息子が食べ残したときに「これが食品ロスになるんだよ」と伝えると、「そっか~」と言ってがんばって食べることもあり、しっかりと彼の心に刻まれたことを実感しています。子どものうちから、地球の未来や環境について真剣に考えてくれるようになったらうれしいです。
食品ロスを減らす方法には、「作りすぎない」「買いすぎない」などもありますが、なかなか予定通りにいかないことも多いもの。でも“野菜を切りすぎない”まな板の上のワンアクションなら、今日から気軽に始められます。しかも野菜を無駄なく使うと、栄養もおいしさもアップ! ぜひお子さんと一緒に始めてみてはいかがでしょうか。
貝印 やさしい切りかた辞典
https://www.kai-group.com/products/special/hocho/yasashii/
(⽂・撮影:あゆーや/アソンデミエータ、取材協力:貝印)