妊娠中のルイボスティーは要注意!飲み過ぎのリスクと正しい飲み方【管理栄養士監修】
ルイボスティーはカフェインを含まないため妊娠中にも飲みやすいと思いますよね。しかしながら、妊娠後期は少し気を付けた方がいい飲み物です。カフェインレスだからといって安心とはいえず、抽出の濃さや飲む量によります。妊婦さんが知っておきたいルイボスティーの注意点を見ていきましょう。
妊娠中のルイボスティーは危険?
ルイボスティーはカフェインを含んでいないので妊娠中にも飲みやすいですが、妊娠後期に多量に飲むのは少し気を付けたいものです。その理由をみていきましょう。
ルイボスティーに注意したい理由
ルイボスティーにはポリフェノールが含まれます。ポリフェノールは植物性の食品のほとんどに含まれる成分であり、危険なものではありません。しかしながら、妊娠後期の人がたくさん摂り過ぎると、赤ちゃんに動脈管早期収縮という異常を引き起こす可能性もあります[*1,2]。
ポリフェノールはルイボスティーだけではなくコーヒーや緑茶、お茶などにも含まれますが、ルイボスティーはカフェインを含むコーヒーやお茶の代わりに飲む人も多いでしょう。ルイボスティーの成分に何らかの健康効果を期待し、あえて濃いめに煮出したりするケースも見受けられますが、濃くするとポリフェノールの含有量も多くなるので注意が必要です。
1日何杯ならOK?
妊娠中に何杯ならOKというような量の決まりはありません。ポリフェノールはルイボスティーだけではなくいろいろな食品に含まれているためです。
たとえば、チョコレートをたくさん食べてルイボスティーを3杯飲むということを何日も続けたりすれば、ルイボスティーだけではなく、チョコレートやその他の食品も関係し、ポリフェノールの摂り過ぎが懸念されるということになります。
「〇杯飲んだらダメ」「〇杯までは大丈夫」ということではないので、「多少飲んでも大丈夫」と考えておくくらいでよいでしょう。
知らずに飲んでしまっていたら
妊婦はルイボスティーを「飲んではいけない」というわけではありません。基本的には安全な飲み物です。避けたいのはあくまでも、濃く煮だしたものを多量に飲み続けること。ルイボスティーを飲んでしまっていたとしても、思いつめたりする必要はないので安心してください。妊娠後期にもしたくさん飲んでいたとするならば、以後はやめておけばいいでしょう。
ポリフェノールを摂り過ぎないコツ
ポリフェノールはとてもたくさんの種類があり、植物性の食品のほとんどに含まれているといっても過言ではありません。たとえば、緑茶のカテキンや豆乳などのイソフラボンもポリフェノールの一種です。
バランスの良い食生活のなかで妊娠中にポリフェノールを摂取すること自体に大きな問題はありません。気を付けたいのは、ルイボスティー同様、食品の成分の効果を期待して多量に摂取したり、濃度を高めて摂ろうとすることです。
たとえば、「鉄分を摂るためにプルーンをたくさん食べるとよい」と思うかもしれませんが、プルーンにはポリフェノールも含まれているので、プルーンばかり偏って食べるのはよくありません。多様な食品から鉄分を摂取するなかでプルーンを2、3粒食べる、という食べ方であれば、問題ないということになります。
栄養は「0」か「100」かというものではなく、バランスによって左右されるということをいつも念頭に置いておくとよいですね。
妊娠中に安心して飲めるのは?
妊娠中に「これなら何も気にせずに飲める」というものだけを挙げようとすると、水や麦茶くらいになってしまいます。そうなると制限ばかりで疲れてしまいますよね。大切なのは「1つの食品を摂りすぎないようにすること」です。特に妊娠中の方は、からだに良いからといって特定の食品を摂りすぎることは避けられるとよいでしょう。
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授乳中のルイボスティーは?赤ちゃんは?
妊娠中もルイボスティーは量をわきまえながら楽しむ分には大丈夫だとわかりましたが、出産後、授乳中の場合はどうなのでしょうか。また、赤ちゃんにあげてもいいのか、確認しましょう。
授乳中のルイボスティーはOK
授乳中は特に気にする必要はないでしょう。カフェインを含む飲み物の場合、カフェインが微量ながら母乳に成分が移行して赤ちゃんの体内にも入る可能性があるので摂取量に注意が必要ですが、ルイボスティーはカフェインを含まないので、そのような心配がありません。
赤ちゃんへのルイボスティーはごく少量に
赤ちゃんは基本的に母乳やミルクが水分補給源となります。そればかりか、母乳やミルクはエネルギー源であり、さまざまな栄養素も含んでいるため、赤ちゃんにとって「最良の水分」です。ルイボスティーを多少、赤ちゃんに与えることは特に危険ではありませんが、母乳やミルクの摂取を邪魔しない程度に、ごく少量にとどめましょう。
また、離乳食からも水分は摂取されます。あまり水分補給を意識しすぎてガブガブと飲ませるようなことがあると、小さな胃が水分で満たされてしまいます。そうするとエネルギーがしっかり摂れなくなるので注意しましょう。
まとめ
ルイボスティーは、妊娠中にぜひ摂りたい飲み物というイメージがあるかもしれませんが、栄養摂取を考えるときには量や頻度の概念が大切です。「このくらいなら大丈夫」という量の目安を示すことができないのは、他にもポリフェノールを含む食品がたくさんあるためです。何かの効果を期待して1つの食品ばかりを食べるのではなく、いろいろな食品を摂ることを心がけましょう。
(文・監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]医薬基盤・健康・栄養研究所:健康食品の安全性・有効性情報
[*2]新田ら,動脈管早期閉鎖・右心不全の新生児例 : 妊娠中のルイボスティー飲用は動脈管早期閉鎖のリスク因子となり得る,日本新生児成育医学会雑誌 31(3): 876-876, 2019.
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます