ブロッコリーの食べ過ぎは危険?リスクと1日の適量、栄養の効果とは【管理栄養士監修】
ブロッコリーは日本の食卓でもとてもなじみのある野菜です。最近では筋トレをしているときの食べ物としても人気が高まっているようですが、ブロッコリーばかりを食べている場合に、何か体に影響はないのでしょうか。ブロッコリーの栄養と食べ過ぎによるリスク、1日の適量について管理栄養士がお伝えします。
ブロッコリーの栄養のメリット
ブロッコリーはキャベツの仲間であり、植物の花の部分にあたる少し珍しい野菜です。食べ過ぎのリスクの前に、まずはブロッコリーにどんな栄養があるのか確認していきましょう。
ビタミンCは野菜の中でトップクラスの量
ブロッコリーには100gあたり140mgのビタミンCが含まれ、野菜の中でもトップクラスです[*1]。ただしこれは調理する前の生の状態での話になります。
ブロッコリーは日本では加熱して食べることが多いですが、茹でブロッコリーの場合、100gあたりのビタミンCは55mgに減少します[*1]。ビタミンCは水溶性のため茹でることで溶けだしてしまうからです。せっかくのビタミンCを少しでも減らしたくない場合は、水を使わない電子レンジ加熱がいいでしょう。
便秘に効く食物繊維が豊富
食物繊維は不足しがちな栄養素のため、積極的に摂りたいものです。日本人の食事摂取基準2020年版では、1日あたり成人男性で21g以上、成人女性で18g以上の食物繊維を摂ることが目標とされています[*2]。
茹でブロッコリーには100gあたり4.3gの食物繊維が含まれ、そのうち不溶性食物繊維が8割と多いのが特徴です[*1]。不溶性食物繊維には腸内の水を吸って便のかさ増やす働きがあるため、適度に摂ることで便が出やすい腸内環境をつくるのに役立ちます。
野菜なのにたんぱく質が摂れる
たんぱく質はヒトの体をつくるのに欠かすことのできない栄養素です。たんぱく質と聞くと肉や魚、大豆などを思い浮かべるかと思いますが、実は野菜にも含まれているのをご存知でしょうか。
ブロッコリーは5.4gのたんぱく質を含んでいます[*1]。おもな野菜の多くが2.0g以下であるのと比べてとても豊富です。
他にもたんぱく質を多く含む野菜には、枝豆、そら豆、切り干し大根、モロヘイヤ、 たけのこ、とうもろこしなどがあげられます[*1]。
■ブロッコリーの選び方■
ブロッコリーはつぼみや葉が濃い緑色をしているものが新鮮です。加えて、茎の切断面に空洞がなく、ずっしりと重みのあるものを選んでみましょう。日が経つにつれてつぼみの部分が開いてきて味も落ちてしまうので、買ってからはできるだけ低温で保存し、早めに食べきるのがおすすめです。また、旬の冬に見かけるやや紫がかったブロッコリーは、寒さにあたって甘みが増している証拠といえます。
■ブロッコリーの保存方法■
ブロッコリーが畑にあるときと同じ環境にすると長持ちするので、冷蔵保存する場合は茎を下側にしてしまっておきます。このとき、ビニール袋に入れて野菜室に入れると、より鮮度を保つことができます。
ブロッコリーの食べ過ぎのリスク
ブロッコリーの栄養が優れているとはいえ、1つの食品ばかりを食べるということはよくありません。ブロッコリーばかりを食べた場合、私たちの体にどのような影響があるか考えてみましょう。
食べ過ぎリスク① 下痢や便秘
ブロッコリーに含まれる不溶性食物繊維は適量であれば便秘の解消にプラスに働きますが、摂り過ぎると便のかさが増えすぎて硬くなり、かえって便秘を誘発する場合があります。スムーズな排便には適度な水分も必要です。
水に溶けやすく、便をやわらかくする作用をもつ水溶性食物繊維もバランスよく摂りましょう。水溶性食物繊維は海藻類や果物などに多く含まれます。
食べ過ぎリスク② 栄養バランスが偏る
特にダイエット目的でブロッコリーばかりを食べ、他の食品を食べないというような食事をしてしまうと、当然ながら栄養バランスが偏ります。その結果、体調を崩してしまう可能性も。
野菜の中ではたんぱく質が多いとはいえ、仮に成人女性がブロッコリーだけで1日に必要なたんぱく質を摂ろうとすると、約1.2kgの茹でブロッコリーを食べきらなければなりません。また、これだけ食べても360kcalしか摂取できず、ダイエット中とはいえエネルギー不足に陥ってしまいます。
たんぱく質は肉や魚、卵、大豆製品からもパランスよく摂る必要があります。ビタミン・ミネラル類もたくさんの種類があるので、1つの食品からすべてを摂ることはできません。
食べ過ぎのリスク③ 体臭が強くなる?
ブロッコリーを食べ過ぎると体臭が出るという話も聞かれるようですが、体臭は汗や皮膚の生息している細菌などが主な原因です。食べ物が影響することもありますが、一概にブロッコリーを食べて体臭がきつくなる、と言うことは難しいでしょう。
ワルファリンを飲んでいる場合は注意
食品に含まれる栄養成分が薬の作用に影響を与えることがあり、注意が必要な組み合わせがあります。ブロッコリーにはビタミンKが含まれますが、ビタミンKはワルファリン(血液をかたまりにくくする薬)の効果を弱めることで有名です[*3]。
納豆やモロヘイヤに比べるとブロッコリーのビタミンKの量は1/3程度なので、通常の食事の中で食べる量であれば影響は低いですが、食べ過ぎには注意したほうがよいでしょう。不安があれば、医師や薬剤師に相談してみてください。
ブロッコリーの適量はどのくらい?
食事の栄養バランスを保ちながらブロッコリーを取り入れるにあたり、だいたいどのくらいを目安に考えるのが適当なのでしょうか?
1日の目安|小鉢2つ程度
農林水産省の「食事バランスガイド」では、副菜(野菜類)を5~6SV(※)を1日の目安にしています[*4]。これはだいたい350~420gほど。この量をすべてブロッコリーで摂るとビタミンやミネラルのバランスが偏る心配があるため、2SV(140g)くらいを目安にするとよいでしょう。
(※)SVとは食事バランスガイドの中で用いられる単位で、皿の数を表す。野菜は1SV=70g
筋トレ中の場合は多めの170gでも
ダイエット中でハードな筋力トレーニングをしているような場合は、たんぱく質の豊富なブロッコリーをもう少し多めに摂ってもよいでしょう。350gの半分である170gくらいがよいかもしれませんね。
たんぱく質は動物性と植物性をバランスよく組み合わせることが健康のためには大切です。肉やプロテイン製品だけでたんぱく質を補給しようとすると、食物繊維やビタミンなどほかの栄養素が足りなくなる恐れがあります。たんぱく質は肉・魚・卵だけでなく、野菜や穀類からも摂れることを知っておきましょう。
その他の食品の食べ過ぎについてはこちら
<野菜など>
▶野菜 ▶トマト ▶玉ねぎ ▶キャベツ ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶かぼちゃ ▶セロリ ▶ニラ ▶ゴーヤ ▶おかひじき ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶ルッコラ ▶枝豆 ▶たけのこ ▶アボカド
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
妊娠前~妊娠中の方にもおすすめ
ブロッコリーはどんな方にもおすすめの野菜ですが、妊娠を考えている方や妊娠中に特にうれしいポイントというものがあります。
胎児の成長に欠かせない葉酸が豊富!
妊娠期は胎児の発育のために普段よりも多めに摂りたい栄養素がいくつかありますが、そのうち、初期にとても大切なのが葉酸です。胎児の正常な発育に欠かすことができないため、妊娠を計画する前から女性が積極的に摂取していくように勧められています。
ブロッコリーはこの葉酸が豊富です[*1]。葉酸は加熱に弱いのですが、茹でブロッコリーでも100gあたり120μgとそこまで少なくありません。
妊娠初期や妊娠を望む妊活期には、1日の葉酸の摂取量として食事からの240μgに加え、サプリメントなどで400μgをプラスすることが勧められており、妊娠中期にも1日480μgが推奨されています[*2]。毎日の食卓にブロッコリーをはじめとした野菜類を意識的に使っていきたいですね。
関連記事
▶【医師監修】葉酸を食べ物から摂る時の注意点、葉酸サプリを選ぶポイント
まとめ
ブロッコリーはたくさん食べてもそれほど大きな影響が少ない野菜ではあります。しかしながら、何かの効果を期待してブロッコリーだけをたくさん食べたりすると胃腸の調子が崩れたり、栄養バランスが偏る場合があります。小鉢1~2つ分程度を適度に摂り入れていきましょう。
(文:関水芳江 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
▶野菜でも食べ過ぎはよくないの?どのくらいが適量?野菜のメリットと食べ方の注意点【管理栄養士監修】
▶卵は1日に何個まで?食べ過ぎにならない目安と卵を食べるメリット【管理栄養士監修】
▶大豆の食べ過ぎは体に悪い?リスクと効果を解説【管理栄養士監修】
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*3]厚生労働省:e-ヘルスネット「食物と薬の相互作用(理論編)」
[*4]農林水産省:食事バランスガイドについて
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます