
【助産師監修】妊婦の運転はいつまでOK? 臨月の車の運転は?NG行為3つ
妊婦の運転はいつまでOK? シートベルトは締めるべき? など、妊娠中の運転の気になる問題について助産師が詳しく解説します。絶対に運転してはいけない3つのタイミングについてもチェック!
妊娠中はいつまで車の運転ができる?

日常的に車に乗っている方は、「車の運転はいつまでできる?」ということが妊娠時の大きな悩みのひとつになるでしょう。妊婦の運転は妊娠何週目までOKなのでしょうか? できれば避けたい時期も含め、詳しく見ていきましょう。
妊娠中も車の運転はOK。ただしリスクは高い
「妊娠したら、そもそも運転自体をしても大丈夫なの?」と不安になる方もいるかもしれませんが、妊娠したら運転してはいけないという法律はないので、妊娠中でも運転すること自体はNGではありません。
ただ、妊娠中は普段より体調の急な変化が起こりやすく、また、ホルモンバランスの影響で集中力が低下したり注意力も散漫になりがちです。万が一のときにとっさの判断ができなくなる可能性はあるでしょう。また、自分が気をつけていても他の車に追突されたり、事故に巻き込まれる可能性がないとも言い切れません。その時は妊娠していない時よりも深刻な状況に陥るリスクは高いでしょう。
さまざまなリスクを考えたとき、他の交通手段を選べる環境であれば、できれば避けた方が安心であることは間違いないですね。
つわりがひどい時期と臨月は避けたほうがいい


妊娠中はできるだけ運転しないに越したことはありませんが、車がないと生活に支障がある場合はそうも言ってられませんよね。そのようなときは、体調不良や寝不足など心配な要素があれば運転しないなど、いつも以上に安全運転に努めましょう。
ただし、日常に車が必要な場合でも、妊婦さんの中でもできれば運転を避けたい時期があります。
① つわりがひどいときは運転しない
ひとつは、つわりの症状が出やすい妊娠初期です。
つわりの症状には個人差があるので一概に言えませんが、この時期は心身共に不安定な状態になりやすく、急に眠くなったり、体調が急変することもあります。体調が安定してくるまでは無理のない生活を心がけたいですね。どうしても運転しなければならない状況にある場合は、決して無理をせず、体調が優れなかったり症状が重い日は運転を控えるよう努めましょう。
② 妊娠後期は要注意、臨月は自分で運転しない
お腹が大きくなって思うように身体を動かせなくなる妊娠後期、特に臨月に近いころは、運転を避けるのが望ましいです。
お腹が大きくなると機敏に動けないだけでなく、足元が見えづらかったり、ハンドル操作がしにくいというデメリットもあります。また、体をひねるのが難しくなるため、横や後ろの安全確認もしにくくなります。お腹が大きくなってきたら運転には注意したいですね。しなくても問題ない環境であれば、他の交通機関を利用するよう努めましょう。
臨月はいつ破水や陣痛が起こるかわからないので、この時期は妊婦一人での運転は絶対しないようにしてください。
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どうしても車移動が必要な場合の対処法

公共交通機関の少ない地域などでは、通勤や買い物の際にどうしても車が必要ということもあるでしょう。
■家族に協力を仰ぐ
もっとも望ましいのは、自分自身と赤ちゃんの安全を最優先に考え、妊娠がわかった段階で旦那さんや家族とベストな方法を話し合っておくことです。せめて、つわりの時期や妊娠後期などリスクが高くなる時期だけでも、例えば旦那さんと時間を合わせて通勤や買い物を済ますなど、できるだけ運転しなくても済む方法を考え、生活を工夫できると安心ですね。
■自分で運転するならいつも以上に慎重に
どうしても自分で運転しなければならないときは、無理をしないことを第一条件とし、常に安全運転を心がけましょう。体調が優れない日は運転を控え、万が一運転中に体調が悪くなったら迷わず安全な場所に車を停めて休むようにしてください。
■万が一のため母子手帳・保険証を携帯
また、運転の際は必ず母子手帳と保険証を携帯しておきましょう。母子手帳があると身体の状態を把握しやすいので、万が一かかりつけの病院以外で処置を受けるようなことがあっても、医師が判断や処置をしやすくなります。
これはNG!妊娠中の車の運転でやってはいけない3つのこと


妊娠中の多くの期間は、体調と安全運転にさえ気をつければ運転しても大きな問題はありません。ただ、妊婦さんの運転では、これだけは絶対に守りたい3つの注意点があります。やってはいけないこと、勘違いしがちなこと、運転してはいけない状況について詳しくお伝えします。
NG1. 長時間の運転
前でも述べましたが、妊娠中は体調の変化が起こりやすく、さっきまで平気だったのに急に気分が悪くなった…ということも珍しくありません。また、妊娠後期はお腹の張りなどのトラブルが起こる可能性もあるので、リスクを避けるためにも妊婦さんは長時間の運転を避けるようにしましょう。
遠出が必要なときは、電車など他の交通手段の利用を原則としたいですね。どうしても車でなければならないときは絶対に無理をせず、30分~1時間に1回は休憩を入れるようにしましょう。
また、妊娠後期に入ったら、たとえ車での遠出が必要であったとしても、高速道路の運転は避けるようにしてください。スピードを出す高速道路は、何かあってもすぐに安全な場所に止めることが難しいですし、渋滞にはまると身動きができなくなるというリスクも。万が一その間に破水や陣痛が起こってしまったら、すぐに対応することができなくなってしまいます。
特に臨月はいつ陣痛が起こってもおかしくないので、絶対に高速道路に乗らないよう心がけましょう。臨月は長時間の運転はもちろん、できれば1人で運転することも避けたいですね。
■つまりこういうこと!
・妊娠中は体調変化しやすい
・特に妊娠後期はトラブルも起きやすい
→長時間運転は避ける
! 原則として電車などを利用 !
● 自分で運転するならば……
∟30分〜1時間に1回は休憩
∟高速道路には乗らない
NG2. 陣痛時の運転
陣痛タクシーとは、事前に家の住所と出産予定の産院を登録しておくことで、連絡したら迅速に産院へ送り届けてもらえるタクシー会社が行っているサービスです。陣痛タクシーでは365日、24時間オペレーターが待機しているので、いつ陣痛が起こっても素早く対応してもらえます。また、混み合っていて電話がつながらない…ということのないよう、陣痛タクシー専用回線も利用。助産師さんから妊婦さんの送迎についての講習を受けている会社も多いので、陣痛時にも安心して運転をお任せすることができます。
サービスを行っているタクシー会社は地域によって異なるので、出産する地域のタクシー会社を調べてみてくださいね。利用する可能性が低かったとしても、登録だけでもしておくと万が一のときに安心です。
■つまりこういうこと!
陣痛が起きた「病院へ向かわなきゃ!」
→自分で運転して行かない
! 他の人の運転 or 陣痛タクシーを呼ぶ !
● 陣痛タクシーとは……
∟専用回線もあってつながりやすい
∟安心して病院へ向かえる
NG3. シートベルトの未着用
<道路交通法第七十一条の三 第1項、第2項>
・自動車の運転者は、(中略)自動車に備えなければならないこととされている座席ベルトを装着しないで自動車を運転してはならない。(以下略)
・自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない。(以下略)
道路交通法より
車に乗る際は運転者、同乗者にかかわらず全ての座席でシートベルトの着用が義務付けられており、着用しなかった場合はたとえ妊婦さんであっても違反対象になります。
ただし、緊急時のやむを得ない場合のみ、シートベルトの着用が免除されることもあります。
<道路交通法施行令 第二十六条の三の二 第1項>
・負傷若しくは障害のため又は妊娠中であることにより座席ベルトを装着することが療養上又は健康保持上適当でない者が自動車を運転するとき。
道路交通法施行令より
つまり、妊娠中においては、急な腹痛や出血、破水などのトラブルや、陣痛が起こった場合などの緊急時にのみ、シートベルトは着用しなくてもよいということになります。これが、「妊娠中はいつでもシートベルトを締めなくてもOK」というように間違った情報として広まってしまったと考えられますが、実際には緊急時以外はシートベルトの着用義務があり、これは妊婦さんとお腹の赤ちゃんの命を守るために大切なことなので、必ず守るようにしましょう。
■つまりこういうこと!
「妊娠中はシートベルト不要」
→誤解です!
! 妊娠中もしっかりシートベルト着用を !
● 例外としてシートベルト着用を免除されるケース……
∟急な腹痛・出血・破水などのトラブル発生時
∟陣痛が起こっているなどの緊急時
妊娠中のシートベルトの正しい着用方法
妊娠中のシートベルト未着用はNGとお伝えしましたが、とはいってもお腹を締め付けるのは心配ですよね。ふくらみが目立ち始める妊娠中期~後期にかけてはなおさらでしょう。苦しくて締めてられない!という方もいると思います。そこで、ここではお腹の圧迫を軽減するための妊娠中の正しいシートベルト着用方法をご紹介します。
妊婦の正しいシートベルトの締め方


正しいシートベルト着用は、腹部への圧迫をやわらげて楽になるだけでなく、妊婦さんとお腹の赤ちゃんを守ることにもつながります。正しい方法を知ってきちんと着用するようにしましょう。
まず前提として、どんなにお腹が大きくなっても、腰ベルトと肩ベルトはどちらもきちんと着用してください。苦しいからと腰ベルトだけにすると、万が一事故が起こった際に上半身が大きく前に曲がり、腹部を圧迫してしまいます。そのうえで以下のように締めると、安全かつ楽に着用することができます。
1.腰ベルトはお腹のふくらみを避け、腰骨のできるだけ低い位置を通します。
2.肩ベルトは首とお腹にかからないよう、肩から胸の間を通って腹部の側面に通します。
3.お腹が圧迫されないよう着用できたら、シートベルトが外れないように金具をしっかりと止めます。
参考サイト
警視庁「妊娠中のシートベルト着用法」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/seatbelt.html
まとめ
妊娠中はホルモンバランスの関係で体調が変化しやすく、普段より判断力も低下傾向にあります。特に、体調が優れない時やお腹が大きくなる妊娠後期は、できれば運転を避けるのが望ましいですね。どうしても運転しなければならない場合は、無理をしないことを大前提とし、安全運転に努めましょう。運転の際は正しい方法で必ずシートベルトを着用してください。どのような理由であれ、陣痛時の運転はNGです。かけがえのない命を守るためにも、妊娠中の注意点を守り、無理のない範囲での運転を心がけてくださいね。
(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます